最重要課題だった「紗彩の意識改革」 なかなかうまくいきません。

性格的な部分なので、そう簡単に変わるはずもないのですが・・・。


紗彩の悪い性分になるのですが・・・。

紗彩自身、自分の精神的な弱さが、嫌で仕方がありません。

精神的に強くなろうとしていますが、自分に甘いのでなかなか難しいです。

自分の弱い部分に嫌悪感を抱いているので、極力それを隠そうとします。

この恋に関してもですけど、仕事やプライベート全般に対しても発動します。

紗彩の性分で、他人に紗彩自身の弱さを見せるのを極端に嫌うのです。

だから、甘えるフリをしても、本質の部分では、決して甘えていません。


すぐに不安になってしまうのも、紗彩が精神的に弱いせい・・・。

そう思うと、どうしても、陸人さんに迷惑や心配をかけたくないと思って、

強がったり、紗彩の弱さを見せることをためらってしまってしまいます。

『素直に気持ちのままに甘えることができたら、どんなに良いか・・・。

可愛げがないなぁ・・・。』 と、自分でもつくづく思ってしまいます。

陸人さんに 「気持ちを抑えずに言う」 と宣言をしてから、

少しは、素直に言えるようになりましたけど・・・。

ココまでなら平気!と自分の中でで線引きしてしまっています。

まだまだ、強がってしまったり、心にもないことを言ってしまっています。


陸人さんは、紗彩の悪い性分も弱さも強がりも全部わかっています。

付き合い当初から紗彩の強がりに気がついて、今までも何度か

もっとわがままになっていいから・・・。

もっと頼ってくれていいから・・・。

全部、受け止めるから・・・。

と、言ってもらっていました。その言葉を信じて素直に甘えようと思っても、

無理したり、我慢したり、紗彩の悪い性分は、なかなか直りません。


メッセでこのことについて陸人さんとじっくり話し合う機会がありました。


「自分の弱さを認めるのはいいんじゃない? いきなり、やれっても

無理なのはわかってるから、俺の前では、強がるのやめてみ?

そーすりゃ、そのうち、自分のどこが弱いか見えてくるから。

俺がゆっくりと、ここまでは大丈夫って教えるから。」


陸人さんは、そう言ってくれましたけど、紗彩にとってすごい難しいです。

素のままの紗彩を受け入れてくれる包容力や安心感を感じますけど、

どうしても、本質の部分になってしまうと隠したり、強がってしまいます。

相手が大事になってしまえば、なってしまうほど、相手を気遣いすぎて、

嫌われるのが怖くて、甘えることができなくなってしまいます。


「今はとりあえず、今後の課題で、強がらない強さを身につけないとね。

もっと本音でぶつかってきてもいいんだよぉ?

壊れそうだからってビビってると、ホントに落として壊しちゃうんだから。

紗彩ちゃんが、言いたくても押し殺してる事は大体判ってるつもりだから、

不安な思いをさせてるのは、本当に申し訳ないなぁ~って思ってるけど、

もうちょっと安心してくれても大丈夫だよ?」


隠してる紗彩の不器用さも何もかもわかっている陸人さんの言葉に思わず、

涙が出てしまいました。この恋自体が、不透明で、不安じゃないと言えば

嘘になってしまいます。プラス、いつまで経っても、紗彩の不安定な気持ち。

紗彩の性格上、強がることも、無理することも、我慢することも、当たり前で、

自分がどんなに辛くてもできます。今までもそうして生きてきました。

だからこそ、精神的な弱さが許せなくて、強くなりたいと望んできました。

でも・・・陸人さんは、『弱さを認める強さ』 を持とうと言います。

そうすれば、もっと精神的に強い紗彩になれるはずだから・・・。と。


陸人さんの全てを包み込んで、紗彩を大事に想ってくれる気持ちが、

ホントに心から嬉しかったです。いつも包容力の大きさに圧倒されます。

ここまでわかってくれていることに正直なところ驚きもありました。

彼には、ホントに強がりも無理も我慢も不必要なのかもしれないです。

あとは、紗彩が怖がらずにそれをしない勇気を持てるかどうか・・・。


ここまで言ってもらっても、できないかもしれないと陸人さんに話しました。


「紗彩ちゃんって、野良猫気質なのですよぉ。

誰かに可愛がられてても、基本は自己完結みたいなね。

で、その野良猫ちゃんが俺んちに住み着いたと。

すっごい可愛くて、毎日構ってたいんだけど、

野良だから、どこか冷たいような感じもあって、

またどこかに居なくなっちゃうのかなぁ?って不安があるのは事実。

家ネコみたいにグータラになれとは言わないけど。(笑)

もうちょっと擦り寄ってくれてもいいんじゃないかなぁ?って思うよ?」


うまい例えだなぁ。と思いました。紗彩が、いつまでも強がっているから、

陸人さんも不安になってしまうこともわかっています。

奥様に嫉妬している気持ちを隠していた時のように・・・。

紗彩の素直な気持ちをそのまま受け止めて喜んでくれる彼だから、

心の中で一線引かれていることに気が付いて不安に思っていたのかも?


でも、そこまで言われても、強がることを止められる自信がありません。

逃げ出したい心境になってしまっている紗彩がいました。

ホントに自分自身が、弱すぎてダメだなと自己嫌悪です。

自分がどうしたいのか自分でわからなすぎです。


未来に対しての心配ももちろんあります。紗彩を大事に思ってくれる人の

この恋に対しての心配も痛いほどわかっているつもりです。

周りが何も見えずに、彼だけを信じることができたら、楽かもしれないです。

紗彩にとっては、弱さを見せないことは、心の中を全部見せない最後の砦。

心を全部許してしまったら・・・。もっと陸人さんに溺れてしまって、

彼を失う恐怖が増すことはわかっています。


もっと早くに陸人さんと出会いたかったかもしれません。

頭の中にある人生経験が少ないうちに出会えたら、

頭でごちゃごちゃ考えずに気持ちでぶつかれたかもしれないのに・・・。

現状は何も変わりがなく、陸人さんが動き出したわけではないですが、

陸人さんのおかげで不安になることが、ほとんどなくなりました。

「その不安、しっかり受け止めるから、一人で悩むのはナシだよ?」

の言葉の通り、どんな些細なことでもしっかりと受け止めてくれています。


我慢しないで、不安なことや気になることは、素直に聞けるようになりました。

紗彩が言ったことに対して、陸人さんのそのままを答えてくれるので、

不安になる要素がなくなってきたのかもしれません。


「その言葉を100%信じてるの?」 と、第三者に聞かれれば、「うん・・・。」 と、

ほんの少しだけ濁したい気持ち。大きく首を振ることはできないかもしれないです。

でも、信じても大丈夫という気持ちが大きいので、彼の言葉は、疑ったりせずに

そのまま受け止めています。紗彩にしたら大きな進歩かな?と思ってます。


あの日以来、変わったことと言えば、奥様の話題が減って、未来のことが話題に

上がることが増えました。今までは、タブーだと思っていたので、紗彩の中では、

絶対に触れようとしなった未来のこと。ほとんど全くしたことがなかった話題です。

今でも紗彩から話題に上げることはないですけど、あの日以来、陸人さんから、

よく話題にするようになりました。


一緒に暮らせるようになったら・・・?

紗彩が奥さんになったら・・・?


『・・・なったら?』 の話は、未来が不透明な今から、ほんの少しの間だけ、

現実逃避ができる夢物語のような気がします。

実際にそうなったらいいなぁ・・・。と思うことで、先が見えない不安が消えていく感じ。

彼に奥様がいるということを除けば、普通の結婚を夢見るカップルがするような会話。

実際にそうなるためには、大きな課題のクリアが必要なのは、わかっていますけど・・・。


この歳まで、結婚に全く興味がなく、仕事漬けの毎日でした。

遊ぶことはしても、彼氏はいらないと思ってました。今の自由気ままな生活環境に

彼氏 or 夫 という肩書きを持つ人間の介入を極端に嫌がっていた自分がいました。

「結婚するつもりはないよ。」と周りの家族や友人には、よく言っていましたし、

3年間、同棲していた元彼との恋の終わりが、トラウマになっていたのも事実です。

でも、陸人さんに出会って、これから先に彼とずっと一緒にいたいなぁ。と、

一緒に暮らしたいなぁ。と、自然と考えられるようになりました。


紗彩の中で、完全に陸人さんにスイッチが入ってしまったみたいです。


そうなってしまうと、今まで、ほとんど嫉妬したことがなかった奥様の存在に

嫉妬している自分がいることに気がついてしまいました。

奥様の愚痴を聞く時は、良き理解者の立場を取り続けてきた紗彩ですけど、

彼の言う 『うちのが・・・。』 という言葉が妙に切なく思ってしまったりします。

嫉妬している自分がイヤになったりもします。


でも、なぜか、紗彩が嫉妬しているのを陸人さんは、喜んでいるようです。

紗彩が、今まで全く奥様に対して嫉妬をしてなかったことで、逆に彼が、

「俺のことホントに好き?別れを望んでる?」 と不安に思っていたようです。

『 紗彩が嫉妬する = 愛されてる 』 という公式が成り立っているのでしょうね。


嫉妬すること自体がイヤなので、あまり見せたくない感情ですけど・・・、

そんな感情さえも、喜んで受け止めてくれる陸人さんなので、隠さずに素直に

言ってしまっています。今までの「これは言わない方が良いかも?」とホントの

気持ちを隠して、悩んでいた時とは、比べようのないくらいの安心感があります。

素のままの紗彩をそのまま受け入れてくれる包容力の大きさを感じつつも、

どっぷりと依存しすぎない、ほどよいバランスが、心地よいのかもしれません。


陸人さんとの関係に安らぎを覚えつつ、これから先の未来を夢見ていますが・・・。

大きな存在になりすぎてしまった陸人さんを、ふと、怖くなる時があります。

今、陸人さんを失ってしまったら?と思うと、不安というより恐怖に近い感じ。

不安にならないように気遣ってくれる陸人さんの優しさも充分にわかっています。

紗彩のわがままな感情で、我慢しないといけないということもわかってます。

でも、ホントに陸人さんとの未来はあるのかなぁ?という心配は、

先がはっきりとわかるまで仕方のないのかもしれません。

不安で居続けない為に陸人さんと、ちゃんと会って、話をしようと思いました。

彼の気持ちをきちんと会って聞けたなら、不安もなくなるかも・・・?

陸人さんにはこのことを言わずに、ただ、会う約束をしました。


いつものようにコーヒーを入れてると・・・。

陸人さんが紗彩と出会う1年前から離婚を考えていた理由を知りたくなりました。

彼の言葉が半信半疑だった、今までの紗彩では、絶対に聞かないことでした。

でも、不安や疑問に思ったことは、全部、聞こうと決めていたので、

陸人さんの気分を害してしまうかな?と思いながらも理由を聞いてみました。


陸人さんは、ちょっと困った顔をして、言いづらそうでした。

彼が、言葉を濁したので、「どうして?」 と、もう一度、聞き直しました。

すこしの沈黙の後に丁寧にそうなった経緯から話してくれました。


離婚を考えてた理由が、あまりに重い内容で、思わず言葉を失ってしまいました。

奥様の名誉のため、紗彩に言いづらかった理由が、わかりました。

きっと、陸人さんの中で、自分の嫁の失態を言いたくなかったのだと思います。

彼の奥様に対する深い愛情のように思いました。


その理由を聞いた人なら、きっと、ほとんどの人が、

「もっと早くにどうして離婚しなかったのか?」 と、聞きたくなるでしょう。


紗彩の中の陸人さんへの感情を抜きにして、客観的に考えて、

80%奥様が悪い。残りの20%は、奥様を甘やかした陸人さんが悪い。

と思いました。どうして、そうなる前に止められなかったのか不思議でした。

それは、陸人さんが優しすぎる人だからでしょうけど・・・。


紗彩も過去の元彼と同棲中に同じ失敗をしていたので、彼の気持ちはよくわかります。

同棲という関係で、籍が入っていないから、容易に終わりにできましたけど、

陸人さんの場合は、結婚しているから容易に終わりにすることをためらったのでしょう。

彼が、情の深い人だから、きっと、途中で終わりにもできなかったのかもしれません。

その理由が真実なら、彼の奥様への愛情の深さをすごく感じました。


これは、陸人さんと奥様の2人の問題なので、紗彩が立ち入るつもりはありません。


でも、陸人さんの深い愛情を受けながら、今もなお、同じ失態を繰り返してしまう

奥様へ怒りにも似た感情を持ってしまいました。奥様だけが悪いとは思いません。

止められなかった陸人さんにも原因があります。そのことを差引いても、

彼が奥様に対する愛情が冷めていったことを誰も咎められないような気はします。


陸人さんの奥様に対する深い情を知ってしまった紗彩は、ふと不安になりました。

それだけの理由を抱えながら今まで離婚を選ばなかった陸人さんが、

本当に今になって、離婚という選択肢を選ぶことができるのかどうか・・・?


「紗彩とのことは、どこまで本気?」


この言葉の答えを聞くのが、すごく怖かったです。

奥様に対する情の深さを知ってしまったことで、急に自分に自信がなくなりました。

でも、その答えから逃げてしまったら、不安で居続けないための材料は揃いません。

彼の目をちゃんと見て、真意を探ろうと、陸人さんの目を覗き込みました。


「今まで言った言葉に嘘はないよ。」

真っ直ぐに紗彩の目を見て答えてくれました。


「ホントに本気で離婚するの?」

彼から返ってくる答えが怖すぎて、目が見れずにうつむいてしまいました。

目だけは、嘘がつけないと思っているので、紗彩が、真意を知りたい時は、

必ず目を覗き込む癖を陸人さんが、わかっていたのかもしれません。

ずっとうつむきっぱなしだった紗彩の顔を両手でそっと包んで、

上を向かせてくれました。でも、目を見るのが怖くて、必死にうつむこうとしてました。


「こういうことは、ちゃんと目を見て言うよ・・・。

必ず迎えに行くから待っててほしい。」


真っ直ぐ目を見て、言ってくれた陸人さんの気持ちに嘘はないと思います。

すごく安心しました。不安で居続けないための材料は集まりました。

いつものように帰る陸人さんの後姿を見送っても、泣いてしまうほど

寂しい気持ちにはなりませんでした。


不安で居続けないための材料は集まったとしても、先が不透明すぎて、

今の動き出す前の状態では、不安なことは次から次へ出てくるでしょう。


紗彩も変わらなければいけません。

今まで、不安なことがあっても彼に言わずに、1人で抱え込んでいました。

陸人さんが、紗彩を不安にさせてると、気に病むのがイヤでした。

でも、これからは、不安になる度にその気持ちを伝えようと思います。

その気持ちを聞くことで、ウザイなと思って、紗彩から去るなら、

それだけの存在だったのでしょう。わがままになろうと思います。


メッセで話をしている時に


「これから、紗彩が困らせることがあるかもしれないけど、

嫌だったら嫌って言ってね?もう、自分の気持ちを抑えるの止めるね?

不安になっちゃうこともあると思うんだけど、その都度、言うよぉ。」


紗彩なりの決意表明でした。不安になることがあったとしても、

1人で抱え込まずに、ちゃんと陸人さんを頼ろうと思いました。


「その不安、しっかり受け止めるから、一人で悩むのはナシだよ?」


陸人さんなら、そう答えるだろうなぁ?と思う通りの答えが返ってきて、

もっと早くに悩む前に言えば良かったと思うと、思わず笑っちゃいました。


「これから陸人さんの方が大変なことや不安なことが多いと思うけど、

紗彩で支えられる部分は、支えるから、ちゃんと言ってね?」


「ありがと。でも、それを苦だと思ってないし。」


陸人さんを困らせないようにしようと、今まで、紗彩が1人で抱え込みすぎて、

1人で不安になって、独りよがりをしすぎていたのかなぁ?と、反省しました。

彼の気持ちをどこまで信じて良いのか、不安に思っていたせいもありますけど、

きちんと話を聞いてくれて、紗彩をしっかりと受け止めてくれる陸人さんなのに

紗彩は、過小評価していました。


これからは、彼を頼って、彼の支えになって、どちらに寄りかかりすぎるでもなく、

いつまでもお互いが対等な関係でいられたら良いなぁと思います。

それには紗彩の意識改革が最重要課題ですが・・・。