感情とは何か?――科学と哲学から読み解く「心」の正体
こんにちは。EQナビゲーターの白岩俊正です。
私たちは日々、さまざまな「感情」とともに生きています。
喜び、怒り、不安、悲しみ、感動……それらは人生に色を与え、ときに私たちを動かす力にもなります。
けれども、ふと立ち止まって考えると――
そもそも感情とは、いったい何なのでしょうか?
今回はこのテーマを、科学と哲学という2つの視点からやさしく、そして深く探ってみたいと思います。
この記事を読み終えるころには、あなたの「感情」に対する見方が、少し変わっているかもしれません。
感情は「脳と体の反応」? ――科学の視点
まずは、科学の世界から感情を見てみましょう。
たとえば「怒り」や「恐怖」を感じるとき、脳内で最も活発に働くのが**扁桃体(へんとうたい)**です。
これは危険を察知し、体に「戦うか、逃げるか」の指令を出す働きを持つ部位です。
また、「嬉しい」「安心する」といった感情には、ドーパミンやセロトニンといった神経伝達物質が関わっています。
これらは“幸せホルモン”とも呼ばれ、気分を前向きに保つ重要な役割を果たします。
さらに、心理学の研究では「基本感情理論」というものがあります。
それによると、
- 喜び
- 怒り
- 悲しみ
- 恐れ
- 嫌悪
- 驚き
この6つは、人種や文化を超えて、すべての人が共通して持っている「基本的な感情」だとされています。
そして、進化心理学の視点では、「感情は生存戦略として進化してきた」と考えられています。
たとえば…
- 恐れ → 危険を回避するため
- 怒り → 自分の縄張りを守るため
- 喜び → 社会的つながりを築くため
つまり、感情はただの“気分”ではなく、生き延びるために獲得された反応システムなのです。
感情は「価値の鏡」? ――哲学の視点
一方で、哲学はこう問いかけてきました。
「あなたは、なぜその感情を“感じている”のか?」
古代ギリシャの哲学者ストア派は、
「感情は誤った判断から生まれる」と考えました。
だからこそ、人は理性によって感情をコントロールすべきだと説いたのです。
一方、17世紀の哲学者デカルトは、
「感情は魂の動きであり、身体と心の結びつきの証だ」と述べました。
彼は、感情こそが人間の本質に深く関わっていると考えたのです。
近代の哲学では、「感情とは意味づけの結果」という見方が強まります。
たとえば、ある出来事が起きたときに
Aさんは怒り、Bさんは悲しむ。
なぜ反応が違うのでしょうか?
それは、その人が「何を大切にしているか」、
つまり価値観によって、感情が生まれるからです。
- 「怒り」 → 自分が尊重されていないと感じたとき
- 「悲しみ」 → 大切なものを失ったとき
- 「不安」 → まだ起きていない未来に備えようとする心の動き
つまり感情とは、**自分が何を大事にしているかを教えてくれる“価値の鏡”**なのかもしれません。
EQナビゲーターとしての視点 ――感情は「人生の航海図」
私はこれまで、「感情とどう付き合うか」をテーマに、多くの人と対話を重ねてきました。
そのなかで確信していることがあります。
それは、感情に名前をつけることの大切さです。
「いま私は怒っている」
「なんだか不安を感じている」
「ちょっと寂しい気がする」
そうやって、自分の感情を言葉にするだけで、
私たちの心は少しずつ“自由”になっていくのです。
私はこれを「感情の地図」と呼んでいます。
感情に名前をつけることは、まるで地図に“ここが今いる場所です”とマークをつけるようなもの。
そこから初めて、次の一歩が見えてくるのです。
さいごに ――あなたの感情に、名前をつけてみませんか?
感情は、ときに私たちを揺さぶり、ときに私たちを救ってくれます。
それは「敵」でも「味方」でもなく、あなたという人間の一部です。
もし、いま何かの感情を抱えているとしたら――
その感情に、そっと名前をつけてみてください。
それが、自分を理解し、受け入れる最初のステップになります。
💬 あなたへの問いかけ
「いま、あなたが感じている感情に、どんな名前をつけますか?」
よければ、コメントで教えてくださいね。
それでは、また次の記事でお会いしましょう。
この記事を書いた人
EQナビゲーター 白岩俊正
感情に名前を与える“心の航海図”を広めるために活動中。
心理学、哲学、脳科学をベースに、人間関係や自分自身と向き合うための知恵を発信しています。









