【米ドル】


7月15日早朝に公表されたFOMC議事録は、ある意味、後退しつつある米国の状況を裏付ける衝撃的な内容でした。


総論として、

前回(4月)の「経済活動は引き続き力強く、労働市場は好転し始めている」

→ 今回、「景気回復は継続中で、労働市場は徐々に回復している」


金融市場について、

前回(4月)の「金融市場の状況は、景気回復をサポートし続けている」

→ 今回、「金融市場の状況は、他の先進国諸国の影響を大きく受けて、景気回復をサポートする度合いが薄れている」


各論として、

・ ある程度のデフレリスクが出てきた。

・ 多くのメンバーは、リスクは下振れ方向に転じたと見ている。

・ 見通しが著しく悪化した場合には、一段の金融緩和策が必要か検討すべき。


中長期的に見て、米国の景気低迷の長期化が明らかになり、米ドル全面安が進んでゆくことを物語っています。


ゴールドマン・サックスの7月14日付レポートでは、

3カ月後:92円→85円

6カ月後:94円→83円

1年後: 98円→90円

と、対米ドルレートを見直しています。

ここで、ひとつ注意して観察しておきたいポイントは、

米国の景気後退(米ドルの全面安、米株価の下落)が、世界の景気後退へと伝播・拡大するかどうか?


もし、そんな事態に発展すれば、世界景気の『2番底』への危惧が浮上し、通貨の全面安へと波及しかねません。



【ユーロ】


単発的に悪材料が出てくるが、米ドルとの相対比較で、その影響は限定的になっている。

反対に、昨年末から半年間に亘って売られ続けてきたことから、上向きな材料には敏感な反応を示しやすい状態にある。


欧州の状況を鑑みれば、割安感から、徐々に買い戻されてゆくのではないだろうか。


ゴールドマン・サックスの7月14日付レポートでは、

3カ月後:1.15ドル→1.22ドル

6カ月後:1.15ドル→1.35ドル

1年後: 1.25ドル→1.38ドル

と、対米ドルレートを見直しています。

注目の指標やイベントは、


7月23日、公表予定の欧州主要銀行の健全性審査(ストレステスト)が注目の的。



【ポンド】




【豪ドル】


自国の状況より、周囲の環境に左右されやすい。

最近は、先進国よりも、特に中国の影響を受けやすく、中国の景気動向やバブル状況によって浮沈する色合いを強めています。


7月15日に発表となった中国の経済指標は、

GDP: 第1・4半期 プラス11.9%、第2・4半期 プラス10.3%

CPI: 6月、前月比マイナス0.6%

PPI: 6月、前月比マイナス0.3%


この発表の際、中国国家統計局は、「積極的な財政政策と適度に緩和的な金融政策を維持する」とコメント。