僕は、「矛盾」という言葉があまり好きじゃない。

なぜなら、この言葉はしばしば次のように使われることが多いからです。
「あの人の話は矛盾している」とか、「前言ってたことと逆のこと言ってるやん。完全に矛盾してる」とか。

確かに、学問の場であったり、科学の分野であれば、矛盾している、辻褄が合わないというのは問題だと思います。
でも、そういう場以外で、日常的な場面で、誰かが矛盾した言動をしているときに、そういう点を指摘する人というのが嫌いなんです。

・・・これでイメージ湧きますかね?


人は矛盾したいきものだと僕は思います。
誰もが矛盾しているはずだと思ってます。

好きな食べ物は焼肉です。という人だって、数日続けて食べれば「もう焼肉食べたくない」という日が必ず来るでしょう。
好きな食べ物は焼肉です、と「もう焼肉食べたくない」のふたつだけを見ると矛盾しているように見えるかもしれませんが、事情を知れば、そりゃそうなるわと理解を得れるでしょう。

恋する女性が「わたし、Kくんのこと大好き!」と言って告白して、お付き合いが始まったとしましょう。でも、そのひと月後に、「Kなんて全然好きじゃない、見当違いだったわ(笑)」なんていう話は掃いて捨てるぐらいありふれたものでしょう。これだって別に矛盾してるわけじゃないでしょう?それでも彼女の周りの人の中には、陰で彼女を悪く言う人が出てくるわけです。「あの子ひと月前は、大好きとか言ってたくせに。」とか言って。

別れ話を切り出された男が、「なんでだよ!じゃああのときのあれは一体なんだったんだよ!」なんてセリフを吐くシーンなんてドラマでも現実でもいくつだってありそうです。「あのときのあれ」ってのは、この男が、彼女は自分のことを好いてくれてる・・・と判断するに足りた出来事のことで、その出来事と別れ話を切り出された今の状況が矛盾していることを、非難の道具にしているわけです。


人は心変わりするいきものです。それは避けられない。
食の嗜好だって変わるし、異性の好きなタイプだってコロコロ変わる。生きたい人生さえも変わるものです。
僕はだからこそ人生っておもしろいと思うのですが。あくまでこれは個人的な好みですけど。
いろんなものが変わるから数十年生きても飽きない。変わるから面白い。

心変わりする人間と暮らしたり、不規則に変化する環境の中で生きるから楽しいんだと思います。
もちろんそのせいで自分が苦境に立たされることもあるでしょうが。
列車で旅するのは楽しいと思いますが、天気もずっと一緒、景色もずっと同じような風景、そのうえ乗客もまったく変わらないような旅だったらあまり面白くないと思います。

でも、人は心変わりしちゃいけないって思ってる人たちがいます。
絶対の絶対に首尾一貫してなくちゃいけない。前と違うこと言ってるやつはおかしい。
そういう意見の人たちがいます。
なぜなんでしょうね、自分の理解の範疇を超える行動をとる人が怖いんでしょうか。
単にその人が嫌いで揚げ足とってるだけなんでしょうか。


とりあえず、そういう人たちには矛盾とか心変わりってことに関する思考停止があるとは思います。
その思考停止の上にある「矛盾」批判が僕は嫌いです。
そういう批判をする人が嫌いです。

だから僕は、矛盾という言葉が好きじゃないです。

矛盾という概念は好きですけどね。
だって僕も矛盾した人間ですから(笑)