近年、「ロコモティブシンドローム」(以下、ロコモ)という言葉を耳にすることが増えました。これは、運動器の機能障害により「立つ」「歩く」といった移動能力が低下する状態を指します。
元々は、高齢者が要介護者になるリスクを表すために作られた言葉ですが、現在この問題は高齢者だけでなく、子どもたちにも広がっています。
埼玉県による調査結果
埼玉県が実施した調査では、驚くべき結果が明らかになりました。調査は、県内の小学校と中学校の生徒を対象に行われ、運動能力や生活習慣についてのデータを収集しました。その結果、次のようなことが分かりました。
1. 運動不足が顕著:
多くの子どもたちが、運動不足による筋力低下や持久力の低下を示しています。特に、1日に1時間未満しか運動しない子どもたちが増えており、これがロコモの原因の一つとされています。
2. 生活習慣の乱れ:
スマートフォンやタブレットの普及により、長時間座り続ける時間が増え、姿勢の悪化や筋肉の使い方の偏りが見られます。これにより、筋力のアンバランスが生じ、運動機能の低下につながっています。
3. 肥満の増加:
運動不足と相まって、肥満の子どもが増えています。肥満は関節への負担を増加させ、運動をさらに敬遠する悪循環を生み出します。
調査によれば、肥満の子どもたちは正常体重の子どもたちよりもロコモのリスクが高いことが分かっています。
ロコモの具体的な影響
ロコモの影響は、子どもたちの身体的健康だけでなく、精神的な面にも及びます。
運動能力の低下:友達と遊ぶ時間が減り、体力が劣るため、スポーツや外遊びに積極的に参加できなくなります。
社会性の発達への影響:外での活動が減少することで、友人との交流機会が減り、社会性の発達が妨げられることがあります。
学業成績への影響:運動は学業成績にも良い影響を与えるとされています。運動不足は集中力の低下を引き起こし、学業成績にも悪影響を及ぼす可能性があります。
次回は、この結果を受けて埼玉県が行なった取り組みや、具体的な解決策を紹介していきます。
参考資料:
1. 【埼玉県】子どもの健康に関する調査報告 (2020)
- [埼玉県 健康づくり課の報告書](https://www.pref.saitama.lg.jp/a0701/kenkou/2020.html)
2. 【文部科学省】子どもの運動不足と健康
- [文部科学省のレポート](https://www.mext.go.jp/sports/b_menu/shingi/toushin/__icsFiles/afieldfile/2019/05/16/1418482.pdf)
3. 【日本小児科学会】子どもの運動と生活習慣の調査
- [日本小児科学会の調査報告](https://www.jpeds.or.jp/uploads/files/2020_survey.pdf)