只今、タシさんはブータン中央部の街・ブムタンツアーの真最中。
スカイプすると何故か聞こえてきたのはゾンカ語だ。
タシ「グズサンポー」
私「??? グズサンポー ラ」
グズサンポーは、こんにちは。
語尾にラを付けると丁寧語になる。
その後もいくつかゾンカが聞こえてくるので間違って掛けたかと思ってしまった。
タシ「あのね、今お客さんと食事してます。後でOK?」
私「え?OK。また後で」
電話を切った後、おや?と思った。
通常、タシさんらガイド、ドライバーさんはお客と食事はしない。
どこで食べているかというと厨房でまかないを食べている。
ちなみに外国人向けに出される料理より、
断然こちらのまかないブータン料理の方がおいしい。
と、私は思う。人にもよるけど。
ガイド・ドライバーさんがお客と共に食事をするのは最終日。
大体このパターンと決まっている。
でも、今日はツアーが始まってまだ2日目。
・・・・あやしい
それにゾンカ語ラッシュ。
会話の相手が日本人だと知れるとマズいから?
ますます、あやしい
夜もふけたころ(と行ってもブータン時間は9時くらい)、再びのスカイプ。
タシ「慧香さ~ン、仕事終わったよ」
私「今、どこ?」
タシ「ガイド用の部屋です。今日はヤンキル・リゾートね。
さっき、ゴ(ブータンの男性用民族衣装)を脱いで着替えました」
私「ところで、お客さんと食事なんて珍しいね。最終日じゃないのに」
タシ「えへへ~」
あ~、自分から話題振っといて、なんか胃のアタリに違和感。
私「あっ、女の子でしょ!?」
タシ「むふふ~」
やはりブータン男子は浮気性なのか?
まさか、お前もか、タシ!!!
私「あ~っ、やっぱりそうなんでしょっ!で、何人」
タシ「うふふ、ひとりです」
生理前ということもあり、感情の暴走スイッチが入ってしまった。
何か知らないけど このやろぉーーーっ である。
私「っかぁ~~、カワイイ女の子の一人旅だから
食事までつきあったってワケ?
あ~、もーーー」
ブムタンツアーは長距離を移動するので1週間から10日間と長い。
その間、でれでれ顔でしかもデート気分でガイドだなんて・・・た、耐えられん。
ましてや生理前の情緒不安定はなはだしいときに。
ひとりでキーキーしている私にタシさんは面白そうに続ける。
タシ「彼女の歳、聞いてみてよ」
私「なんなのよ。じゃ、いくつなの?」
タシ「むっふっふ・・・」
あ~、いくら真面目なタシさんでもスケベ心は無限大。
これが男女関係がルーズだと言われるブータン人と付合う上での試練なのか?
タシ「むっふふ・・・65さい」
私「はい?」
タシ「65歳ね。
明日は朝4時から移動だから心配ないように説明も兼ねて
一緒に食事しました」
私「・・・・」
タシ「おばあちゃんだからね、部屋まで荷物持って行ったよ」
にわかに信じられない私は、え~、そうなの?でもあやしいな~と
小声でぶつぶつと言い続けた。
次の日もしつこく疑いの眼差しのワタクシ。
でも気分を変えてお仕事中のタシさんに
Facebookでメッセージをひとつ送ってみた。
ダーリン、ブムタンの写真撮ってきて!
さあ、どう出るか?
仮に美人の若くてカワイイお客さん(妄想肥大化中)に夢中だったら
私のお願いなんてそっちのけに違いない。
そしてその日の夕方。
タシさんのFacebookページには数枚のブムタンの写真がアップされていた。
しかも私が一度は見てみたいよ~常々言っていたチャムの写真も!
タシさん、普段はメールもチャットもFacebookもマメじゃないのに・・・
昨日はまんまといっぱいかつがれたってワケだ。
私「タシさん、写真いっぱい取ってくれてありがとう。
とっても嬉しかったよ」
タシ「慧香さん、何言ってるんですか?
だって、僕はあなたの彼氏なんですから」
キュン死しそうです。
私って単純。
だけど疑ってホントごめんね。