「オバマの嘘を知らない日本人」PHP研究所 2014.07.04発行

感心しました。
少し前の本ですが、現在のアメリカの状況を本当に的確に考察しています。
昨今のトランプ旋風も、この本を読むと、漠然と理解出来るようなきがします。

著者の日高義樹は元NHKの特派員で、30年来アメリカと日本の戦略的互恵関係を半世紀前後考察してきた人です。米国総局長まで勤めたひとだそうです。

題名の「オバマの嘘」からもわかるように、共和党よりの論調ですが、共和党のプロパガンダではもちろんありません。

しかし、現在の日本の置かれた状況を、プーチンのロシア、メルケルのEC、アメリカから見た日本とも敵対する中国について、これでもかという、冷徹な考察と感じます。

結論としては、日本はアメリカが内向きの戦略に舵を切った現状では、「自分の身は自分で守らなくてはならない」という、世界の常識を、日本人はいやがおうでも認識しなくてはならない、ということです。最早日米安保条約ははりこの虎である。

この結果日本の基本戦略は核武装は避けられない、ということです。付け加えれば、中国の核戦力は、北朝鮮などとは比較にならないほど、質、量とも進んでいる。ロシアは、世界戦略上、北方領土を返還することなど、考えられないとのことでした。

付け加えて、これらの結論を導く上での、アメリカ内部の政府、軍部、一般大衆、共和党の内部分裂の傾向、民主党の利害対立、オバマの外交及び世界戦略のお粗末さと、その結果からの世界各国及びアメリカ国内でのオバマ不信、エネルギー問題、環境問題を論じています。