ヒデじいのブログ
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ヒデじいとパニック障害

メンタル・ヘルプ誕生秘話




私は、パニック障害と言う、精神疾患を有する障害者である。このパニック障害に始めて出会ったのが、今から凡そ二十年前、サラリーマンをしている時だった。とても忙しく、精神的にも異常な程のストレスがかかる職場であったと記憶している。しかし、自分にとっては何でもない日常で、その発作は訪れたのだった。朝からうだるような暑い夏、出来上がった客の写真1500人分を配達し、営業で夜遅くまで得意先周りをこなし、車で通勤していた私は、自宅へと車を走らせていた

。暫く何事もなく車を走らせているその時、突然にその地獄はやってきた。心臓が異常なくらい早く脈を打ち、やがて額から滝のような冷や汗と手足の痺れで、車を左に寄せ止めるのが精一杯の中、次第に薄れてくる意識と呼吸困難で、何が起こったのか全くわからず、体中震えが止まらない状態でのた打ち回っていた。後にわかるのだが、これがパニック発作の初期症状である。当時は、パニック障害と言う病名も情報も知る術がなく、まして調べようにも、現代のようにインターネットなどない時代で、医者も知識がなく、どの病院へ行っても、「異常はありません」。付いた病名が、自律神経失調症。書店や図書館で調べても、自律神経失調症の内容と全く違う。しかし、毎日来るこの死んでしまうかのような発作で、終には職を失うこととなる。毎日が恐怖と失望感で、やがて外出することも食事も出来なくなり、部屋の片隅で震えるだけの毎日が、私の日常となる。妻と幼い我が子は軽蔑の眼差しで私を見て、妻は平然と「怠けている」と詰る中で、次第に考えることは、自殺する事に集中して行く。只ひたすらに死ぬことが、目標となっていくのである。そんな地獄の日々に一点の光が差した。当時私は、パソコン通信「BBS」と言う、電話回線を使った、文字だけをやり取りする事をやっていた。当時はまだ日本の仲間も少なく、英和辞典を片手に海外の仲間とやり取りしていたのである。地獄の日々の中、思い出したかのように、端末を接続して自分の苦悩を拙い英文で投げてみた。暫くしてアメリカのカンザスから、一通の電文が届いたのである。その内容を辞書で調べて翻訳した時に、涙があふれ、恥ずかしくもなく泣き崩れたのを覚えている。その内容はこうであった。

【原文のまま】始めまして、私はアメリカのカンザスシティに住むハロルドと言います。貴方の症状は、こちらの国ではポピュラーなパニックディスオーダと言う病気に似ています。私はこのパニックディスオーダの患者です。

これを見た時、直感と言うべきか、自分の病気は正にこれだと感じ、狂ったようにハロルドにコンタクトした。発作が起きた時も、端末を打っていると、不思議に発作が軽く感じたりもした。しかし、その事でこの病気が治るわけではなく、その後も発作に苦しんだ。ハロルドとのBBS以来、その他多くの患者と情報交換が出来た事をハロルドに感謝した

。海外ではポピュラーなこの病気、日本では自分だけだと、当時本気で思っていたのだが、後に日本でもかなりの患者が存在しており、同様に悩んでいたのを知った。それを知るのに、発病から5年の歳月が必要であった。

何とその中に、実妹も含まれていた事を後に知る事となる。この疾病の発作は、言葉では言い表せないほどの恐怖感を伴い、その恐怖感を紛らわせようと、殆どの患者がする行動として、身近な親族や親友に電話をすると言う特徴がある。私も発作に耐えられない夜に恥ずかしながら、母親に毎回電話をし、「もう止めてくれ」と言われ、仕方なく実妹に電話をかけた時に、そこで始めて妹も同じパニック障害で悩んでいたことを知り、不謹慎ではあったが、心躍る気持ちになった。それからは、彼女が発作を起こせば、私が聞き役となり、私の発作時には、彼女が聞き役となる言わば、相互カウンセリングのような状態が暫く続いた。やがて、心成しか発作の回数が減少して行くのを、互いに感じ始め、少々の余裕さえも生まれてきた。互いに情報を収集し、些細な事でも常に連絡し、この漢方が良いと言っては、取り寄せては、互いに効果を確かめたり、行動療法も独自に考え、実施をしては、報告し合った。そのころ、精神科へも行ける様になり、初めてカウンセリングなるものを受けてみた。結果は、失望感だけであったのを今でも痛烈に覚えている。それは

、カウンセラーが健常者で、この疾患を経験していない事から、全てのアドバイスが、推測や教科書からの引用で、患者の心に響かないのである。医師は、得意気に「全て私に任せれば、簡単に貴方の苦悩を解決出来ます」と言われ、この医師に何が判ると言うのかと

、反感さえ覚え、逃げるように帰宅した。

この時に、やはり同じ病気を持っている者同士でしか理解できないのだと、学習した。

これらの多くの経験から、メンタル・ヘルプ・システムが誕生することになるのだが、その道は決して平坦ではなかった。最初は、妹の友人がパニック障害となった時に、昼夜を問わず、電話にて相談を受ける事からであった。また、病院で知り合った、やはりパニック障害で悩んでいる、主婦も加わって、数ヶ月で、十数人のカウンセリングをしていた

。このままでは、自分自身が潰れてしまう恐怖から、留守番電話を導入し、FAXも導入して、対応した。それでも、日に数十件の相談やヘルプコールが入っていた。只でさえ、自分も発作の合間に、対応しているわけで、この時期は大変辛く苦しかった。そうこうしていると、世の中にインターネットが普及し始め、元々コンピュータは得意分野であった私は、迷いもなくインターネットを導入し、プログラミングを開始した。しかし、インターネットの基本が、未熟であった私は、試行錯誤して時間を費やしていたその時、ある掲示板に出会った。その掲示板は、自由に書き込みできる、正に私が作ろうとしていた物であったのである。掲示板は、スレッドと言って、お題を作って、そのお題に対して、閲覧者がレスを書くのである。迷うことなく、早々にパニック発作スレッドを立ち上げ、公開した。暫くすると、レスに私が経験したような症状で苦しんでいると言う書き込みがあり、直ぐにレスを書き込むと、同病者に出会えたことに、大変うれしく安心したと返事が返ってきた。これはすごいと、身震いしたものだった。

そして現在はと言うと、インターネットで「パニック障害」と検索すれば、何万もの検索結果が出てくるほど、日本中どこにでもパニック障害者が存在し、そして増え続けている。インターネットは確かに便利であり、知りたい内容が瞬時にわかる点は、優れているが、我々のようなメンタル障害者が、この健常者も自由に参加できる環境から得るものは

、決して多くはない。まだまだ、メンタル障害者への理解が少ないのも現実であり、誹謗中傷も少なくない。インターネットの世界で

、メンタル障害者が、自由に伸び伸びと自立に向け、前向きになる為に、閉鎖的環境を提供してあげる事が必要と考える。そこには、メンタル障害だけ存在し、健常者や専門医、専門家は、一切存在せずに障害者だけでルールを作り、運用する特殊な環境があれば、患者同士しかわからない、緩和方法や自立方法などの情報交換を、スムースに行えることから、減薬や発作軽減に繋げて行けるものと考える。さて、これらを全て解決するシステムを実現するには、大変な年月と設計思考が必要であり、実際完成するまでに、7年の歳月がかかった。この後は、システムの概要と使用方法を説明することにする。

【メンタル・ヘルプ・システムとは】

メンタルヘルプシステムには、二種類の利用形態がある。

ひとつは、インターネットを利用した、患者専用サイトである。これは、閉鎖的環境を作る上から、必須であった。会員登録後に、会員IDとパスワードが発行され、このIDとパスワードで、自分専用のページにログインする。自分専用ページには下記のような機能を装備している。

1. 予定表 通院日や各種予定

2. 伝言 患者同士の連絡

3. 目標 行動目標

4. 掲示板 患者同士の情報交換

5. ファイル 画像やファイル格納

6. お気に入り ネットのお気に入り

7. 計画 自立に向けた計画

8. 連絡帳 自分専用の連絡先

9. メンバー 登録会員名簿

10. 行動チェック 起床・外出・就寝

【予定表】

通院日や自立に向けての予定(例:何月何日までに自宅から50m歩く)を公開・非公開を選択できる。

【伝言】

見ず知らずの会員同士で、プライベートメールを知られることに、不安がある為、電文のみを登録会員に送ることが出来る。

この機能を利用して、全会員にメッセージを送ることも出来るので、多くの人からアドバイスを貰いたい時に便利な機能。

【目標】

具体的には、行動療法の一環で、電車に乗れない状況から、一駅だけ電車に乗るぞ!と皆に公開し、その達成度をパーセントで公開することで、他の患者から激励の伝言や応援メッセージをもらえる事から、自信が付き、どんどん外へ行動範囲を広げていける。

【掲示板】

この機能は、基本的にインターネット上にある、一般掲示板と同様な使い方できる。

スレッドと言う「お題」を作って、そこに他の患者たちが書き込む(レスを書く)。ディスカッションなどにも利用できる。

【ファイル】

インターネット上でダウンロードしたファイルや文献などを保管しておくことが出来る。

【お気に入り】

インターネットの記憶しておきたいURL(アドレス)をお気に入りとして記録しておける。

【計画】

今後の行動計画を細部にわたって計画表として作成し、達成度をグラフで表示できる。

【連絡帳】

自分用や公開用など、様々な連絡先を記録しておけるもの。具体例では、皆に教えたいメンタルヘルスクリニックの住所や連絡先。また、自分の家族や友人など、非公開な連絡先などを記録できる。

【メンバー】

このサイトに登録している、全会員の情報を見ることが出来る。

【行動チェック】

タイムカードのような機能があり、ログインした時、外出して復帰した時、ログアウトした時などを、ボタンを押すだけで記録していくもの。外出が出来ない患者では、外出できた時に記録することで、自分の状態変化を知ることが出来る。

次に二つ目の機能として下記がある。

【ヘルプコール】

これは、発作時や不安時にダイレクトに電話できるシステムで、パスワードをダイヤルすることで、コミュニケーションルームに入ることが出来る。

具体的には、夜間の発作時に電話すると、複数の同病者が迎えてくれて、アドバイスなどを聞いたり、落ち着かせてくれたりと言った使い方が出来る。そこには、健常者も医師もカウンセラーも存在せず、この病気を理解している、メンタル障害者しかいない。

言わば、ボイスチャットそのものである。

基本的にこれら全ての利用は無料とし、運営維持費として月額1000円の会費のみを徴収する。

当面は試験運用のため、月額会費を無料として、全開放する。


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