さて、波と戯れる経験と合わせて、海を知るうえで必要なのは、磯での経験である。磯はたくさんの生き物を身近にみられるし、潮の干満によるその姿の変化も面白い。それらを知るということも大事だろうし、何よりシュノーケリングは楽しい。我々がキャンプを張るのは、一宮から南下すること30キロほどの磯。岩場が沖に向かってしばらく続き、満潮になるとその岩場は50センチくらい?の深さになるため、天然の幼児プールとなる。夏は、しっかり熱帯魚の幼魚もいるし、「根」と呼ばれる大きな岩場と岩場の間には、カジメが群生していたり、カジメの林の隙間からドチサメ?が見えたり、ときどき大きなタイやハマフエフキっぽいのもいる。タコもイカも見られるし、とにかくだいたいいる。子供らが小さい頃は浮袋やライフジャケットを付けて引っ張ってやっていたが、小学生になるころには自力でさっさと泳ぎだして、俺に「早く来い」と催促するようになった。

とにかく行ったら泳ぐ。波が荒い日もあるのだが、浅い磯場の範囲であれば、波にもまれながらもなんとか泳げる。潮が引いていれば、磯場の上を沖の方に歩き、切れ目から飛び込む。当然、子どもらはビビるから、まずはやって見せる。そして、磯の上に立っている彼らに、笑って見せる。「ほれ、大丈夫だから来い」。恐るおそるザブン。一回覚えてしまえば、面白くてしょうがない。何度も何度もやることになる。

 

飛び込んだら、ウワンと水が盛り上がって、岩と岩の間を流れたりする。それに乗って一緒に流されたりすると天然のウォーターコースターである。もちろん、安全な範囲を設定してそこでやるわけだが、浜から見ている妻は、遠くで我々が磯に上がってきたり飛び込んだりしている様を見て、「ペンギン島」と名付けた。

 

にぎやかな海水浴場とはうってかわって人影もまばら。本来、海なんて人がいるところじゃないし、それも学びだ。とにかく波にもまれてもまれて、時々素潜りをしたりしつつ、体がだいぶ冷えてきたころ浜に戻る。浜では、磯虫を払いながら、コンビニで買ったおにぎりを食う。いつもよりうまく感じるのも学びだ。