石油由来のプラスチック、燃料に代表される石油製品が非常に世の中で悪評のレッテルが張られています。

 

 悪評レッテルを払拭するために自然由来素材に注目が集まっています。

では本当にエコ、持続可能なのでしょうか?

 

例としてポリ乳酸(分解性プラスチック)とセルロース(木材由来の高分子素材)について考えてみました。

 

 

1.ポリ乳酸

 

 ①特徴について

   乳酸が連なったポリ乳酸は、加水分解(水によって分解)性を有しているので、環境条件がそろえば乳酸に分解され、最終的には水と二酸化炭素にまで分解されます。それゆえ環境にやさしいと言われます。使用後のポリ乳酸を回収しても再利用困難なので ONE WAY と位置付けられます。

 

 ②乳酸について

   アメリカのある世界的企業で大量生産されているようです。その元原料はトウモロコシです。トウモロコシを発酵させて乳酸を得ます。トウモロコシは三大穀物の一つです。食用でなく工業用へ転作が進めば世界的な食糧危機を招く可能性があります。そうでなくても世界人口は増加の一途が予測されています。持続可能性に黄~赤信号です。プラスチック研究の場では食用以外からの乳酸供給を探索しています。

 

 ③分解性について

   ほとんど微生物による分解は期待できません。主に加水分解(水による分解)です。環境に放出された場合、低い海水温度下や土壌中では長い分解期間が必要です。ゆえに徐々に形状崩壊(ボロボロになる)を経てマイクロ化する可能性が高くなります。

   一方、分解された乳酸や分解残物は酸性をしまします。これにより土壌や環境水の酸性化を起こす可能性があります。

 

 

2.セルロース

 

 ①特徴について

   木材を中心とする植物から得られます。その生分解性良好です(自然界で証明済)。紙製品の主原料でもあります。

 

 ②セルロースについて

   主原料が木材であるため自然界に豊富に存在していると思われています。しかし、世界的に森林は減少傾向を示しています。地球全体としての二酸化炭素吸収力が低下していることを示しています。

   さらに、セルロースの需要が高まれば、木材伐採が進みさらに地球温暖化を促進することにもなります。木材伐採には貧困問題が深くかかわり高度な世界的管理が求めれます。持続性に黄~赤信号です。

 

 ③分解性について

   かなり良い分解性が広く認められています。

 

 

<まとめ>

 ・生分解性プラスチック等、自然由来素材はライフサイクル(全体)で見れば必ずしもエコや持続可能性に疑問がある

 ・生分解性を有しても廃棄物となれば一般廃棄物と同様に回収・廃棄処分となる

 ・廃棄物として海洋プラのような環境放出された場合のみメリットが生かされる

 ・一般廃棄物と比較して何が実質メリットなのか?を見出す活動が必要である

 

※石油(原油)も木材等の植物が地中深くで長年の化学変化で得られるものです。ある意味自然由来原料とも言えます。余談です。