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雑記2 「ペダル」「あいまいなきおく」について

end -of the world



ええと、ペダル

家に仕事もせずひきこもって 友人もいなく
いままでに恋愛をしたことのない女の人が
あるひとに一目ぼれして

彼と付き合ってることを妄想し続けた結果

彼と本当に付き合ってて 自分は彼にとっても重要な女のひとであるという
考えに どんどん侵食されていって

毎日愛情が入った お弁当をつくる女の人の話です。

ええと、彼の住所とかは すべて まあ
なんというか 
彼女が努力して 手に入れたものです。

恋愛の 仕方はひとそれぞれで

一般的に言われている 恋愛の法則みたいなもんも

なにが普通でどういうものが基準かもわかんないと思います。

もしかすると こういう片思いの仕方が
基準になるかもしれないし

異常と普通は よくわからないもので、誰しもこんな風になっちゃうかもしれません。


ううん

恋は盲目とは 誰のお言葉でしたっけ

まさに そんな感じを 表してみました。

分かりにくいと思う。

なんか すごく長くなっちゃったし。


そんな感じです。


あ、あと個人的に気に入っているのが


「あいまいなきおく」


です。

これは去年の秋ぐらいにかいたやつで

結構気に入っています。


関西の カップルふたり

蒸し暑い夏 ぼろい安アパートの一室


あたしは 常々
本当に愛する人に殺されたいなあと思っているので

そんな感じを現しました。


結局、先に 彼がこの世からいなくなっちゃう話なんですけど。

でも はさみのさきっちょで 目をつかれるのは嫌だなあーと思う。



なんだか 暗いものばかり書いてしまうんですけど

躁のときは やたら明るいものを書きます。

でもきっと 奥底にあるものは・・

そんな感じです。

では

ぺダル

六時   ジャスト






今日も きちんと朝を迎えることができた



今からあたしは 愛するうえの君のために


お弁当をつくる


これは毎日の日課なの


土、日は お休み



だから週に5日間



彼には 一年前に出会ったの

ぼさぼさ 服装なんて気にしないようなあたしに



彼は 微笑みかけてくれたわ



それまで 家に閉じこもってきた私は


生きる気力がわいたのよ


新鮮な無農薬のお野菜と 取り寄せのお肉 ありとあらゆる食材


化学物質が入っているような 冷凍食品なんてひとつも入っていない


全てがあたしの手作りなの


うえの君は 毎晩遅くまで お仕事するから


お昼に 栄養のバランスがとれたものを 摂取してもらわなくちゃ



だって身体が資本でしょう。


何がなんだかわからない 毒物を彼の身体の中に溜めてほしくないの。


手間もかかるし、あたしの貯えのうち半分は 彼のために消えていく


いいの 彼の身体の中に あたしの今までのぶんが 蓄積されていくと感じるから


自分自身を着飾るために 使うより


彼にすべて ささげたってかまわない




今日は どうしようかしら


うえの君が この間


出し巻き卵が好きっていっていたから


あたしは毎日 かかさず 出し巻き卵を入れる


ふんわりと ずっしりと 



彼のために うまくまけるよう 毎日練習した


一時期は あたしのごはんも 一日出し巻き卵だったこともある



育ちのよい にわとりから生み出された 新鮮な卵に



こだわりのある だしを注ぎいれる






男性用の お弁当箱に 


色とりどりに なるように ぎっしり詰め込む



お弁当箱の ふたを開けたときに



彼が おもわず笑顔になってしまうところを想像する


出来るだけ、細部まで。



思い描く




出来あがったら 彼の家まで届けるの


一緒に暮らすことは まだお互いに しようとはしないから


だって 彼には彼の生活リズムがあるでしょう。


邪魔するような 馬鹿な女になりたくはないの。



あたしは毎朝 自転車をこいで 彼のマンションまで 届ける



ペダルを踏んで 手にぐっと力を込めて


彼の出勤時刻前に間に合うように



見慣れたマンション


彼がこの中で どんな風に過ごしているのか想像する


深呼吸


目をとじて



205号室




うえの君が みつけやすいように



彼の部屋番号と 名前が かかれた


玄関のドアノブに いつもどおり 手紙をつけて


かけておくの



手紙は毎晩毎晩 かかさず



夜 一日の終わりに


あたしが


どれだけ うえの君を愛していて


どれだけ 毎日考えているのか


彼の どんなところがすきなのか


あたしは うえの君が この世にいてくれてどれだけ救われているか


色々な ことを手紙の中に 書きつづる




今日も彼は お仕事の休憩時間に



あたしのつくった 出し巻き卵、おいしいねって食べてくれるのかしら



それだけであたしは 幸福感に 満ちる




全てを終えると


あたしは自宅に戻る



自転車の キィキィなるところ


修理にださなくちゃって 思う。




そしてまた、明日の献立を考える



あたしの一日は うえの君のことを考えるうちに すぐにすぎる





六時ジャスト





朝 00秒に 起きることができた




今日も また うえの君が待っているであろうから 


あたしは 出し巻き卵を やく



ぷぅんと 朝のキッチンに

卵のやけるにおいが漂う



あたしは それと同時に彼を思い浮かべる




自転車にのって


遅れないように


彼のもとまで


届ける




あと少し

マンションが見えてきた


彼の部屋まで 足音を立てずに 近づく




ドア付近に 彼の立っている姿が あった



どうしたんだろう


いつもは こんな朝早くに 外に出ることはないのに



あたしは 嬉しくなって

はやくはやくはやく


彼のもとへ

辿り着きたいと 思う





「ねー

今日も くんのかな。」




そんな声が 聞こえた



ずるがしこい笑顔を彼にむけた


化粧もしていない髪の長い女が眼にはいる



なにあいつなにあいつなにあいつ



あたしは 彼女が誰かも知らない


だれだれだれ 誰よ


なんで あんたが うえの君の腕に自分の腕をからませて

甘えたような 声をだしているの



あたし 知らない

だって うえの君 そんな風に見えないし

あたしの前で 何も 言わないじゃない




うえの君の 声が聞こえる






「きもちわりーんだって。


毎朝 毎朝


家 出ようとしたら


スーパーの袋が かけてあって


そん中に



なんかまだあったかい 弁当はいってて


名前も書いてない 手紙も一緒に いれてあんの。


俺こわくてさー


だって何いれられてるか わかんねーじゃん。



誰かも わかんねーし


怖くて 毎朝 ゴミ箱に すててんだけど



毎日 弁当箱 新しくなってて でも全部一緒でさあ。」





あたしは その会話に 心臓がどくどくどくどく


うえの君 だっけ あそこに 汚らしい女と立っているのは


あたしの 好きな うえの君



どくどくどくどくどくどくどくどく




「まじで 警察に 届けた方がいいよー。ストーカーじゃん、立派な。

こわい。


もうすぐここ、出るし さすがに次は ないよ。」



「部屋、はいろうよ カギ かけて」



どくどくどくどくどくどくどくどく



あたし の自転車のかごに


大事に崩れないように もってきた


まだ温かい お弁当



あの女だれ だれ だれ


直接 きくのが怖いから


また 今晩 手紙に書いて きくことに するわよ




明日から土日で おやすみでしょう


あたしもその分 うえの君への想いを 


もう一度 伝えられるような手紙を考えるわ








六時 ジャスト







今日は 01秒に 目が覚めた



きっと昨日のことが まだ頭の中に もやもやしているからだわ


少し遅れた あたしは 自分自身に イライラする



今日の出し巻き卵は すこし こげて 失敗した



こんな日は何もかも うまくいかない



あたしは いつものように 自転車の ペダルをこぐ



遅れないように 遅れないように



言いたいことは すべて手紙に 書いてきたの




彼の マンション いつもと変わらない朝



205号室で 彼は今日を 迎えているのだわ




玄関の 前




205号室に 彼の 名前がないことに 気づく




いつもと違う


無機質で 冷たく見える 長方形のドア

 



ドアを 最初はひかえめに たたいてみたの


だあれも出てこないから


あたし 必死になって 彼の玄関のドア


手がいたくなるまで たたいたわ



「うえのくんうえのくんうえのくんうえのくんうえのくん」



もう 聞こえてもいいのに


ドアは 閉ざされたまんま



なんでどうしてうえのくんうえのくんだってあたしあなたのために

今朝もすこし遅れちゃったけど六時におきてあなたの健康に一番気を使ってまいにちまいにちまいにち献立を考えてお弁当をつくって暮らしてきたわあなたがいなくなっちゃうとあたしはどうしたらいいのかわからないあなたのためにあなたのためにあなただけのことを毎日かんがえてすごしてきたうえの君がいつか出し巻き卵がすきだっていうのを聞いたからあたしはあたしはあたしはあたしはだいたいあの女だれよあたしに一言もいってくんなかったじゃないのよなんであんなブスと一緒にいるのよあたしにとってあなただけが世界でただ唯一のそんざいなのよどうしてあたしになにも言わずにあたしききたいこと全て手紙の中にいれてきたのよお弁当だっておべんとうだってあなたのこと考えてかんがえてかんがえて






彼の気配が このマンション全体に  なくなっていることに気がつく




いなくなっちゃうなんて あたしに何も言わずに





気づけば あたしのこぶしから 血が流れているのに気がつく


あたしは 自転車にのって

まっすぐ 自宅に戻ることにする



ペダルを力強くふんでぐんぐん走る

ひたすら前を向いて



いいのよ


また

うえの君がどこにいったかなんて


調べればすぐ わかることじゃない



明日は予定を変更しよう


お弁当 つくるのをしばらくやすませてね 



また一から 


彼がどこでどんな風に 新しい生活を始めるのか


調べれば すむこと



明日から 忙しくなるわ



あなたのいない このマンションには

もう用がない



あたしにとって 只唯一の うえの君




自転車の ペダルを

いつもより 体重かけて ふみこんで


あたしは まっすぐ 自宅に戻る

そのおんなのこは イチゴのあじがすき

くちんなかに 赤色のあめ玉いれる

イチゴあじ。


うちはそれを丁寧に 大事に、ゆっくり 溶かす


からころ ころ
から、ん

歯にあたっておとがなる。


ほっぺたの分厚い肉が 自由自在に膨らんだり元戻ったりする。


甘いしるとイチゴのにおいとが くちんなかいっぱいなって 混ざって 鼻からぬける

あの茶色いキャラメルは すぐ溶けてなくなってまうから うちは あめ玉のほうがすき

第一、色がついてるほうがうちはすき


から ころころ
から、ん

まるで うち 甘い密すうはちかありなったみたい


そのへんの道を イチゴのにおいただよわして うちは 自転車を こぐ


下り坂でわーって 声にだして 叫んでみる


そしたら風が 身体中にいっきに入ってきて
イチゴあじの酸素になる


なんや あれやな
スポーツ選手が 酸素補給するときのやつも イチゴあじにしたええのにな


途中で ありの大群にであう


バリ ガリガリ
ガリ カリ ン


うちは 大事になめてきたあめ玉をいっきに噛み砕く。


この瞬間もな たのしいねん


細かくなったそれらを口からべーってだして 手のひらにのしてみる


こんなん おばあちゃんに見られたら むっちゃ怒られるやろな


うちは それを太陽に 向けてみる


ガラスみたいに きらきらひかる

赤色がすける


心臓もこんな色しとんのかな

どくどく ゆうて 血液ながしてる

心臓を とりだして 太陽の光にあてたら多分こんなふうになるんかな

なったら ちょっとうち 心臓のこと すきになるかもしれん


どっどっ

どくどく ん


うちは それらを
ありの大群の近くにバラバラおとす


ありは すぐにおいをかぎつけて どんどん 細かい赤色に 群がる。


なんや 遠くからみたら

黒いつぶつぶが 赤色に たくさんついて


ほんもんの イチゴみたいやなあとか思う。


ありは 列を乱して それぞれの食料を 確保する


どこまで 持っていくねんなあ
おうちがあるんやろか


ありのおうちには 女王がおって 働きものが帰るのをまっとんやろか


女王ありも イチゴのあじ、気に入ってくれたらええなあ