波風を立てないように

怒らせないように

静寂を求めて

安らぎを求めて

心を眠らせることにした

見聞きすることにも

体験することにも

何も感じず

何の意味もなくなった

眠りを妨げるものは一切遠ざけた

心は恥や怒りや恐れから開放された

思考と体力だけで動く

ロボットと同じ存在

それでも眠りは心地よい

心は全く動かなくなり

衰弱しきった

心は死につつあった

やがて眠りは心地よくなくなった

日々増してゆく無価値感という

心の悪夢に

思いも体も蝕まれはじめた

存在意義と尊厳の喪失

心は思いによって固く封じられているかに見えた

思いは心に守って欲しいと説得され

心を眠らせることにした

思いは心に欺かれたことに気づいたが

心はどこにもいなくなっていた

心は迷宮の最下層の地下牢に

自ら好んで幽閉されている

牢に鍵はされていない

心が内側から鍵をかけた

心は認めないかもしれないが

そう

眠りを愛して自ら好んでそこにいる

心は言い訳を固めてなかなか出てこようとしない

お外は危険だと

人には心があるから

自分という個性を生み出すことができる

人には心があるから

他人の喜怒哀楽を知ることができる

人生は自分の心を見出す旅

心に光をもたらさなければ

真のオアシスは完成しない

人々の憩いの場

旅人が旅の話をしてくれる

自分は宿屋の主人

自分は酒場の女将

大海原に乗り出すか

砂漠の海を渡ってゆくか

高い山を征するか

一つに絞るよりも

冒険者たちの語ってくれることで

全てを仮想の世界で味わえる

心は牢の扉越しに話を聞いて

自ら冒険者になることはしない