上曽トンネル建設議案。議決時、ギリギリまで迷った末の、苦渋の不賛成(反対)の決断でした。
「上曽トンネル建設」は、平間町長以来の旧真壁町民の悲願であり、また、議員選出馬時の私の公約でもあったからです。将来を考えれば、上曽トンネルは絶対に必要です。
そう強く思います。しかし、今回、私は賛成に回ることは出来ませんでした。
その理由は、以下のとおりです。
(理由その1)
市の借金(「合併特例債」の起債)で、「県道」の整備をすることには、反対。少し待ってでも、当初の約束どおり、県に作ってもらうべきと考えたからです。
(理由その2)
元金ベースで、事業費市負担分の7割近くを国からもらえると言っても、33.5%は市の負担。病院建設72億円、小中一貫校建設35億円、高森開発27㏊の土地購入など、すでに巨額の借金をすることが確定しています。しかも、その中には大変な無駄遣いが含まれています。こうした中、市は、毎年自分の財布の中からいくら出し、どう返していくか。そのそのことについてのキチンとした説明もなく、さらに31億円もの巨額の借金をするという提案。財政的に大きな不安があり、反対せざるを得ませんでした。
(無駄な金使いとは・・・)
今までの大塚市政の放漫な財政運営で、巨額の後年度負担(借金返済)が発生しています。無駄遣いの具体例は次のとおりです。
① 利用計画が不明な大和駅北地区27㏊の買い上げ。
以前から長方地区に所有していた2㏊を含めると、市土地開発公社が所有する未利用地は20数haにのぼります。この土地を開発するとなれば、市は、また多額の支出を強いられ、財政を圧迫することは必定です。若し何もせずにたなざらしにすれば、除草作業等の維持管理費が重くのしかかります。
② 倍以上に膨らました「小中一貫校建設費」
さらに、桃山中への真壁小と紫尾小の統合(小中一貫校一体型)に要する費用は、道路建設費を含め、総額35億円にのぼります。真壁小での2小学校の統合(小中一貫校併設型)による建替えであれば、建設費用は17億円程度で済みます。つまり、市長や教育長らが、建設費を倍に膨らましたということです。教育の視点に立って考えても、「一体型」が「併設型」に対し特に優れているとは決して言えません。
節約するのではなく、お金を掛けることに目的があるかのように思えてしまう市政運営です。
こうした無駄遣いで財政負担が増す中で、上曽トンネルの建設で貴重な「合併特例債」をさらに31億円も県に使わせられることには、私は反対です。北関東道の開通などで、上曽トンネルの必要性は、以前より低減しているという視点も重要です。
この31億円の「合併特例債」起債額は、今までの市の「合併特例債」起債額の中では最大規模のものであり、それは、中田前市長が起債した8年間の総起債額31億円と同額であることはしっかり把握しておく必要があります。
ちなみに、お金がないと言ってスタートした大塚市長の「4年間」の「合併特例債」起債決定額は、私の推計で総額80億円となる見込みで、これに「病院事業債」の48.4億円を加えると、実に130億円近い大型借り入れ(起債)となります。
なお、「病院事業債」は、起債対象事業費の返済額(元利償還額)の40%分しか国からもらえず、「合併特例債」に比べれば、市にとってより負担の大きい借り入れ(地方債)となっています。この48.4億円の借り入れに対する、市の一般財源からの元利合計の返済額は42.2億円になります(市試算)。
(理由その4)
石岡や八郷側(山東(やまひがし))に行くのは確かに便利になりますが、水戸や茨城空港に行くには北関東自動車道「筑西桜川インター」、常磐自動車道や圏央道に乗るには「土浦北インター」や「つくば中央インター」などがあります。こうしたことから、真壁地区においても、上曽トンネル建設の必要性は以前に比べればかなり減っているという声も多く聞かれます。もう少し我慢して、県の財政の改善を待ち、県の事業として通してもらう本筋に戻すべきです。今回の、「合併特例債」を使っての建設提案は、関係者による知事選前のパフォーマンスではないかという見方さえあります。
なお、「合併特例債」を利用できるのは合併した市町村のみであるため、県は、県道を市道に格下げして市に「合併特例債」を使わせ、トンネルの完成後にまたそれを県道に戻すという奇策を弄するわけで、合併市町村にとって虎の子ともいえる貴重な「合併特例債」を31億円も市に使わせるという県の姿勢は指弾されてしかるべきものであると私は考えます。
色々書きましたが、以上が、悩んだ末の「建設議案」に賛成できなかった理由です。
(追記)
真壁町時代、上曽トンネルは県が作ることになっていました。主要「県道」ですから、それは当たり前のことです。 現に、今も、国に提出して承認された計画として県がインターネト上に掲示している「茨城県の『社会資本総合整備計画』」においては、県が「実施主体」であるとハッキリと示されています。