はじめまして。
エンクラ3年代(33期)の守谷花梨です。
前回,香緒さんの匂いの記憶についてのお話を読んで,共感したのと同時に1代上の香緒さんも,扉の前で手が震えたり,怖くて楽しみな予感を味わいながら歩いて帰った,エンクラに入る前の時期があったのだということに親しみが混じった不思議な気持ちになりました。
香緒さんは私が初めてエンクラのワークショップに行った時から,「エンクラの人」という認識だったのと,それ以上に,私がエンクラに入るきっかけとなった演劇に出演していたことで,どこか良い意味で遠い人のように感じていたからかもしれません。
ある人の一面しか知らないということを大抵いつも忘れてしまうのは,良いことでも悪いことでもある気がします。
記憶に関連して。
自分が生活の中で経験した様々な出来事に関する記憶のことを自伝的記憶っていうらしいんですけど,それはアイデンティティの形成にも関わる重要な記憶だそうです。
大学の学習心理学の授業でその自伝的記憶を10個くらい書きだすっていう回があって,私のそれにはエンクラの新人訓練が入っていました。
勿論他にも21年生きてきていろいろなことがあって,これから先,そのリスト(?)はどんどん変化していくとは思いますけど,その段階では。
なんで私の自伝的記憶にエンクラの新人訓練がランクインしたのか。
劣等感から始まるいろんな感情を経験したからなのだろうと思います。
それまで,そこまで長期間,直接触れなくてもやっていけた自分自身について,べたべたと触ってみたような。
もう新人訓練から2年くらいたってるから記憶が美化されているのかもしれないけど,初めて生じた感情がたくさんあった気がします。
「個性的であること」に対しての焦りがそのひとつだったりします。
新人公演と本公演を経て,エンクラ以外のところでも演劇をしました。外部も含めて6つの舞台に出演させていただきました。まだ浅すぎる経験を通して思ったことは,どの団体でも,もっというと同じ座組にいる1人1人が少しずつ基としている価値観や考え方が違っていたり,もちろんそれぞれ違ったバックグラウンドをもっていて,譲れないもの(ゆいの回にて)を上手く形を変えたりしながら励んでいるということです。
そしてエンクラというサークルもそういった団体の一つなんだと思います。
もしくは,譲れないものに磨きをかける場所にできるかもしれないです。