ライバルに勝つための最後の秘密兵器
リスト収集の「リーサル・ウェポン」
福澤徹三氏の同名小説を基にした映画「東京難民」(中村蒼主演)が封切られている。学費未払いで大学から除籍された青年が、ネットカフェ難民、ホスト、ホームレスへと転落していくドラマ。「半落ち」など現代社会が抱える問題をエンターテインメントで描いてきた佐々部清監督は「若い人はもちろん、中高年、政治家にも見てほしい」と力を込めた。
コンビを組む脚本家、青島武氏に原作を勧められて読んだが…。「何でも人のせいにする主人公に全く共感できない。無理だと言ったが、佐々部が撮らないものの脚本を書きたいといわれて」と苦笑い。
再び原作に目を通し、テーマを見いだした。監督は大学時代、風呂も電話もない四畳半一間で暮らした。物質的に豊かではなかったが、友人たちが安酒を手に訪ねてきて一晩中、夢を語った。が、“東京難民”の若者は夢を語れない。話し相手はスマートフォンとネットカフェのコンピューターの向こうにいる姿形のないもの。
「この国はなぜこんなことに、ということをエンタメで描けたら」。東日本大震災の被災地で自作を無料上映をした監督の思いを込め、脚本にさりげなく“震災”も盛り込まれている。闇や暗部を描くため、フィルムを使用。「ざらっとした質感がほしかった。16ミリの荒れた質感で難民の雰囲気が出た」
中村は主人公同様、つかみどころがなかったという。「僕は自分の娘もつかめない(笑)。それがあの世代のリアル。素の中村蒼が主人公になっていけば」とほぼ脚本通りに撮影した。“落ちる”ほどに主人公は人間らしくなる。「主人公が最後に一番いい顔をする映画にしたかった」
不況で倒産が相次ぐ今、描いた内容は誰にでも起こりうると考える。「支援制度を知ることや生身の友人関係もですが、最も小さい集合体である家族の大切さに気付いてほしい」。親交のある安倍晋三首相に今作を送り、昭恵夫人が作品にコメントを寄せているという。
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