日本唯一の伊アブルッツォ州料理専門店。在東京イタリア大使館の専属料理人だったファビアーノ氏とその師匠であるオーナーのサバティーノ氏のタッグで、そのバックボーンも最強。店名のパエサーニとは村人を意味し、このトラットリアではまさに村人のように、本場仕込みの郷土料理を楽しむことができる。
アブルッツォ州とは首都ローマがあるラツィオ州に隣接した州だが、普通の人にはあまり馴染みがないだろう。実際に自分も初耳ではあったものの、大井町にあるカラブリア州料理の「トラットリアヨシダ」もそうだが、イタリアンというジャンルをさらに突き詰めたお店には個人的に惹かれるものがある。
場所は高田馬場駅からやや歩く早稲田通り沿いにあるロケーションで、なぜこの場所なのかは謎。L字形の店内は落ち着きがある雰囲気なのだが、この日は祝前日にもかかわらず、お客さんは我々ともう1組のみで明らかに場所が影響しているとしか思えない。
メニューのバリエーションは豊富だが、メニューのみ写真撮影は禁止とのこと。永福町の「マッシモ」もそうだったが、それだけメニューにこだわりがあるということだろう。自らサービスもするサバティーノさんは気さくな方で、オーナーのおすすめに従ってオーダー。
パエサーニ名物の自家製アブルッツォサラミの盛り合わせは、お店で熟成させている全て手作りの逸品で手動でカットしているこだわりよう。特にスパイシーなサラミのヴェントリチーナは買って帰りたいほどの美味しさ。残念ながら手作りゆえ、お店で味わうしかないのだが。他にも激旨のサルシッチャやカヴァテッリ、アブルッツォ州で盛んというラム肉など、どれもさすが大使の料理番と思わせるクオリティの高さ。
それらの料理に合わせたワインも当然アブルッツォのもので、今売り出し中というワイナリー「ヴィッラメドーロ」の赤を。サラミやサルシッチャのしっかりした強めのテイストを受け止めており、まさにアブルッツォマリアージュ。
3人でワイン1本にグラスワインを飲み、料理をしっかり食べてデザートで締めての6000円台の会計もコスパに十分に見合ったもの。また訪れたいと思わせる良店だが、場所が変われば人気店間違いなしと素人には思えてしまう。