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19歳、初めてのパリ。そしてルイ・ヴィトンの違法買い付け未遂

ルイ・ヴィトンの思い出、教えて ブログネタ:ルイ・ヴィトンの思い出、教えて 参加中
ども、エンジニアLive 編集長の吉原です。

今日は自分の昔の体験からのこぼれ話を1つ。

20歳の誕生日をパリで迎えようという、一見ノーブルでその実スノビッシュな安い願望にとり憑かれた19歳の私は、

それまで1度も海外旅行をしたことがないままパスポートを申請してチケットを確保、単身パリへ飛んだ。
(単身、ってとこがイタいのは内緒)

浮かれて高級ブランド品店の並ぶ区画を歩いていると、中国人と思しき中年女性と遭遇。

「あの、私の妹が病気をしていて買い物ができないの。これとこれ、それにこれを買ってきて」(たどたどしい英語)

差し出されたのはルイ・ヴィトンのパンフレットと大量の現金。指定された商品に印がついている。


なんか、あきらかに胡散臭い。



街頭でティッシュを配る人をよける要領でなんとかかわしたものの、

「もし本当に気の毒な人だったらどうしよう」

という迷いが芽生えてムクムク大きくなった。

しばらく歩くと、今度は別の中国人女性から同じことを頼まれた。

「中国ではクレジットカードを持つのが難しいの。だけど現金で買うと、違法行為と間違えられる。
だからほかの人に頼むしかないの」(やっぱりたどたどしい英語)

これが少なくとも25歳の俺だったら騙されなかったと思う。

でもこのとき俺は19歳だった。初めての海外。初めてのパリ。頭ん中はパッパラパーだ。

「わかりました!私でよければ協力します」

こんなんで善いことをしたような、人助けができたような使命感・高揚感をもてるから若さってスゴイ。

500フランの現金を渡された俺は、日本でも入ったことのないルイ・ヴィトンに乗り込んだ。

幸い、日本人スタッフがいたのが幸いで、指定された商品を店員にオーダーするのはスムーズだった。
会計しようとすると、

店員「あれ、ちょっとまって。おかしいわね。このラインナップ」

俺「何がおかしいんですか?」

店員「いやね、最近多いのよ。中国人が団体で、ここの品物を違法に輸出するための買い付けをするの。
あなたが指定した商品の合計金額がちょうど498フラン。これってね、現金で買える500フランまでの
ギリギリの額なのよ」

あー、やっちまった。。。そのとき俺は、気がついた。

なんでも、クレジットカードで決済すると、商品のIDと決済したカードの番号が照合できるから、
違法な輸出には不都合なんだそうだ。
だから違法な業者は、足がつかない現金で買いたいわけ。

でもそこはルイ・ヴィトンもよくしたもので、あらかじめそういう目的で買い付ける人がいるのは知ってる。
だから、現金で決済できるのは500フランまでと上限を決めてるわけだ。
だから違法業者は、その“水際”での買い付けをしようとしてくる。
そして、正体を見抜かれないために、善良でバカな日本人(俺のことだ!)をカモにして買い付けの
パシリをさせるわけだ。

俺は何を思ったか、

「わかりました。クレジットで決済します」

といってカードを取り出した。

ああそれなら安心、とばかりに店員はさっさと会計を済ませる。

商品を受け取って街頭をキョロキョロすると、さきほどの中国人女性が手招きするのがわかった。
でも今度は何人かの集団でかたまっている。

俺が駆け寄ると、そこには案の定、俺に声をかけて断られた1人目の中国人女性もいた。
ようするにグルだったのだ。それぞれがカモを探して、同じ手口で声をかけていたわけだ。

ニコニコと手を差し出した中国人女性に、俺は受け取った現金をそのまま返して握らせた。
不可解な顔をする女性に、

「フランス語がさっぱりで、うまく買い物ができなかった」(たどたどしい英語)

と説明した。

なんて使えない馬鹿なの、といわんばかりに顔をしかめた中国人女性は、ちょっと離れた場所に
金を持っていて純朴そうな日本人老夫婦が歩いてくるのを目ざとくみつけて駆け寄った。

俺は、自腹のカードで買った、正真正銘のルイ・ヴィトンの小物入れとキーケースの包みを抱えて
呆然と立ち尽くした。

犯罪に関わらずには済んだけど、なんかすんごく悔しかった。

指定された商品はいちおうユニセックスなんだろうけどどちらかといえば女性のイメージがある
デザインで、男でルイ・ヴィトンのこういうのを持ってるのはハイソなゲイくらいだと思えた。
そして自分にはハイソなゲイの資格があるようにはとても思えなかった。ていうかファッション疎いし。

そんなわけで、人によっては喉から手が出るほど欲しいであろう本物のヴィトンに囲まれながら俺は、
ものすご~~~~くこの商品を売りたくて、手放したくて仕方がなかった。

どうしようもないから帰国後に売ったけど、そのころちょうど届いたクレジットカードの請求書に書かれた
金額を見たらあきらかに収支マイナスで凹んだ。

「こういうのを、授業料っていうのかな」

20歳になった俺の、ささやかな発見。人間としてのせめてもの成長だ……と思いたい。
じゃないと惨めすぎる。

P.S
実は後日、ルイ・ヴィトンで俺の接客をした日本人スタッフは詐欺師だとわかった。
たしかにルイ・ヴィトンにスタッフとして雇われているのは本当だが、接客のさなかで入手する
客の個人情報(住所とか)を悪用するのだ。

俺の住所にはあやしげな絵画の展示販売会だのといった通知が次々に舞い込むようになった。
自分に自信があるのか悪いことだと思ってもいないのか、ご丁寧に差出人にはそのスタッフの
名前が記されていた。

一度、覚悟を決めて招待されたイベント展に足を運んだら、フランスのルイ・ヴィトンで俺の
接客を担当した、あの日本人女性が本当にいた。

「あら、来てくれたの!? 嬉しいー」

とあくまでも屈託がない。

俺「あの、どうして私の住所を知ってるんですか?」

もちろん、咎めて言ってるのだけれど。

女性「そりゃあアナタと私の仲だもの。特別だと思った人だから招待したのよぉ~」

と、水臭いこちらを責めるかのような口ぶりだった。

そのあと確か、わざと大声を張り上げて怒鳴ったような気がする。

それ以来、その女性からのあやしげな通知や案内は来なくなった。

世の中、理屈じゃねえんだな、実力行使が必要なときもあるんだな、と悟ったのも
今思えばいい経験だった……ような気がする。そうじゃない気もする。

ま、若気の至りってことで。

(タイアップ用の記事がこんなんでいいのか)

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