『追憶五断章』
米澤 穂信、集英社文庫、2012年
「早計でした。結末こそが、最も重要だった」
伯父の書店でアルバイトをする菅生 芳光すごう よしみつは、ある女性から亡くなった父親が書き残した5つの結末のないリドルストーリー形式の小説を探し出してほしいという依頼を受ける。
芳光は調査を続け、故人が様々に寄稿していた原稿を集めていくが、やがて20年以上前に起きた『アントワープの銃声』という事件に行き着く。それは小説の著者が妻殺しを疑われた事件であった。
5篇の物語の、そして事件の結末とは。
リドルストーリーとは、結末を読者に委ねる形式のもの。要するに結末は書かれない。亡き父親が書いていた5つのリドルストーリーを探し出すミステリー。
リドルストーリーと言いながら、別の紙にたった1行の結末だけが書かれていて、それがラストの鍵にもなったりします。
米澤氏特有の空気感が漂い、ハッピーともバッドともとれないエンドが待ち構えているのは、下手に明るいだけのものより味わいがあるような気がします。
