『苦役列車』と『落ちぶれて袖に涙のふりかかる』の2遍からなる第144回芥川賞作品。
《苦役列車》
10代の北町貫多はプライドが高いくせに小心者で怠惰で自分を大きく見せたい性格。
まるで僕のことを書かれているようで妙に親近感を持ちました。
家賃は払わないくせに買淫のためにコツコツとお金を貯める根性は笑った。
《落ちぶれて袖に涙のふりかかる》
40代の貫多が描かれている。
10代の頃になりたかった小説家になっていました。
捻くれた性格は変わらず。
しかし功名心だけではダメだと気付きながらも尚、栄誉ある賞を獲りたいと思う貫多に人間臭さ、人間的な魅力を感じました。
小雨が降る中、日本酒の自販機の前でワンカップを握り、腰痛で動けなくなった描写は印象的でした。
結局賞を獲るためにコツコツと小説書いたり験を担いだりしても、作品中では賞を獲れませんでした。現実は厳しい。
いつか貫多には何かしらの賞をとってほしいと思って読み終わったのですが、実際に賞をとったのですね。
この小説が私小説だったと読み終わってから知りました。
西村賢太
北町貫多
なるほど、主人公の名前も著者名をもじっていたのか!
それにしても自分の恥部をこれだけさらけ出した作品を書けるって、すごいなぁ。
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本の紹介[Amazonより]
著者:西村 賢太
劣等感とやり場のない怒りを溜め、埠頭の冷凍倉庫で日雇い仕事を続ける北町貫多、19歳。将来への希望もなく、厄介な自意識を抱えて生きる日々を、苦役の従事と見立てた貫多の明日は――。現代文学に私小説が逆襲を遂げた、第144回芥川賞受賞作。後年私小説家となった貫多の、無名作家たる諦観と八方破れの覚悟を描いた「落ちぶれて袖に涙のふりかかる」を併録。解説・石原慎太郎。
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