桜も葉桜になり、
もう5月を迎えようかというとき。
彼らは2人教室にいた。

「芽衣。出来た?」
「まだ。湧は?」
「出来たわけないっすよ」
2人はぎこちなく、どこか殺風景な会話をしていた。
「ねぇ、覚えてる?」
「主語がないからなあ」

彼らはツッコミつっこまれの会話をする。

「あたしが、湧に好きと言ったあの日。」
「逆に、忘れる訳?」
「聞いただけ。」

好きだとつたえるのには時間がたちすぎて。
なやんだけれど、そうした。

芽衣の一方的な恋からはじまった、彼らの恋は、白色からたちまち色付き、
今はもうピンク一色に染め上がっている。

「自分がしたこと、間違いじゃなかったって、思うよ」
「俺もそう思う。」
「どうして。」
「そんなの、好きだからっすよ。」
「本気?」
「本気。嘘付いてどうするの。」
「…だね、」
「だろ。」

2人の殺風景な会話は続きながら、教室には秒針の音が鳴り響く。

「芽衣。」
「何。」
「なんか質問していいよ、」

湧は質問されるのが嫌いで、例え彼女であろうと、質問はさせない。

「…どうしたの急に。」
「早く、」
「……あたしのこと、好き?」
「…そんな質問すんのかよ、つまんね。」
「大事なとこだよ、」
「……そんなの、好きに決まってるじゃないっすか。」
「…」
「俺からも質問。」
「何。」
「これからも宜しくして、いいですか。」
「…いいに、決まってるじゃないですか…。」
「…大好きだよ、芽衣」
「居なくならないでよ、湧。」
「あたりまえじゃないっすか。」

2人は抱き合いキスをした。