ピアノコンサートの手伝いをしました。
コンサートホールではなく、ある施設の一角でのピアノコンサートでした。
私はその受付をお手伝いさせていただきました。
ピアニストは地元出身の方です。
コンサートは午後2時からで、朝からピアニストはリハーサルをしたり私たちも会場の準備などに追われていました。
コンサート目的ではないお客様にももし興味がある方がいたら聴いてもらえたらいいなと思い、ピアニストの方にフリー客にも勧めてもいいか尋ねたところ、
「勧めてもらうのはいいけど、演奏途中で入って来られると困るので」
との返事でした。
ピアニストにとって演奏途中で物音がすると演奏に差し支える、コンサートでは常識です。
常識なのはわかるのですが本当にこの常識は、音楽家の発想なのでしょうか…。
演奏中に物事を立ててしまった人に対して、うるさい出て行けと言わんばかりの冷たい視線をとばすような雰囲気、音楽を楽しむ人の態度なんでしょうか?
ピンと張り詰めた緊張感がありつつも、心地よいいい演奏、皆が演奏にひたすら集中する空気感というのは結果そうなるものであって、最初からわざとらしくつくるものではない。
なんとなくざわざわしてるコンサートなんて、その程度の演奏なんじゃないんですか?
とは言えず、
「わかりました」
とだけ言いました。
その後のステージの準備では、
このライトの角度では、手元が影になるから弾けないなどなど、おっしゃっていたようです。
生まれつき目が不自由でも、涙が出るほど素晴らしい演奏をするピアニストがいるというのに…どうしても比較をしてしまいました。
駅ピアノだとか、ストリートピアノだとかよくみかけますが、ピアノが好きだという一点でそれを弾く人がいる。それを囲むように聴き入る人たちもさることながら、通りがかりの人にまでワンフレーズだけでも耳に入り、その人たちの心にわずかでも暖かなものが届いたのなら、こちらのほうが音楽家として成立していると私は思います。