いつか書こうと思いながら、ついついタイミングを逸してしまった「行政書士試験の受験料改定の意見公募結果」について。
意見公募結果公表日が【1月26日】。
偶然なのかわかりませんが、行政書士試験合格発表日にあわせたような感じもしないでもないですね。。。
(下記リンク先をご覧ください。)
合格発表後のバタバタもあってタイミング逸してしまいましたが、わたしなりの感想を記したいと思います。
1.総評
◆受験料値上げはやむを得ないと思っていました。
ただ、パブリックコメントの大半で「説明責任が不十分」と記していたのに、それに対する「お詫び」はありませんでした。
値上げの根拠数値をパブリックコメント回答の巻末に記載して、「行政側ではこれで説明責任を果たしています」ぐらいにも取れてしまいます。
本来でしたら、パブリックコメント募集時に提示があってもよかったと思えます。
◆ビジネスの世界でしたら、このような場合には「まずお詫び」だと個人的には思います。
その上で、値上げの理由を冒頭に提示して、個別の意見へのコメントを記したほうがよかったと思います。
2.受験料の水準
◆わたしの受けた国家資格、民間資格の受験料との比較です。
①FP3級 6,000円
②FP2級 8,700円(実技ではマークシートではない。計算問題の採点あり)
③FP1級実技(FP協会) 20,000円(300字論述問題の採点あり)
④経理財務スキル検定(FASS検定/2013年時点) 10,500円
⑤CFP資格審査試験(1課目あたり5,400円/6課目同時27,000円)
※行政書士試験 7,000円(今回提示:10,400円)
◆行政書士試験は、記述式があるにもかかわらず、約20年この受験料で運営してきたことには感謝です。
今回の値上げによる10,400円という価格水準も、記述式の採点があることを踏まえると、高すぎるといえないことも理解できます。
ただ、上記1に記した通り、「理由の提示方法」がいただけなかったと思います。
3.公募意見について
◆概ね、「上げすぎ」、「理由の提示が不十分」、「宅建との比較」、「自助努力」だったように思えます。
それに対する回答は「コピペ」にも思える内容も多く、それにはがっかりでした。
◆わたしも「2件」提出しました。 (無記名可で、メールアドレス2つあったので、2通出しました。)
ある意味「独自の視点」だったと思います。
法的論理性、感情論だけでは通じないと思い、「具体的に、数字で語ること」を意識しました。
まず、「没問防止など業務品質向上」では、事例を具体的に記載しました。
もうひとつは、行政書士試験研究センターの決算報告、財務諸表を精査しての意見提出でした。
★実はこちらに思い入れがありました。財務諸表分析は「唯一」の意見だったと思います。
・令和2年度の経常損益が、前年の▲3,647万円から▲2億4,043万円に悪化。
試験実施費の+2億1,859万円の増加が影響。
・令和2年度の正味財産期末残⾼は8億7,812万円。仮に令和2年度のペースで持ち出しになる
と、あと4年弱の残⾼しかない。
・令和2年度の経常損益(▲2億4,043万円)を令和3年度受験申込者数(61,869⼈) で割ると1⼈
当たり▲3,886円。今回の値上げ幅が3,400円であるため、殆ど受益者負担にも見える。
・令和3年度収⽀予算書によれば、試験実施費予算が令和2年度実績との⽐較で▲893万円の
減少にとどまっており、コストダウンの努⼒がこれだけではわからないのではないか。
・受益者負担を求めるのであれば、運営側での自助努力と評価システム、説明責任も必要。
4.まとめ
◆決定プロセスには不満ですが、決まったことなので受け入れて粛々とやるしかありません。
価格的には、試験内容(記述の採点)と他資格との比較、業務独占資格としての「格」からも、著しく高額とは思えません。
受験料値上げに見合う運営側の自助努力と、受験生側での「覚悟を決めての受験」を願っています。
◆「意見公募手続」で盛り上がったので、次回試験では何らかのかたちで出題されそうですね。
(記述式で出すと面白そうですが、令和3年も行政手続法で連続になってしまうので「微妙」。。。)
<完>