*PART2*a Piece of love②
*PART2*a Piece of love②(らんま1/2novel乱×あ)
※この作品は以前書き途中だったものをかなり内容変更しています。
あかねのばかが。
なんで俺の言うこと聞かねーんだよ。
おめーなんかがアルバイトしてみろ。
いろいろ男が話しかけたり寄ってきたりするじゃねぇか。
俺もバイトがあるからずっと見張ってることなんかできねーし。
ただでさえここ最近ろくに顔会わす事もできねーのにこれ以上離れんのかよ。
「…めくん?」
「早乙女くんてば!」
「あ?ああ…悪い」
「ちょっと、どうしたの?さっきからずっと怖い顔して」
アルバイトで一緒の、同い年の女が話しかけていたのに俺はまったく気づかない様だった。
あかねは今日からバイトを始めるそうだ。
俺はアルバイト中だから様子を見に行くこともできず悶々としている。
てか昨日はあれから会話もしてねぇ。
アイツ、一体どこでバイトしてんだ?
「はぁい!乱馬くん」
「なびき!」
なびきがショートパンツにサングラスを頭に乗せ俺の働くコンビニへと入ってきた。
てかあかねにバイトを斡旋した張本人じゃねーか。
「なにしにきたんだよ」
俺はなびきをぎっと睨む。
「あーら、ずいぶんと機嫌が悪いみたいね。ったく。あかねがバイトしたっていいじゃない。あんたちょっと過保護なんじゃない?」
なんでだ?!
なんでコイツは人の心が読めるんだ?!
俺はこれ以上心が読まれないように平静を装う。
「あ、あかねがバイトしよーがなにしよーが俺にはカンケーねーよっ」
「あらそう。あかねのアルバイト先教えてあげようと思ってきたのに」
な、なんだって?!
それは知りたい…
「…どこだよ」
俺は恥ずかしいからぼそっとつぶやいた。
恥ずかしいけど聞かずにはいられない。
「乱馬くーん、私アイスたべたいなぁ」
やっぱりな。
情報提供料ってわけかよ。
けどなびきにしてはまだ生易しいほうだな。
「好きなの選べよ」
なびきは近くのアイスのケースに向かい、ソフトクリームを選んでレジに持っていき俺は財布から小銭を出す。
「ったくほんとあんた達は素直じゃないわね。病院よこの近くの」
「病院?」
「受付とかお手伝い的なことみたいよ。もちろん看護師免許とかないし、簡単な雑務みたい」
なびきは早速アイスを食べ始めてる。
それってまずくないか??
優しく不器用に処置をするあかね、包帯が自分の手に絡まりほどけない。
一生懸命ほどこうとする姿が可愛らしくて俺は何度となく抱き締めたい衝動にかられていた。
つまり俺ほどの精神力の持ち主じゃないとあかねは…
まずい…まずいだろ!!
「あ、そうそう!患者さんはお爺ちゃんとかお婆ちゃんとかがメインみたいよ。」
となびきは言う。
コイツはどこまで俺の心が読めるんだ?!
つくづくこえー女だぜ!
けどジジィ相手ならまだマシか?!
イヤ、うちのエロジジイみたいなやつもいるしな。
やっぱ危険じゃねーか!!
俺のそんな心の叫びをよそになびきは続ける。
「可愛かったわよー、あかねの制服姿」
俺はナース姿のあかねを頭の中で妄想した。
「へ、へー。そうかよ」
内心俺は穏やかじゃない。今すぐにでも女装してでも様子を見に行きたかった。
けど金もらって働いてる以上、女の事で店を抜け出すわけにはいかない。
「けっあんな寸胴女何着たって一緒だよ」
俺は強がってみる。
「はいはい。帰り道だし、帰るときに様子みてみたら?」
「…気が向いたらな」
「ったく。いつまでたっても意地ばっかりはって。知らないわよ、あかねに他に好きな人ができても。」
すると突然横に、いま一緒に働いてる子が来て、俺の制服の裾をひっぱっている。
「ねー、早乙女くんこの人誰?」
「ああ?なびきねーちゃんのことか?」
「え?!乱馬くんのお姉さん?へー似てないわね!でもすごい美人!」
イヤ、姉じゃねーけど説明するのがめんどくせーし、いまはそれどころじゃねー!
「あら。ありがと。
オトウトをよろしく。こっちもなんだか面白いことになってるみたいね。」
なびきは俺の横にいる女の子をちらっと見る。
「面白いことってなんだよ」
なびきの視線が俺の腕をみている事に気づき腕をみるとその時隣にいる女が俺の制服の裾を掴んでてやけに密着している事に気がついた。
「な゙っ!い、いっとくがコイツはただのバイト仲間ってだけで…!」
「この事を知ったらさぞかしあかねも悲しむでしょうね。」
「いくらだ…?」
俺は何一つやましいことはないがこれ以上あかねとこじれるのはイヤだった。
口止め料を素直に渡す。
「まいどあり♪あ、そうそう。素直さに免じて特別サービスでもうひとついい事教えてあげるわ」
「ん?」
「あかねのバイト先の病院、【小乃接骨院】よ」
俺の心臓がどくんとなって痛み出した。
「じゃあね、乱馬くん。また来るわ」
なびきは不適な笑いをみせそのまま店を出ていった。
【小乃接骨院】それはあかねの初恋の相手、小乃東風がやってるほねつぎやだ。
東風はあかねの姉、かすみさんの事が好きだ。
それでやっとの思いで諦めたはずだ。
それなのに今さらなんでだ?
俺はなびきが去ったあとをじっと睨み付けた。
つづく
※この作品は以前書き途中だったものをかなり内容変更しています。
あかねのばかが。
なんで俺の言うこと聞かねーんだよ。
おめーなんかがアルバイトしてみろ。
いろいろ男が話しかけたり寄ってきたりするじゃねぇか。
俺もバイトがあるからずっと見張ってることなんかできねーし。
ただでさえここ最近ろくに顔会わす事もできねーのにこれ以上離れんのかよ。
「…めくん?」
「早乙女くんてば!」
「あ?ああ…悪い」
「ちょっと、どうしたの?さっきからずっと怖い顔して」
アルバイトで一緒の、同い年の女が話しかけていたのに俺はまったく気づかない様だった。
あかねは今日からバイトを始めるそうだ。
俺はアルバイト中だから様子を見に行くこともできず悶々としている。
てか昨日はあれから会話もしてねぇ。
アイツ、一体どこでバイトしてんだ?
「はぁい!乱馬くん」
「なびき!」
なびきがショートパンツにサングラスを頭に乗せ俺の働くコンビニへと入ってきた。
てかあかねにバイトを斡旋した張本人じゃねーか。
「なにしにきたんだよ」
俺はなびきをぎっと睨む。
「あーら、ずいぶんと機嫌が悪いみたいね。ったく。あかねがバイトしたっていいじゃない。あんたちょっと過保護なんじゃない?」
なんでだ?!
なんでコイツは人の心が読めるんだ?!
俺はこれ以上心が読まれないように平静を装う。
「あ、あかねがバイトしよーがなにしよーが俺にはカンケーねーよっ」
「あらそう。あかねのアルバイト先教えてあげようと思ってきたのに」
な、なんだって?!
それは知りたい…
「…どこだよ」
俺は恥ずかしいからぼそっとつぶやいた。
恥ずかしいけど聞かずにはいられない。
「乱馬くーん、私アイスたべたいなぁ」
やっぱりな。
情報提供料ってわけかよ。
けどなびきにしてはまだ生易しいほうだな。
「好きなの選べよ」
なびきは近くのアイスのケースに向かい、ソフトクリームを選んでレジに持っていき俺は財布から小銭を出す。
「ったくほんとあんた達は素直じゃないわね。病院よこの近くの」
「病院?」
「受付とかお手伝い的なことみたいよ。もちろん看護師免許とかないし、簡単な雑務みたい」
なびきは早速アイスを食べ始めてる。
それってまずくないか??
優しく不器用に処置をするあかね、包帯が自分の手に絡まりほどけない。
一生懸命ほどこうとする姿が可愛らしくて俺は何度となく抱き締めたい衝動にかられていた。
つまり俺ほどの精神力の持ち主じゃないとあかねは…
まずい…まずいだろ!!
「あ、そうそう!患者さんはお爺ちゃんとかお婆ちゃんとかがメインみたいよ。」
となびきは言う。
コイツはどこまで俺の心が読めるんだ?!
つくづくこえー女だぜ!
けどジジィ相手ならまだマシか?!
イヤ、うちのエロジジイみたいなやつもいるしな。
やっぱ危険じゃねーか!!
俺のそんな心の叫びをよそになびきは続ける。
「可愛かったわよー、あかねの制服姿」
俺はナース姿のあかねを頭の中で妄想した。
「へ、へー。そうかよ」
内心俺は穏やかじゃない。今すぐにでも女装してでも様子を見に行きたかった。
けど金もらって働いてる以上、女の事で店を抜け出すわけにはいかない。
「けっあんな寸胴女何着たって一緒だよ」
俺は強がってみる。
「はいはい。帰り道だし、帰るときに様子みてみたら?」
「…気が向いたらな」
「ったく。いつまでたっても意地ばっかりはって。知らないわよ、あかねに他に好きな人ができても。」
すると突然横に、いま一緒に働いてる子が来て、俺の制服の裾をひっぱっている。
「ねー、早乙女くんこの人誰?」
「ああ?なびきねーちゃんのことか?」
「え?!乱馬くんのお姉さん?へー似てないわね!でもすごい美人!」
イヤ、姉じゃねーけど説明するのがめんどくせーし、いまはそれどころじゃねー!
「あら。ありがと。
オトウトをよろしく。こっちもなんだか面白いことになってるみたいね。」
なびきは俺の横にいる女の子をちらっと見る。
「面白いことってなんだよ」
なびきの視線が俺の腕をみている事に気づき腕をみるとその時隣にいる女が俺の制服の裾を掴んでてやけに密着している事に気がついた。
「な゙っ!い、いっとくがコイツはただのバイト仲間ってだけで…!」
「この事を知ったらさぞかしあかねも悲しむでしょうね。」
「いくらだ…?」
俺は何一つやましいことはないがこれ以上あかねとこじれるのはイヤだった。
口止め料を素直に渡す。
「まいどあり♪あ、そうそう。素直さに免じて特別サービスでもうひとついい事教えてあげるわ」
「ん?」
「あかねのバイト先の病院、【小乃接骨院】よ」
俺の心臓がどくんとなって痛み出した。
「じゃあね、乱馬くん。また来るわ」
なびきは不適な笑いをみせそのまま店を出ていった。
【小乃接骨院】それはあかねの初恋の相手、小乃東風がやってるほねつぎやだ。
東風はあかねの姉、かすみさんの事が好きだ。
それでやっとの思いで諦めたはずだ。
それなのに今さらなんでだ?
俺はなびきが去ったあとをじっと睨み付けた。
つづく
*PART2*a Piece of love①
*PART2*a Piece of love①
(らんま1/2novel乱×あ)
※この作品は以前書き途中だったものをかなり内容変更しています。
うちの近所のコンビニに無愛想な男の子が働いている。
なんでも接客業のくせにニコリともせず、けど近寄りがたい雰囲気なわけじゃない。たまに見せる笑顔が子供っぽくてかっこいいだとか、可愛いのだとか…。
「なんだかすっかり有名人ね」
「あ?なんの事だよ」
その噂の男の子とは私の許婚、早乙女乱馬(17才)。
「お!アイスじゃねーか。おい、俺の分もちゃんと残しとけよ!」
私がアイスの6個入りの箱、二種類を乱馬の立っているレジに持っていく。
「乱馬はバイトしてるんだから自分で買って食べればいいでしょー」
「いいんだよ!バイトでも食って家でも食うのっ。オメーもいつも甘いもの買いやがってブタになってもしんねーぞっ」
「ブタはよけーよっ!
ったく食い意地がはってんだから。
じゃあ、バイト頑張んなさいよ」
「おー。気を付けて帰れよ」
乱馬がバイトするコンビニをあとにする。
乱馬がコンビニでバイトをはじめて一週間。
なんだかんだいっていつも目立ってしまう乱馬。
本人いたって大人しくしてるらしいんだけど、この近所ではもうすっかり有名な様子。
もともと毎度毎度のお騒がせである意味有名ではあったんだけど…。
「ねえねえ、今のレジの男の子可愛くなかった?」
「私もこないだからそう思ってたのよ」
すっかり同い年くらいからお姉さん系の女性の間で人気みたい。
私がコンビニに行く度にすれ違う女の人達が、こんな会話をしているのをよく耳にする。
たまにおばあさんにも「あんな子を孫に欲しい」とか言われてたりもする。
乱馬がコンビニでバイトすることになったきっかけは先々週のことだった。
一学期の終業式を終えた私たちが居間に入ると、このコンビニのオーナーの田中さんの奥さんがうちのお父さん達と話をしていた。
田中さん夫婦は最近まで酒屋をしていたが数年前から大手チェーンのコンビニを始めた。
そのお店は町内にあって私も乱馬も学校帰りにお菓子を買い食いしたりと頻繁に利用していた。
「おお!ちょうどいいところに帰ってきた!乱馬くん、田中さんの奥さんがちょっと話があるそうなのよ」
お父さんがニコニコと乱馬に話しかける。
「俺に?」
お父さんがなんとなくうさんくさい笑顔をするから乱馬は怪訝そうな表情をした。
お父さんはそんな乱馬の様子に気にせず話し続ける。
「なんでも、田中さんの旦那さんが腰痛でしばらく仕事ができなくなってしまったそうなんだよ。その上ここ最近男の子が二人辞めたばかりみたいでね、男手が足りないみたいなんだって。」
「最近、隣町でコンビニ強盗があったでしょう?
町内の下着ドロもまだ捕まっていないし…このところ何かと物騒だから腕の立つ男の子にバイトに入ってもらえないか天道さんにお願いに来たんです。乱馬くん、是非お願いできないかしら?」
田中さんの奥さんは本当に困っている様子だった。
「うーん、そうはいってもなぁ…俺も修行があるし…」
乱馬が弱ったなぁと言うような表情でポリポリと頬を掻く。
「心配には及ばん、乱馬よ。今年の夏はコンビニでアルバイトをするがよい。困っている市民の手助けをするのも武道家の務め。」
早乙女のおじさまが口を挟んできた。
「親父、明後日から山籠りするんじゃなかったのかよ。」
「うむ。事情が事情じゃからな。やむおえんだろう。予定を少し先に延ばそう」
「お願いよ、乱馬くん。もちろん用心棒代も含めて他の子達より時給はよくするし…」
「ん?なんだこの日本酒やらビールやらは」
乱馬がお父さん達の後ろにあったビールやお酒の瓶を見つけた。
「ややっ…!これはだねっ、乱馬くん。田中さんの奥さんがどうしてもっていうから、ねえ?早乙女君」
「そうそう!わしらは決して酒に目がくらんだわけじゃ…ねぇ!天道君」
お父さんもおじさまも図星と言わんばかりに動揺している。
「もうすでに開けて呑んでんじゃねーかよっ!たくっ!もー…しゃーねーなぁ…」
「やるの?乱馬」
と私は乱馬をみる。
「仕方ねーだろ。もらうもんもらっちまったみてーだし。ったく酒で息子働かすとはどーゆー親共だよ」
乱馬らしいなぁ、と思いながら乱馬を見つめる。
なんだかんだ言いつつも困ってる人をみると乱馬は放っておく事が出来ない。
「ふふ…」
「なに笑ってんだよ」
「べつにーぃ」
「んだよ。変なヤツ」
私が乱馬を見つめると乱馬は照れた様にそっぽを向いてしまった。
乱馬がバイトをはじめてから一週間。
乱馬の夏休みは朝から夕方までおじさまと道場で稽古をして、夜はコンビニでバイトをしている。
高校生だから10時には上がるけど、学校に行っている時より乱馬と話してないなぁ、なんて思ったりして、たまにアイスやノートを買うのだと口実をつけてはコンビニに行って様子を見に行く。
「あら、あかねまたアイス買ってきたの?」
居間でさっき買ってきたアイスを食べながら一人でぼーっとテレビを観ていた私。
なびきおねーちゃんがどこかからか帰ってきて居間に顔を出した。
「なびきおねーちゃん…」
「つまんなそーね、あかねは。乱馬くん夏休みの間忙しそうだもんねー」
「わ、私はべつに乱馬なんかいなくたって…!」
「はいはい。あかねもやったら?アルバイト。紹介してあげるわよ」
アルバイトかぁ。
私にもできるかな。
「ま、気が向いたらいつでもいいなさい」
ポンと私の肩を叩いてなびきお姉ちゃんは上に上がっていった。
「ただいまー」
しばらくして乱馬が帰ってきた。
「おかえりーごはんたべる?」
と乱馬に声をかける。
「いや、なんか期限切れの弁当もらって食ったから」
「あ、そう」
「アイスは食うぞ」
「はいはい。冷凍庫にまだちゃんと残ってるわよ」
「なにやってたんだよ」
「なにって?なにも」
乱馬の聞きたい意図がよくわからない。
「コンビニ来たあと」
と乱馬が続ける。
「ああ、テレビ観てた」
そんなこと聞いてどうするんだろう。
「ふーん。そうかよ。」
と乱馬は納得してもらえたようだ。
「あ、ねえねえ、乱馬!バイトってたのしい??」
「ああ?なんだよ急に」
「なびきおねーちゃんがさっき私もバイトしてみればって。紹介してくれるって。」
「なっ!ダメだろそれは!」
乱馬が勢いよくこっちに迫る。
「な、なんでよ。みんなやってるし…」
「いや、だから…その。
そう!おめーみてーな不器用な女がバイトなんて務まるわけねーじゃねーか」
え?そんな理由?!
「なによ~!やってみないとわからないじゃない!!」
「やらなくたってわかる!おめーには無理だっ!」
乱馬の言い方に頭に来た私は
「わかった!そんなに言うならやってみようじゃないの!!」
「え゙」
乱馬が動揺している様だった。
もうこうなったら意地でもバイトしてやるんだから!
「なびきおねーちゃん!」
と私は二階の階段にかけ上がる。
「お、おい!」
乱馬の声が聞こえたけど私は振り向かない。
こうして私のバイト生活もスタートしたのだった。
つづく
(らんま1/2novel乱×あ)
※この作品は以前書き途中だったものをかなり内容変更しています。
うちの近所のコンビニに無愛想な男の子が働いている。
なんでも接客業のくせにニコリともせず、けど近寄りがたい雰囲気なわけじゃない。たまに見せる笑顔が子供っぽくてかっこいいだとか、可愛いのだとか…。
「なんだかすっかり有名人ね」
「あ?なんの事だよ」
その噂の男の子とは私の許婚、早乙女乱馬(17才)。
「お!アイスじゃねーか。おい、俺の分もちゃんと残しとけよ!」
私がアイスの6個入りの箱、二種類を乱馬の立っているレジに持っていく。
「乱馬はバイトしてるんだから自分で買って食べればいいでしょー」
「いいんだよ!バイトでも食って家でも食うのっ。オメーもいつも甘いもの買いやがってブタになってもしんねーぞっ」
「ブタはよけーよっ!
ったく食い意地がはってんだから。
じゃあ、バイト頑張んなさいよ」
「おー。気を付けて帰れよ」
乱馬がバイトするコンビニをあとにする。
乱馬がコンビニでバイトをはじめて一週間。
なんだかんだいっていつも目立ってしまう乱馬。
本人いたって大人しくしてるらしいんだけど、この近所ではもうすっかり有名な様子。
もともと毎度毎度のお騒がせである意味有名ではあったんだけど…。
「ねえねえ、今のレジの男の子可愛くなかった?」
「私もこないだからそう思ってたのよ」
すっかり同い年くらいからお姉さん系の女性の間で人気みたい。
私がコンビニに行く度にすれ違う女の人達が、こんな会話をしているのをよく耳にする。
たまにおばあさんにも「あんな子を孫に欲しい」とか言われてたりもする。
乱馬がコンビニでバイトすることになったきっかけは先々週のことだった。
一学期の終業式を終えた私たちが居間に入ると、このコンビニのオーナーの田中さんの奥さんがうちのお父さん達と話をしていた。
田中さん夫婦は最近まで酒屋をしていたが数年前から大手チェーンのコンビニを始めた。
そのお店は町内にあって私も乱馬も学校帰りにお菓子を買い食いしたりと頻繁に利用していた。
「おお!ちょうどいいところに帰ってきた!乱馬くん、田中さんの奥さんがちょっと話があるそうなのよ」
お父さんがニコニコと乱馬に話しかける。
「俺に?」
お父さんがなんとなくうさんくさい笑顔をするから乱馬は怪訝そうな表情をした。
お父さんはそんな乱馬の様子に気にせず話し続ける。
「なんでも、田中さんの旦那さんが腰痛でしばらく仕事ができなくなってしまったそうなんだよ。その上ここ最近男の子が二人辞めたばかりみたいでね、男手が足りないみたいなんだって。」
「最近、隣町でコンビニ強盗があったでしょう?
町内の下着ドロもまだ捕まっていないし…このところ何かと物騒だから腕の立つ男の子にバイトに入ってもらえないか天道さんにお願いに来たんです。乱馬くん、是非お願いできないかしら?」
田中さんの奥さんは本当に困っている様子だった。
「うーん、そうはいってもなぁ…俺も修行があるし…」
乱馬が弱ったなぁと言うような表情でポリポリと頬を掻く。
「心配には及ばん、乱馬よ。今年の夏はコンビニでアルバイトをするがよい。困っている市民の手助けをするのも武道家の務め。」
早乙女のおじさまが口を挟んできた。
「親父、明後日から山籠りするんじゃなかったのかよ。」
「うむ。事情が事情じゃからな。やむおえんだろう。予定を少し先に延ばそう」
「お願いよ、乱馬くん。もちろん用心棒代も含めて他の子達より時給はよくするし…」
「ん?なんだこの日本酒やらビールやらは」
乱馬がお父さん達の後ろにあったビールやお酒の瓶を見つけた。
「ややっ…!これはだねっ、乱馬くん。田中さんの奥さんがどうしてもっていうから、ねえ?早乙女君」
「そうそう!わしらは決して酒に目がくらんだわけじゃ…ねぇ!天道君」
お父さんもおじさまも図星と言わんばかりに動揺している。
「もうすでに開けて呑んでんじゃねーかよっ!たくっ!もー…しゃーねーなぁ…」
「やるの?乱馬」
と私は乱馬をみる。
「仕方ねーだろ。もらうもんもらっちまったみてーだし。ったく酒で息子働かすとはどーゆー親共だよ」
乱馬らしいなぁ、と思いながら乱馬を見つめる。
なんだかんだ言いつつも困ってる人をみると乱馬は放っておく事が出来ない。
「ふふ…」
「なに笑ってんだよ」
「べつにーぃ」
「んだよ。変なヤツ」
私が乱馬を見つめると乱馬は照れた様にそっぽを向いてしまった。
乱馬がバイトをはじめてから一週間。
乱馬の夏休みは朝から夕方までおじさまと道場で稽古をして、夜はコンビニでバイトをしている。
高校生だから10時には上がるけど、学校に行っている時より乱馬と話してないなぁ、なんて思ったりして、たまにアイスやノートを買うのだと口実をつけてはコンビニに行って様子を見に行く。
「あら、あかねまたアイス買ってきたの?」
居間でさっき買ってきたアイスを食べながら一人でぼーっとテレビを観ていた私。
なびきおねーちゃんがどこかからか帰ってきて居間に顔を出した。
「なびきおねーちゃん…」
「つまんなそーね、あかねは。乱馬くん夏休みの間忙しそうだもんねー」
「わ、私はべつに乱馬なんかいなくたって…!」
「はいはい。あかねもやったら?アルバイト。紹介してあげるわよ」
アルバイトかぁ。
私にもできるかな。
「ま、気が向いたらいつでもいいなさい」
ポンと私の肩を叩いてなびきお姉ちゃんは上に上がっていった。
「ただいまー」
しばらくして乱馬が帰ってきた。
「おかえりーごはんたべる?」
と乱馬に声をかける。
「いや、なんか期限切れの弁当もらって食ったから」
「あ、そう」
「アイスは食うぞ」
「はいはい。冷凍庫にまだちゃんと残ってるわよ」
「なにやってたんだよ」
「なにって?なにも」
乱馬の聞きたい意図がよくわからない。
「コンビニ来たあと」
と乱馬が続ける。
「ああ、テレビ観てた」
そんなこと聞いてどうするんだろう。
「ふーん。そうかよ。」
と乱馬は納得してもらえたようだ。
「あ、ねえねえ、乱馬!バイトってたのしい??」
「ああ?なんだよ急に」
「なびきおねーちゃんがさっき私もバイトしてみればって。紹介してくれるって。」
「なっ!ダメだろそれは!」
乱馬が勢いよくこっちに迫る。
「な、なんでよ。みんなやってるし…」
「いや、だから…その。
そう!おめーみてーな不器用な女がバイトなんて務まるわけねーじゃねーか」
え?そんな理由?!
「なによ~!やってみないとわからないじゃない!!」
「やらなくたってわかる!おめーには無理だっ!」
乱馬の言い方に頭に来た私は
「わかった!そんなに言うならやってみようじゃないの!!」
「え゙」
乱馬が動揺している様だった。
もうこうなったら意地でもバイトしてやるんだから!
「なびきおねーちゃん!」
と私は二階の階段にかけ上がる。
「お、おい!」
乱馬の声が聞こえたけど私は振り向かない。
こうして私のバイト生活もスタートしたのだった。
つづく
*PART.1*私たちはこれから
*PART.1*私たちはこれから
(らんま1/2novel乱×あ)
締め切ったカーテンの隙間からオレンジ色の日差しが差し込んでくる。
もうすぐみんなが帰って来てしまう頃だ。
部屋には脱ぎ捨てられた私の青いスカートと赤いチャイナ服が重なっていた。
ベッドに横たわる私の上に裸の姿の乱馬が乗っかっていて、重たいけれどその重みさえどこか心地いい。
むくっと乱馬が起き上がり、私の中にいた乱馬の一部がずるっと抜けて私の躰が跳ね上がった。
少し体を持ち上げた乱馬は、私を見つめるものの顔は真っ赤で、私も負けずに顔が赤い。
なんで?
なんでこんなことになったんだろう…?
今日は天道家、早乙女家の面々は町内の日帰り旅行。
私と乱馬は明日試験があるからと私の部屋で普段授業を聞いていない乱馬に数学を教えていた。
けど、ふとした瞬間にお互いの距離が近くなってそれに気づいてお互いぱっと離れた。
その次の瞬間にまた目があって、気がついたら切羽詰まったような、せつないような眼差しで乱馬の顔が近づいてきて、それから…。
好きだなんて言葉一言もなかった。
変わりに私の名前を乱馬が何度も呼んだ。
気づいたら私は乱馬を受け入れていた…。
だって、私はずっと乱馬を待っていた。
他の誰もが持っていない、確かな乱馬の特別な「証し」が欲しかったから…。
「・・・・・・・・・・」
「・・・・・・・・・・」
長い沈黙が私達を包む。
「そ、そろそろみんな帰ってきちゃうね…」
「あ、ああ…」
「私、なんだか喉乾いちゃった!なにか冷たいもの取ってくる!」
慌てて服を掴み、その場から逃げようとしたが、乱馬に腕を捕まれてしまった。
「な、なに?」
「いや、あのさ…」
「…」
「その…ごめん…」
「…なんで謝るの?」
「いや、その…」
「…………そっか、男の人って別に好きでもない人ともこういうこと出来るんだもんね…」
自分でそう呟いたくせに私の目からは涙が溢れそうになっていた。
「な゙!そ、そんなんじゃねぇ!!」
乱馬が慌てている。
「ほ、他の野郎のことは知らねえが、俺は、あかねとしかっ…!」
「…」
「し、しねぇよ。あかねとしか、こんなこと…」
乱馬が怒ったような拗ねたようなそれでいて照れた表情でそっぽを向いた。
「じゃー、なんで“ごめん”なんて言うのよ」
「そ、それは…その…」
私は乱馬の顔をじっと覗き込んで次の言葉を待つ。
「は、はじめてなのに、無理させちまって、さ」
と乱馬は目線をちらっと下に向けた。
見るとシーツには赤い血の跡があった。
私の顔が、かぁっと暑くなった。
「俺、こんなこと、は、初めてでっ、そのっ、おめーが初めてなのも分かってたけどその、抑えられなくて、わ、悪かった…痛い思いをさせちまって」
そ、そっか、好きでもないのに襲われたわけではないのね、とりあえず。
よかった。
ちらっと乱馬の表情を伺っているとなんか考え事してるみたいな真剣な表情になっていた。
「あ゙ーーちくしょう!!」
乱馬は突然そう叫んで頭を抱えていた。
「な、なによ!」
すると乱馬はぽつりと呟いた
「惚れねー自信あったんだけどな」
「え?」
その言葉にどきっとした。
今までで一番核心に近い言葉を聞けた気がした。
続く言葉にどうしても期待してしまう。
「俺はまだ修行中の身で、まだ完全な男に戻れてねぇし、大体女なんて修行の邪魔だって思ってたし」
「許婚なんて勝手に決められて、しかもその女がとんでもなくかわいくねーことばっかり言いやがるし、じゃじゃ馬だし、お節介やきだしこんな女と結婚だなんて冗談じゃねぇっ!て思ってた」
ところどころ“むかっ”とする箇所があったけど、今日はなにか大事な事が聞けそうで黙っておいた。
「その上そいつには好きな奴がいて、叶わない相手をずっと想っていやがるし、俺にはすんげー馬鹿力で殴ったり怒鳴ったりするくせに、けどたまにやけに、かっ可愛くなったり、素直になったり、俺の本気じゃねー言葉に傷ついたり、人前では元気に振る舞うくせにほんとは落ち込んでたり」
「ちょっと目ぇそらすと他の男にちょっかい出されてるし無茶なことしてたりするし…」
乱馬が恨めしそうにこっちを見る。
「…おめーのせいだぞ。おめーが無茶苦茶だから…」
「む、無茶苦茶なのはあんたの方でしょうがっ!」
呪泉郷やら、乱馬をとりまく環境の方がよっぽど無茶苦茶だ。
無茶苦茶すぎていつのまにか乱馬から目が離せなくなっていた。
こんなにも私の心を捕らえて掴んで離さない。
私ばっかりが乱馬に振り回されてるって思ってた。
だから乱馬にそんなこと言われるとは思ってもみなかった。
はーっと乱馬は大きくため息をついた。
「だからおめーはにぶいんだよ」
「なんですってぇ?!」
私はちっとも分からないという顔をきっとしている。
「…高校卒業したら天道家を出ようかと思ってた」
「え…」
そんなことはじめて聞いた。
「ここを出て、もっと世界を歩き回って、もっとつえー奴と戦って、戦ってもっともっと強くなったら、そん時にあかねをもらいにくるつもりだった」
「それまでは絶対に手ェ出さねーって決めてた。…たまにヤバイときもあったけど…」
「な、なんで?」
「手ェ出しちまって、俺が修行に行ったあとにあかねに他に好きな奴ができたらって思うとさ。俺、待ってろなんて言えねーし」
「言えばいいじゃない」
「言えるかよ。生きて帰ってこれるかもわかんねーのに無責任に“待ってろ”なんて」
「ばーか」
「な゙!ばかとはなんだばかとは」
「ばかだからばかって言ってんのよ」
私は恥ずかしいから、うつ向いて乱馬とは目が合わないようにぎりぎり声になるかならないかくらいの小さな声で呟いた。
「待ってるもん。乱馬が待つなって言ったって、私はきっと帰ってくるって信じてるから」
乱馬以外に私の隣に並んでいて欲しい人なんか、この先絶対に現れるわけがない。
「ほんとにばかなんだから」
乱馬は結局好きって言ってくれなかったけど私には充分伝わってきて嬉しくて涙が溢れてきた。
泣いているけど私はきっといま最高に笑っている。
「あかね…」
また乱馬が私の名前を呼んで、乱馬の手が私の手に重なってきた。
私たちは今日何度目かのキスをした。
まだ裸のままだった私がいつの間にか横に倒されていて、また乱馬が私の上に覆い被さっている。
「だ…だめっ!だめよ乱馬っ!///」
「なんでだよ」
乱馬がまた拗ねている。
「みんながもう帰ってきちゃうから…」
もうカーテンから漏れる光はさっきより大分薄暗くなっていた。
離れたくないけどもうすぐみんなが帰ってきてしまう。
乱馬は起き上がってほんとに凹んだように深くため息を吐いた。
「俺、お前を残して修行になんて行けんのかな」
なんとも乱馬がそんな情けない発言をしたのにびっくりした。
けどすごくいとおしい気持ちでいっぱいになった。
「ばか。なに情けないこと言ってんのよ。世界一強くなって帰ってこなきゃ許さないんだから」
「ばかはおめーだっ。俺はもはや宇宙一つえーんだよっ」
「いつも猫に追っかけられて泣いてるくせにー」
「うるせー」
二人で、いつもとは少し違う柔らかい声で笑いあった。
私はきっと待っていられる。
今まで今日のこの日の幸せを待ち続けられたように乱馬の帰りをずっと今と同じ想いで待ち続けられる。
そう実感した…―
-end-
あとがき
初めて小説を書いてみました。
小説ってか駄文ですけど…。
高校三年生くらいの設定ってことで。
いつも乱馬くんがあかねちゃんを振り回してるように見えるけど、乱馬くんからしたらあかねちゃんの行動や言動ひとつに反応してしまい、乱馬くんにとっては一番振り回されている人なのではないのかな、と思い書いてみました。
伝わればよいのですが…。orz
私の中の乱あは例え付き合っても結婚しても言い合いしています(笑)
(らんま1/2novel乱×あ)
締め切ったカーテンの隙間からオレンジ色の日差しが差し込んでくる。
もうすぐみんなが帰って来てしまう頃だ。
部屋には脱ぎ捨てられた私の青いスカートと赤いチャイナ服が重なっていた。
ベッドに横たわる私の上に裸の姿の乱馬が乗っかっていて、重たいけれどその重みさえどこか心地いい。
むくっと乱馬が起き上がり、私の中にいた乱馬の一部がずるっと抜けて私の躰が跳ね上がった。
少し体を持ち上げた乱馬は、私を見つめるものの顔は真っ赤で、私も負けずに顔が赤い。
なんで?
なんでこんなことになったんだろう…?
今日は天道家、早乙女家の面々は町内の日帰り旅行。
私と乱馬は明日試験があるからと私の部屋で普段授業を聞いていない乱馬に数学を教えていた。
けど、ふとした瞬間にお互いの距離が近くなってそれに気づいてお互いぱっと離れた。
その次の瞬間にまた目があって、気がついたら切羽詰まったような、せつないような眼差しで乱馬の顔が近づいてきて、それから…。
好きだなんて言葉一言もなかった。
変わりに私の名前を乱馬が何度も呼んだ。
気づいたら私は乱馬を受け入れていた…。
だって、私はずっと乱馬を待っていた。
他の誰もが持っていない、確かな乱馬の特別な「証し」が欲しかったから…。
「・・・・・・・・・・」
「・・・・・・・・・・」
長い沈黙が私達を包む。
「そ、そろそろみんな帰ってきちゃうね…」
「あ、ああ…」
「私、なんだか喉乾いちゃった!なにか冷たいもの取ってくる!」
慌てて服を掴み、その場から逃げようとしたが、乱馬に腕を捕まれてしまった。
「な、なに?」
「いや、あのさ…」
「…」
「その…ごめん…」
「…なんで謝るの?」
「いや、その…」
「…………そっか、男の人って別に好きでもない人ともこういうこと出来るんだもんね…」
自分でそう呟いたくせに私の目からは涙が溢れそうになっていた。
「な゙!そ、そんなんじゃねぇ!!」
乱馬が慌てている。
「ほ、他の野郎のことは知らねえが、俺は、あかねとしかっ…!」
「…」
「し、しねぇよ。あかねとしか、こんなこと…」
乱馬が怒ったような拗ねたようなそれでいて照れた表情でそっぽを向いた。
「じゃー、なんで“ごめん”なんて言うのよ」
「そ、それは…その…」
私は乱馬の顔をじっと覗き込んで次の言葉を待つ。
「は、はじめてなのに、無理させちまって、さ」
と乱馬は目線をちらっと下に向けた。
見るとシーツには赤い血の跡があった。
私の顔が、かぁっと暑くなった。
「俺、こんなこと、は、初めてでっ、そのっ、おめーが初めてなのも分かってたけどその、抑えられなくて、わ、悪かった…痛い思いをさせちまって」
そ、そっか、好きでもないのに襲われたわけではないのね、とりあえず。
よかった。
ちらっと乱馬の表情を伺っているとなんか考え事してるみたいな真剣な表情になっていた。
「あ゙ーーちくしょう!!」
乱馬は突然そう叫んで頭を抱えていた。
「な、なによ!」
すると乱馬はぽつりと呟いた
「惚れねー自信あったんだけどな」
「え?」
その言葉にどきっとした。
今までで一番核心に近い言葉を聞けた気がした。
続く言葉にどうしても期待してしまう。
「俺はまだ修行中の身で、まだ完全な男に戻れてねぇし、大体女なんて修行の邪魔だって思ってたし」
「許婚なんて勝手に決められて、しかもその女がとんでもなくかわいくねーことばっかり言いやがるし、じゃじゃ馬だし、お節介やきだしこんな女と結婚だなんて冗談じゃねぇっ!て思ってた」
ところどころ“むかっ”とする箇所があったけど、今日はなにか大事な事が聞けそうで黙っておいた。
「その上そいつには好きな奴がいて、叶わない相手をずっと想っていやがるし、俺にはすんげー馬鹿力で殴ったり怒鳴ったりするくせに、けどたまにやけに、かっ可愛くなったり、素直になったり、俺の本気じゃねー言葉に傷ついたり、人前では元気に振る舞うくせにほんとは落ち込んでたり」
「ちょっと目ぇそらすと他の男にちょっかい出されてるし無茶なことしてたりするし…」
乱馬が恨めしそうにこっちを見る。
「…おめーのせいだぞ。おめーが無茶苦茶だから…」
「む、無茶苦茶なのはあんたの方でしょうがっ!」
呪泉郷やら、乱馬をとりまく環境の方がよっぽど無茶苦茶だ。
無茶苦茶すぎていつのまにか乱馬から目が離せなくなっていた。
こんなにも私の心を捕らえて掴んで離さない。
私ばっかりが乱馬に振り回されてるって思ってた。
だから乱馬にそんなこと言われるとは思ってもみなかった。
はーっと乱馬は大きくため息をついた。
「だからおめーはにぶいんだよ」
「なんですってぇ?!」
私はちっとも分からないという顔をきっとしている。
「…高校卒業したら天道家を出ようかと思ってた」
「え…」
そんなことはじめて聞いた。
「ここを出て、もっと世界を歩き回って、もっとつえー奴と戦って、戦ってもっともっと強くなったら、そん時にあかねをもらいにくるつもりだった」
「それまでは絶対に手ェ出さねーって決めてた。…たまにヤバイときもあったけど…」
「な、なんで?」
「手ェ出しちまって、俺が修行に行ったあとにあかねに他に好きな奴ができたらって思うとさ。俺、待ってろなんて言えねーし」
「言えばいいじゃない」
「言えるかよ。生きて帰ってこれるかもわかんねーのに無責任に“待ってろ”なんて」
「ばーか」
「な゙!ばかとはなんだばかとは」
「ばかだからばかって言ってんのよ」
私は恥ずかしいから、うつ向いて乱馬とは目が合わないようにぎりぎり声になるかならないかくらいの小さな声で呟いた。
「待ってるもん。乱馬が待つなって言ったって、私はきっと帰ってくるって信じてるから」
乱馬以外に私の隣に並んでいて欲しい人なんか、この先絶対に現れるわけがない。
「ほんとにばかなんだから」
乱馬は結局好きって言ってくれなかったけど私には充分伝わってきて嬉しくて涙が溢れてきた。
泣いているけど私はきっといま最高に笑っている。
「あかね…」
また乱馬が私の名前を呼んで、乱馬の手が私の手に重なってきた。
私たちは今日何度目かのキスをした。
まだ裸のままだった私がいつの間にか横に倒されていて、また乱馬が私の上に覆い被さっている。
「だ…だめっ!だめよ乱馬っ!///」
「なんでだよ」
乱馬がまた拗ねている。
「みんながもう帰ってきちゃうから…」
もうカーテンから漏れる光はさっきより大分薄暗くなっていた。
離れたくないけどもうすぐみんなが帰ってきてしまう。
乱馬は起き上がってほんとに凹んだように深くため息を吐いた。
「俺、お前を残して修行になんて行けんのかな」
なんとも乱馬がそんな情けない発言をしたのにびっくりした。
けどすごくいとおしい気持ちでいっぱいになった。
「ばか。なに情けないこと言ってんのよ。世界一強くなって帰ってこなきゃ許さないんだから」
「ばかはおめーだっ。俺はもはや宇宙一つえーんだよっ」
「いつも猫に追っかけられて泣いてるくせにー」
「うるせー」
二人で、いつもとは少し違う柔らかい声で笑いあった。
私はきっと待っていられる。
今まで今日のこの日の幸せを待ち続けられたように乱馬の帰りをずっと今と同じ想いで待ち続けられる。
そう実感した…―
-end-
あとがき
初めて小説を書いてみました。
小説ってか駄文ですけど…。
高校三年生くらいの設定ってことで。
いつも乱馬くんがあかねちゃんを振り回してるように見えるけど、乱馬くんからしたらあかねちゃんの行動や言動ひとつに反応してしまい、乱馬くんにとっては一番振り回されている人なのではないのかな、と思い書いてみました。
伝わればよいのですが…。orz
私の中の乱あは例え付き合っても結婚しても言い合いしています(笑)
