2018年1月7日(日)「anmi2 New Year Special Session featuring 三浦拓也(DEPAPEPE)」公演をもちまして、ライブハウスアンコール渋谷の全公演を終了いたしました。
まずは約10年間、アンコール渋谷に関わってくださった全ての皆様に心より感謝申し上げます。
ありがとうございました。
毎年1年の最後に皆様にご挨拶を差し上げるのですが、今年に関してはやはり昨日の公演が終了しないと一区切りつかない想いがありましたので、ここでのご挨拶とさせていただきました。
2007年5月13日にスタートを切ったこのアンコール渋谷。
今となっては開店時を知るスタッフは私だけとなりましたが、本当に沢山の出来事がありました。
よく「終わってみればあっという間だった」というセリフをよく聞きますが...
10年間、長かったです。本当に長かったです。
それはひとえに密度の濃さだったのではないかと思います。
このアンコール渋谷には「音楽」「エンターテイメント」の名の下にたくさんの方々が集ってきました。
その皆さんがそれぞれの「本気」を持ってアンコール渋谷のステージに立ち、そしてその「本気」に対して私たちも「本気」で返していこうと頑張ってまいりました。
その一人一人、1ステージ1ステージがアンコール渋谷の空間を作り、空気を作り、密度を作り、そして最高の音楽、エンターテイメントを楽しめる場所となったと恥ずかしながら自負しております。
その密度の中、歩んできた10年間に無駄な時間はなかったと思いますし、だからこそこの10年間は本当に長い10年だったと感じています。
その中でも思ってもみなかったような素晴らしい方々にご出演いただくこともできました。
最後にご出演頂いたあんみつの安藤正容(T-SQUARE)さん、みくりや裕二さん、三浦拓也(DEPAPEPE)さんをはじめ、
あの世界的ベーシスト ネイザン・イースト、
ギタリストでは是方博邦さん、野呂一生(CASIOPEA)さん、キーラン・マーフィー、ジャスティン・キングなど、
ベーシストでは納浩一さん、須藤満さん、ミト(クラムボン)さんなど、
さらにはHide with Spread Beaverのギタリスト Kiyoshiさんやback numberのボーカル清水依与吏さんもご出演頂いていたりと、それ以外にも錚々たるミュージシャンの方々にご出演いただきました。
ミュージシャン以外でもおジャ魔女どれみ「春風どれみ」役でおなじみの声優 千葉千恵巳さんにもマンスリーでイベントを開催していただいたりと、多岐にわたって超一流の方々にアンコール渋谷のステージに立っていただきました。
開店した頃は、ライブハウスの「ラ」の字もわからないような、ただオーナーの熱意について行ってがむしゃらに走っていただけの私たちに、このような素晴らしい方々、またそれ以外にも沢山の方々にアンコール渋谷のステージで出会わせていただけたことは、一つの奇跡では無いかと感じています。
ライブハウスのノウハウなど全く無く、音響機材の取り扱いもわからず、出演していただく出演者もいない、お酒の作り方もわからない...
全く何も無いゼロの状況から始めて、ここまで素晴らしい空間を作り上げることができたのは出演者の方々はもちろん、それ以外にも支えてくださった方々のおかげでもあります。
そして何もわからなかった私たちだからこそ出来たこともあったように思います。
元々ライブハウスなどにはあまり縁のなかった私にとってはライブハウスは「怖い」「暗い」「汚い」「臭い」などネガティブなイメージが大きかったように思います。
(今となっては偏見の部分が大きかったようにも思いますが)
もちろん音楽は好きですのでその部分で魅力的な場所であったことは間違いないのですが、やはり慣れていない方々にとっては敷居の高い場所ではあると思います。
「もっと音楽が好きな人たちが気軽に入れる場所であれば」
「もっと音楽を本気で始めたいという人たちがスタートを切りやすい場所であれば」
という気持ちをとても強く感じ、そこから生まれたのが「バンカラで歌っちゃわナイト」であり「900円ライブ」でした。
「バンカラで歌っちゃわナイト」は、生バンドで皆さんが知っている名曲を誰でも熱唱できるイベントで、最後にはアンコール渋谷の看板イベントとなりました。
生バンドをバックに歌う、というのは音楽好き、歌好きであれば誰しもが願う夢、願望だと思います。それを叶えることができるイベント、そして音楽は一部の人がやる特別なものでは無く、誰でも気軽に楽しめるものだということを改めて感じさせてくれる素晴らしいイベントでした。
「900円ライブ」は、音源審査不要のブッキングイベントで、ここで初ライブ、初ステージを踏む方々が多くいらっしゃいました。
本気で音楽を始めたい、でもどうすればいいかわからない、ライブハウスに出演するのは敷居が高い、と思っている人の背中を押してあげれるような、そしてそこからの音楽活動を応援できるような、そんなイベントにできたのではないかと思います。
そんな世界的ミュージシャンから、初ステージを踏むアーティストの卵、そしてその日だけステージに上がって熱唱する音楽好きの方々まで、本当に幅広い方々がアンコール渋谷の同じステージで音楽を奏でる。
その幅広さがアンコール渋谷の魅力だと思いますし、ひいてはその幅広さが音楽の素晴らしさだと思います。
2017年9月にアンコール渋谷の閉店をお知らせさせていただいてから、出演者の方々はもちろん、アンコール渋谷を支えてくれた方々や、いつもお越しいただくお客様まで、本当に沢山の方々からありがたい言葉をいただきました。
「本当に残念です」
「このライブハウスは本当に良い空間なので、なんとか続けられないんですか」
「ここにしか出演していなかったので、これからどうしていいかわかりません」
「別の場所で再開する予定はないんですか」
「もし再開の予定が決まったら、また出演したいので連絡ください」
数え切れない沢山の言葉をいただきました。
全ての言葉にアンコール渋谷への愛情が詰まっていて、それを聞くたびに本当に心苦しく、そして怒られるかもしれませんが本当に嬉しく思いました。
アンコール渋谷はこんなに沢山の方々に、こんなに深く愛されていたんだな、と。
改めてこの空間の素晴らしさを感じさせていただきました。
アンコール渋谷は約10年間の幕を閉じます。
この渋谷の地で、いつでもそこに行けば素晴らしい音楽がある、何か思い立ったときにいつでもその場所でチャレンジができる、どんなに離れてもそこに帰れば顔なじみのスタッフ、お客さんがいる、そんな「ホーム」として存在していたいと思っていました。
それはもう叶わないですが、皆様が過ごしたアンコール渋谷での時間は皆様の中にしっかりと刻まれていると思います。
ここでの時間はそれほど「楽しく」ときには「苦しく」、そして何よりも「濃い」時間であったと思いますし、そうであってほしいです。
そしてその時間が皆様に刻まれている限り、この10年は皆様にとって、そして何より私にとってかけがえのない時間となります。
アンコール渋谷は終わりますが、「音楽」は終わりません。
音楽が続いている限り、音楽で繋がり続けるはずですし、また皆様とどこかでお会い出来ると思います。
その全ての想いを胸にこれから頑張っていきたいと思いますし、皆様の今後のご活躍を心からお祈りしております。
最後に改めて...
アンコール渋谷にご出演頂いた皆様、
アンコール渋谷を支えてくださった皆様、
アンコール渋谷で共に働いてくれたスタッフのみんな、
そしてアンコール渋谷を愛してくださった皆様。
皆様のおかげでここまで走ってこれました。
皆様のおかげで最高の瞬間を感じれることができました。
皆様のおかげで素晴らしい空間になりました。
10年間、本当にありがとうございました!
ライブハウス アンコール渋谷
店長 高橋 耕二