四国こどもと大人の医療センター@香川に視察(研修)に行ってきました。
目的は、ホスピタルアートとカラー。
四国こどもと大人の医療センターは、アートを媒体に、より豊かな医療空間を創造している病院として各メディアで注目されています。
※ここからの画像や内容は撮影・掲載許可をいただいております。
こちらの病院、なんと専門のアートデレクターが勤務しフル起動!細かな課題や要望改善のため日々努めていらっしゃいます。
空間をアートで彩って終わりではなく、日々進化成長している樹のような取り組みであり病院。
今回は、四国のインテリア&アートコーディネーターよっしー先生の企画、アレンジでホスピタルアートデレクター(アーツプロジェクト理事)森合音さん直々のスライドによる説明と現地ガイドをしていただくという貴重な機会をいただきました。
そもそも、ホスピタルアートとは?
私はインテリア&カラーデザインの仕事で必要性を感じ、10数年以上前に欧米の建築・インテリア空間のカラーデザイン(カラーコンサルティング)スキルを学んだ際にはじめて 主にヨーロッパのホスピタルアート事例を見て衝撃を受けました。
その当時は、めったに病院に行かない私でさえ日本の病院は機能重視で「滅入る」イメージ。
今でこそ医療空間を見直そうという意識や動きが出てきているとはいえ、まだ実際アートに予算を組むというまでには至らずなのが現状。
ホスピタルアートといえば、芸大などの学生さんや作家さんのボランティア(場合により自腹や寄付を集めての取り組み)がほとんど。
「プロの作家さんは仕事の対価としてきちんと報酬をもらうべき」 : 作家さんの自立とアートの発展、そして、本来のホスピタルアートの意味を考えると、いくら医療空間にアートが導入されても このような状態では、予算としてアート費用もしっかり組み込まれている欧米とは根本的な部分で大きな差があると言えると思っていました。
しかし、四国こどもと大人の医療センターは、アーツプロジェクトと協業することで、アートを効果的に活用し3方よしの快適に導くしくみ作りを実現。
作家さんにきちんとした報酬を支払い、医療空間を美しく快適にするのみならず、業務上の問題改善に取り組みスムーズ化。そして、人の思い(痛み)にコミットしストレス軽減に努めるという 素晴らしいビジネスとしてのしくみを構築、実践されています。
癒しとぬくもりに包まれた院内の空間と空気感は、病院に関わる様々な方の声や地道な行動、そして、それらを形にしたいという思い生まれた創意工夫の賜物だと感じました。
たとえば、カラーデザイン。
机上の理論よりも現場の生の声。
フロアごとにコンセプトや入念な院内での対話によりあがったキーワードをカラーデザインに反映。
エレベーターも案内のデザインやカラー、ネーミングも徹底。
フロアごとに色が違うので、一目でどこに来たかわかります。
掲示板も徹底。
いつも病院やクリニックにいくと雑多な掲示板きになるんですよね~
貼り替えたくなる衝動もよくあり(^^ゞ
また、ごちゃごちゃしがちな認定証などの掲示もアート風にスッキリ。
なんとカーテンレール!
取り外しも移動も楽々~業務もスムーズですね。
ナーバスになりがちな子ども棟の待合室の一部にも親子ともに癒される様々な工夫がありました。
患者様がいらっしゃるので撮影は控えましたが、子どもが隠れられる小屋やパステルカラーがやさしい遊びスペースも素敵でした。
こちらも子ども棟の受付待合スペース。
この樹のようなオブジェは・・
時計~1時間ごとに音を鳴らしながらまわり、また違う場所にとまります♪
樹の穴はビビットピンクで、本が置いてあり隠れ家風。
医療空間ではあまり用いないビビットな色も絶妙なアクセントに使用しているためとても心地よく効果的でした。
こちらの樹の葉(かさ)は、入院中のお子さんのイラストを型にしたものでとてもあたたかみがあり和みます。
一転、大人棟は落ち着いたイメージ。
こちらの和紙の照明は、職員さんたちとの手作り。
人の手のぬくもりが感じられ、癒されます。
夜になるとなんともあたたかな空間にしてくれるのだそう。
そして、霊安室に続く通路や霊安室も考えに考えぬいたカラーとあえて控えめなアート。
暗く冷たいコンクリートに匂いもひどかったお見送りの場。
スタッフの方たちの要望をもとに改善に取り組み、匂いの原因も解決できたそうで、アートのみならずこのような業務にも貢献されています。
暗く冷たかった壁は、医師、看護師、スタッフなど職員1人1人の手によってなんともぬくもりの感じられる壁(空間)に変身!
カラーにもこだわってますが、よく見るとこちらの手描きのお花にはそれぞれの職員さんのイニシャルがかかれています。
これは一緒に命と向き合う中で言葉にならない想いを形にされたもの。
言葉の代わりに想いを伝えるアート。
なんとも言えない思いで胸がアツくなりました。
病室では、その時の気分によって飾りたいアートを選べます。
親子で楽しめるしかけも♪
鳥小屋風のくぼみには、季節の作品や生花(※下記補足1)、そして、プレゼント(下記補足2)が入っていることも♪
※補足1:生花
生花は主に70か所。
患者さんのみならず職員さんのケアも目的で、人が語れないことも語ってくれる生花にこだわっているそう。
※補足2:プレゼント
全国各地の方からボランティアで手作りのプレゼントが送られてくるそうで、ボランティアルームにはぬくもりいっぱいのサポートグッズがぎっしりでした。
屋上にも、癒しの場があります。
こちらのアートな傘もプロジェクトの一環。
「アートをとりいれて、どんなメリットがあるの?」よく耳にする意見。
アートは、空間を美しくするだけのツールではありません。
患者さんのみならず、多くのストレスと緊張状態になりがちな医療スタッフやサポートする家族などへの心身を癒し、快適に導く効果。
そして、業務をスムーズにする効果など。実際業績も良好なのが効果の証明ともつながっていると言えると思います。
目先の利益を追うのではなく、アートとという1つの形ある媒体を通し、病院をみんなの手でじっくり育てていく姿勢。
これは病院以外にも活用できると改めて思いました。
アートやカラーを提案するプロという立場から、また、難病を抱え 常に病と付き合っている母に付き添いよく病院に通いサポートする家族の立場から、今までとはまた違う視点で病院を見て考えるきっかけになり、ホスピタルアート以外のソフト面でも大切なことを学ばせていただきました。
何より、今回とても丁寧にお話、ご案内くださった森さんのホスピタルアートに携わるようになったきっかけや これらが構築されるまでのストーリーに現場エピソードやお声をシェアさせていただけたことに感謝の気持ちでいっぱいです。
この貴重な経験を見聴きしたことで終わらせず、私にできるカタチで、少しでも貢献できたらという予てからの思いが一層明確になりました。
このような機会をくださったアートプロジェクト森さん、アレンジしてくださったよっしー先生と仲間。そして、四国こどもと大人の医療センターのご協力にお礼申し上げます。
ありがとうございました。
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病院などの医療環境をより快適な癒しの空間とすることを目的とした特定非営利活動法人 。
病院などの医療現場で、患者やその家族、現場に関わるあらゆる人たちが、芸術活動に触れることによって、精神的、身体的に癒される空間造りをめざした活動をされています。
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