そうだ今泣いているのか、私。
ひとすじの青が頬を伝う。
泣いてることで生きていることに気付いた。
長い間眠り続けてこのまま目が醒めなければいいのに。
寝ても覚めてもむなしくて、昼なのか夜なのかもわからないまま、また暗い底へと沈んでいくように眠る。
カーテンの隙間から射す光に目を細めながら重い頭を持ち上げ寝返りをうった。
枕に残る君の香を感じ、テーブルに手を伸ばし吸い差しのタバコに火をつけた。
あれは全て夢…。
「何してんの?」
「うん?あー何もしてない。お腹空いたな~って思ってて、でもお金ないから」
「ご飯一緒に食べに行こうか?」
向かいのファミレスを指さして、私は君の深い緑の目に吸い込まれるように見つめた。
「身体で払うの?」
と君は言う。見つめあったまま私は吹き出した。
「そんなこと考えてもなかったし。とにかく暖かい所に入ろう、私もお腹空いてるから」
仕事の外回りの途中で雨に降られて雨宿りしていた時に、冷たい雨に震えている子猫のような君を見つけた。雨でびしょ濡れなのに震えながら煙草の煙をくゆらせて。まるで絵画のようで、切り取って額に入れたい衝動に駆られる。そして、私も煙草に火をつけて、一息つきながら君から目を離せなくなっていることに気付いた。
「1人でご飯苦手なんだ、付き合ってよ。」
「うん、いいよ。行こっか。」
君は立ち上がりリュックの中から携帯灰皿を取り出した。