地獄とはまさにこのことだ、と痛感しました。
たしか六月くらいにとある派遣会社に登録を済ませたは良いものの、毎日のようにメールにて仕事依頼が来ているのをことごとく流していました。やりたい仕事だけをやれるときにやればいい、この派遣ならではのメリットを徹底しながら、ついに自分の自由な時間が過ごせる夏休みへ突入。実家に帰る前にちょっと稼ごうかと思い、ある仕事依頼を受けました。
それは「花火大会の撤去作業」時給900円、仕事時間はam8:00~12:00。まず花火という言葉に謎の魅力を感じ、実際に自分も観に行く予定だった花火大会の撤去作業…けっこう面白いかもしれない!そんな甘い思考が自信の中に働いていたな…と仕事が始まってから後悔しても、もう後戻りはできません。
8月2日am6:00起床。前日の花火大会から帰宅後、散歩に行ったり家庭用ビーマニで遊んだりしながらも、割と早く就寝したためにこんな早い朝でも難なく起床することができました。そのとき「あ、今日けっこう涼しいじゃん」。いかに真夏とは言え、早朝ともあらば夜よりも涼しいのは当然でしたね。すぐ後には死ぬほど暑くなるということも知らずにいました。そしていつものように朝食を食べずに自転車に乗って派遣会社の事務所へ。
自宅から派遣会社まで自転車で約35分。正直、仕事内容よりもこの自転車の往復の方がキツイかなと思ってたんですけどね。割と余裕を持って集合場所に到着。派遣会社の事務所に今日の仕事のメンバーが揃ってからその一人の車に乗って仕事現場に向かいました。
その車内で「撤去作業って…なにするんだ?そんなにやることないだろ」「四時間も要らないんじゃないのか?」「12:00までとか書いてあったけど、こういうのって意外とすぐに終わっちゃうんだよなー」等々の会話が繰り広げられていました。実際に俺も「ゴミ拾いくらいなんじゃないか」とたかをくくっていました。
しかしですよ!
そんな甘っちょろい考えはすぐに改めさせられました。雲ひとつない青空に、朝だというのにさんさんと照り輝く太陽の下。目前に広がるのは大海原のような夥しい数のパイプ椅子やテント。そりゃあもう、天を仰ぎましたよ。こんな少ない労働力でこれだけのものを、このクソ暑い中で撤去しなければならないのか。
仕事中、一体どれだけのパイプ椅子を運んだことか。パイプ椅子だけでなく、テントの骨組みや積み重ねられたカラーコーン、テントの屋根など、ありとあらゆるものを撤去しました。両腕の筋肉はかなり早い段階でオーバーヒートを起こしたように思えます。足もフラフラでした。…まぁ、こんな力仕事だけならまだいいんですよ。今日は何が一番キツかったか。それは、この猛暑です。業者の何人かは上半身裸で、それでも体中から汗を流していた。そんな暑さと日照りが最大の敵でした。
こんなクソ暑い中、かなりの重労働をするというのに朝飯を抜いてきた自分自身を呪いたかったです。仕事中、汗は体中から滝のように流れ出し、露出された肌はどんどん焼かれていきます。夏休みが始まるまで、できるだけ猛暑の中にいることを避け、学校や自宅のクーラーが効いた中でゆとられてきた俺には、そもそも無理がありました。体力も気力も尽きるだけ尽きてから、「あぁ…これは熱中症で倒れても仕方ないな」と、半ば諦めかけていたほどです。
それでもなんとか耐えがたきを耐え、忍びがたきを忍んだ俺は…よく頑張ったと自信を褒めてやりたいです。途中、もう金なんて要らないから早くこの地獄から解放させてくれ、と何度思ったことか。このバイトを終え、間違いなく筋力もアップしたし余分な脂肪分も燃焼されまくったし、何より根性値が跳ね上がりました。
12:00まで、本当に予定通りの時間にバイト終了。それはもう心の底から本気で「お疲れ~っす!」って言ってたと思います。…もうこれからは「お疲れ」なんて安々使えませんね。実際、とりあえず「お疲れ」みたいなことを言えばいいみたいな文化はあまり好きではありません。べつに全然疲れてないんだけど…って心の中で反発しているときもありますw
それから派遣会社の事務所へ戻り、悪魔からの言葉「M本君、今日の午後って空いてる?欠員が…他の現場で熱中症で倒れちゃった人がいて、できたらその穴埋めに行ってほしいんだわぁ」。…いやいやいやいや、そんなの行くわけないでしょ。今、こんなにバテてるっていうのに…てか、だいたい「熱中症で倒れた人がいる」なんて現場に誰が行ってやろうか。かなり前の段階でピークを迎えた不満をこころに留め、「すいません、今日は午後から用事が」と丁重にお断りしました。
こんな猛暑の中、ある程度の力仕事をしていれば、まぁ熱中症で倒れても仕方ないですね。本当にそう思いました。これは倒れない方が不自然だと。その事実に対する対応がイマイチな気もしましたが、とりあえず俺の任務は終了。今は、熱中症とまではいきませんが、体中が非常にだるく、他の活動もしないまま家でダラダラと過ごしています。夏はおとなしく家でダラダラと過ごすのが正しいと思うほど、もう何もする気がありません。
というわけで、本当に危ないので猛暑には気をつけてください!
ではまた!