心にぽっかりと穴が空いたような。感覚には程遠い。全くそんなの感じられなかった。あえて言うなら一つの現場が終わったような、壮大な一つの仕事が終わったような感覚だ。達成感に似たような、でもだいぶ違う、公演を通しての修正点や課題点が心情を埋め尽くす。


もっとちゃんと出来なかったか。もっと深く拘れなかったか。そんな事を思い返しても後の祭り。まずは一つ、無事に懸念する事故も無く終演を迎えられた事に感謝する。



舞台は儚い。そんな言葉を以前聞かされたことがる。公演を思い立った4月、そこから約8ヶ月の準備期間を経て4日間の本番を迎える。8ヶ月が4日で終わるのだ。それは確かに儚く尊い。敢えて自身で主催、企画した上で更なる感触を憶える。


千穐楽を終え、日暮里から帰る車の中でボーッと虚空を見ていた。憶えているのは「コーヒーが飲みたい」それだけだった。ジョージアのエメラルドマウンテン。途中で車を止め、コンビニでコーヒーを買う。ズタボロの僕の様相をマジマジと見つめていた店員が、訝しそうに僕の応対をしてくれる。ありがとうも言えず退店。感じの悪い客だったと思う。



これで良かったのか、これがやりたかったのか、これが正解だったのか。じゃあ何が正解だったのか。必要の無い尋問を容赦無く浴びせられる。誰に。僕が僕自身に。黙秘を続ける僕。答える気の無い僕は、コーヒーをもうひと飲みし車を走らせる。


心にあるものをやれ。それがこの舞台の核だった。何を題材にし、何をテーマにするか。しかも自分にとってのデビュー戦。ここで嘘をつく訳にはいかなかった。結果、魂が叫びたがってるもの、心身共に苛烈なダメージを負う作品をする事となる。


楽しかったかどうかは今でも正直よく分かっていない。ただ「終わった」これが一番素直な気持ちだ。と同時にもう次にやりたい作品も浮かんでいる。いつやるかは分からないが。これはこれでワクワクはする。



僕は成長したんだろうか。前に進めたんだろうか。一歩を踏み出したのだろうか。今でもよく分からないまま、そんな事を常思いながら次の現場に挑もうと思う。