『ノースライト』
横山秀夫、新潮文庫、2021年
〈あなた自身が住みたい家を建てて下さい〉
建築士・青瀬 稔の最高傑作である信濃追分のY邸。大手出版社が出した日本全国の個性的な住宅を厳選して紹介する本にも載り、世間的な人気も高かった。しかし、その家は施主に引き渡し以降、人が住んだ形跡がなかったのだ。
電話は通じず、実際にY邸を訪れても家具もなく誰もいない。ところがその家には、ドイツ人建築家ブルーノ・タウトが設計した幻の椅子だけが残されていた。
その家の建設に込められていた想いとは。椅子と恩返し。そしてこれは、青瀬の再生の物語。
建築士である青瀬が設計した最高傑作の家。施主に引き渡されてはいたが、どうやら誰も住んでいないばかりか引越しすらしていない様子。それまでは施主にも不自然なところは見られなかったし、お金のやり取りもできているので変な詐欺とかでもない。
時代としてはバブル崩壊後の不景気の平成時代みたいです。かつては栄華を誇っていたけど、調子が悪くなって私生活もパッとしなくなった建築士。彼はどう再生していくのか。
けっこう建築業界の話題が多く、誰も住んでいない謎に取り掛かるまでけっこうかかります。
ミステリーではあるんだろうけど、そういった人間ドラマの方が濃い印象かな。
