金曜日の人間ドックでの待ち時間に、かつてお世話になった方から「ハローワークでの失業給付の計算方法について教えてほしい」とのショートメッセージが着信していました。
失業給付といえば真っ先に思い浮かぶのは「雇用保険の基本手当」です。
通常のパターンであれば、雇用保険の基本手当の事例に基づく説明をすれば事足りるので、その旨を返信しようとしたときにふと気づきました。
「この方は65歳以上なので、果たしてそのままでいいのだろうか?」
ここでブレーキがかかったことで、間違えた情報の提供を防ぐことと、「新たな気づき」に繋がりました。
CFPの受験勉強時に苦労したところでもあったので、「65歳以上 失業給付」と検索ワードを入れてネットで調べたら、「求めていたもの」を思い出しました。
そう、「高年齢求職者給付金」のことです。
雇用保険法の改正により、2017年1月1日から65歳以降の労働者についても、「高年齢被保険者」として雇用保険の適用対象となっています。
65歳定年後も働き続けたいという意欲のあるシニアへ配慮した内容となっています。
内容を確認したら、「雇用保険の基本手当」の65歳以降バージョン。
「賃金日額」の計算方法は同じでした。
☆賃金日額=退職直前の6ヶ月の賃金の合計(※)÷180日
※賃金に含めるもの・・・時間外手当、通勤手当
※賃金に含めないもの・・・賞与
一方で、雇用保険の基本手当の扱いと異なるものもありました。
(基本手当日額の計算方法も当然異なりますが、それ以外の相違点です。)
①受給要件
・基本手当は、12カ月以上の雇用保険の加入
・高年齢求職者給付金は、6か月以上の雇用保険の加入
②支給日数
・基本手当は、90日~330日
・高年齢求職者給付金は、被保険者期間が6か月以上1年未満は30日分、
1年以上は50日分
③年金との併給
・基本手当は、年金との併給は不可
・高年齢求職者給付金は一時金となるため、年金を受け取りながらの受給可能
④支給方法
・基本手当は、28日分で分割支給
・高年齢求職者給付金は、一時金として一括で受け取ることが可能
上記を用いて説明した結果、自分としての役目を果たせました。
「~だろう」で説明していたら失敗していただけに、責任感ある態度で知識をお届けすることの大切さを改めて実感しました。
この「調べもの」への取り組みを経たあとで、「そういえばこの高年齢求職者給付金、CFP受験対策本の【FPK精選過去問題集】にも掲載されていて、歯が立たなかった問題だった」ことを自宅に帰ってから思い出しました。
また、高年齢雇用継続給付で、「①高年齢雇用継続給付金」、「②高年齢再就職給付金」との相違点も明確になりました。
①高年齢雇用継続給付金
⇒・基本手当を受給せずに雇用を継続する者を対象に支給
・支給期間は【60歳に達した月から65歳に達する月の期間内にある月】
・在職老齢年金との併給調整あり(在職老齢年金の支給額が調整)
②高年齢再就職給付金
⇒・60歳以上65歳未満で再就職した被保険者が対象
・再就職する前に雇用保険の基本手当等を受給し、その受給期間内に
再就職したが、前職と比べて賃金が低くなった際(※)に補填される
給付金
(※)賃金日額が、前職時(退職直前の6ヶ月の賃金の合計÷180日)と
比較して75%未満に低下時に支給
③高年齢求職者給付金
⇒・65歳以上の高年齢継続被保険者が失業した際に、失業手当の代わりに
支給される給付
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受験勉強時に【これだけ】明確に整理できていれば、苦労も少なかったと思います。
つくづく、【受験勉強】だったと振り返りました。
「誰かのために」役立てようと、当事者意識を持って、【親身に】、【本気になって】、情報収集し、説明に励むことで、【真の理解】につながると思います。
なお、本日取り上げた事項について、高年齢雇用継続給付金と高年齢再就職給付金は何度かCFP資格審査試験で出題されましたが、高年齢求職者給付金は2018年6月試験で【法改正対応】として1度出題されています。
とてもその区別は紛らわしく、その盲点を突いた出題もきっとされるだろうという前提に立って、【違い】を明確にして押さえておきましょう。
<完>