☆楽天
☆Amazon
一つの花 (おはなし名作絵本 21)
☆Yahoo!ショッピング
☆Yahoo!オークション
家庭保育園 『なかよし館』 選定
作: 今西 祐行
絵: 鈴木 義治
出版社:ポプラ社
「一つだけちょうだい」
これが、ゆみ子のはっきり覚えた最初の言葉でした。
戦争がはげしくなって食べるものが不足し、
小さかったゆみ子はいつもおなかをすかせていました。
もっと欲しがるゆみ子に、
お母さんはいつも、
「じゃあね、一つだけよ。」
と言って、自分の分から一つ、ゆみ子にわけてくれました。
ゆみ子は、一つだけちょうだいと言えば、なんでももらえると思ってしまったのです。
すると、お父さんが、深いため息をついて言いました。
「この子は、一生、みんなちょうだい、山ほどちょうだいと言って、
両手を出すことを知らずにすごすかもしれないね。
一つだけのいも、一つだけのにぎり飯、一つだけのかぼちゃの煮つけ・・・。
みんな一つだけ。一つだけの喜びさ。
いや、喜びなんて、一つだってもらえないかもしれないんだね。
いったい、大きくなって、どんな子に育つだろう。」
それから間もなく、ゆみ子のお父さんも、戦争に行かなければならなくなりました。
駅に見送りに行ったゆみ子とお母さんですが、
「一つだけ、一つだけちょうだい。」
そうねだるゆみ子に、お母さんは、駅に着く前におにぎりを全部食べさせてしまいました。
いよいよお父さんが乗る汽車が入ってくるというときになって、またゆみ子の
「一つだけちょうだい。」
が始まったのです。
おにぎりはもうありません・・・。
お父さんは、プラットホームのはしの、ごみすて場のような所に咲いていたコスモスの花を見つけ、
ゆみ子に手渡しました。
「ゆみ。さあ、一つだけあげよう。一つだけのお花、大事にするんだよう・・・。」
お父さんは結局、帰ってはきませんでした。
そして、ゆみ子のちいさな家はコスモスでいっぱいになっていました・・・。
戦争中の現実。
食糧不足。
でも、子どもにはお腹いっぱい食べさせたい。
けれど、何もなくてぐずる子どもに、一輪の花。
一つだけの花じゃなくて、一つの花。
それが、何年後にかは、庭いっぱいに咲いている。
戦争やそれによってもたらされる生活、親の気持ち、子どもの気持ち・・・。
いろいろなことを考えさせられる絵本です。