日本と欧米とで、年末のこの時期についての感覚が大きく違います。
日本の街ではクリスマスの飾りが正月向けに一新されますが、欧米ではクリスマスも新年も同じ飾り付けが用いられます。
日本の金融機関は第3四半期の締めとお正月とで取引が停滞・停止しますが、欧米ではクリスマス前に年度末決算が完了し、クリスマス(ボクシングデー)明けから新年度に向けた取引が活発に行なわれます。
新年度に向けた取引がどんなものになるのか、考えてみました。
今年後半の相場を牽引した『米・緩和縮小』に関する思惑や見通しが現実のものとなり、来年はその進行具合と影響がキーワードになるんだろうな…と思ってます。
来年前半の予想を総括すると、こんな具合に考えてます。
日本円
米ドル
ユーロ
ポンド
豪ドル
羊ドル
米ドル
FOMCは、米ドルの高騰予防策として政策金利の長期据置きを再確認た上で、緩和縮小路線を公表しました。 緩和縮小による米ドル高は必至です。
ただ、FOMCの発表内容や発表前の噂や思惑で、縮小軌道(規模・時期)の修正・調整が表出すれば、それらを事由にして市場はレートを揺さぶるでしょう。
押し目買いの機会と期待します。
来年のFOMC予定は、1月28・29日、3月18・19日*、4月29・30日、6月17・18日*、7月29・30日、9月16・17日*、10月28・29日、12月16・17日*です(*経済見通しと議長会見を含む)。
ユーロ
今年度末時点の財務状況が資産内容評価(AQR)の基準となることから、欧州の大手銀行はそれを健全なものにしようと3年物LTROの前倒し返済に努めました。
それが、あたかも副次的な緩和縮小効果となって作用し、ユーロの流動性低下からユーロ高を招きました。
新年度になれば、この呪縛(?)から解放されますので、緩和効果が蘇生すると思われます。
また、ECB総裁はユーロ高を歓迎しない(抑制する)発言をしていますので、何かしらの追加緩和策を講じるでしょう。
これらから、ユーロは穏やかな下降を辿るんじゃないか…と予想してます。
ポンド
年初、第3次リセッションによる緩和枠の拡大が騒がれていましたが、いつの間にか、そんな風潮は消滅し、逆に失業率の低下(4.8%→3.9%)やGDPの改善(-0.1%→0.8%)と英国の雇用・経済状況は著しく回復してきてます。
これらを反映するように、ポンド米ドルは3月と7月の年初比8%を越えるマイナスから11月下旬にはプラス圏へと浮上しました。
ポンド米ドルは過去10年のレートレベルにあって未だ37%台と主要通貨の中で最も低迷しています。
来年(2014年)のポンドは飛躍の年になるんじゃないか…と思っているんですが、中銀から最近のポンド高を懸念する声が聞こえ始めています。
豪ドル
金融危機の後、いち早く目覚しい回復を成し遂げ、2010年終わりから11年半ばに掛けては歴史的高値の更新に沸いた豪ドル米ドルですが、今年5月からは顕著に値を崩してきました。
政策金利は5月・8月に0.25%ずつ低下させ2.5%としたものの、失業率は上昇(5.4%→5.7%)しています。
中国経済状態に大きく左右される面があり、中銀は豪ドル高懸念を表明しており、豪ドルは続落するんだろう…、中国経済がソフトランディングに失敗すれば崩落のリスクさえも含んでいると思ってます。
羊ドル
中銀は住宅・建設部門のインフレ抑制を図るため来年早い時機の政策金利上げを明言しています。 これは羊ドル高要因であることは確かなんですが、豪ドル羊ドルが歴史的安値に接近する中、利上げを行なえば、安値更新はほぼ確実です。 消費者物価は前年比1%台で抑えられていることから、利上げにはちょっと疑問を感じてます。
そんなことから、羊ドルは豪ドルと共に連れ安(?)…になりそうにも思え、よくわかりません。
2014年の政策金利発表は、1月30日、3月13日*、4月24日、6月12日*(*金融政策公表を含む)に予定されています。
さてさて、メリークリスマス