希望と志を持った井の中の蛙は大海原へと旅立つ
そこでは挫折や苦難が立ちはだかり
大海は蛙を大きな存在に変えてくれるチャンスを与えてくれるであろう
己の限界と向き合い試練を与えられ同じ環境の仲間
同じ場所での先輩後輩
それらは井の中しか知らなかった蛙にとってかけがえのない財産となる違いない
俺は歪んだ龍脈に流された蛙
辿り着いたのは大海でなく他方の井戸
一瞬ではあるが、大海を味わった後に見る他方の井戸は
生まれ育った井戸と比べて遥かに冷たく、遥かに暗い
そこには蛙の求めていた物は何一つ無く
一寸の光も見えてこない
俺は他方の井の中の他方の蛙
このまま大海に出ることもなくこの井戸で飼い殺されるであろう
蛙



