■あらすじ
アフリカを訪れていた米国人医師アンドリューが、突如、米国に戻るよう現地の者に忠告される。米国人を人質として狙う過激派集団にアンドリューの存在が知られたためとのことだった。アンドリューは妻のスーと共に空港へ向かう。操縦士に高額の運賃を要求されながらも、それを承諾し、自家用機に乗り込むことができたアンドリューとスー。2人以外の乗客は、旅行で訪れていた3人の若者と現地出身のガイドだった。操縦士を含む7人が乗った自家用機は無事に離陸するが、しばらくすると機体が大きく揺れ、墜落してしまう。自家用機が落ちた場所はアフリカの荒野。アンドリューとスーは命こそ無事だったものの、墜落により旅行中だった女性が死亡する。やがて、アンドリューたちは、自身のいる場所が、ライオンやヒョウなどの凶暴な動物が生息する保護区だと知り、愕然とする。(メーカーサイトより)
■ネタバレ
*アフリカを訪れていたアメリカ人医師アンドリューとその妻スー。テロ組織ボコ・ハラムに居場所を密告され誘拐の危険性が高まり、自国へ戻ることに。慌てて帰国の準備をするが、伝道者の妻は「いつかこの場所へ戻れるかしら」と言う。夫は「盗まれて医療機器も届かない、今日も子供を救えなかった。君の聖書だって税関で消えたじゃないか」と吐き捨てる。
*協力者ワンダに見送られ、夫婦は小さな飛行場へ。そして先ずはグランという男の小型飛行機に乗ることに。期限切れの書類を、空港職員への賄賂で押し通すグラン。更に2人で6千ランドと聞いていたのに1人1万ランドを請求され、しかも大きな荷物は載せられないと言う。相手は医療機器を届けなかった飛行士らしい。憤りつつも受け容れるしかない。他の乗客は横暴なタイラー・発熱中のマックス・紅一点クリッシーの外国人3人組とその現地ガイドであるターボで、パイロットを含めて7人。数時間の空の旅だ。
*荷物は別便で送ることになったのに、離陸間もなくターボから重量超過を指摘されるグラン。やがて機体トラブルにより飛行機は墜落。機体は大破し、乗客達は投げ出される。クリッシーが死亡して、残りは6人。タイラーは自分が生きていることを喜び、マックスはクリッシーの遺体を前に泣き崩れている。スーは足を金属に挟まれていて身動き出来ない状態だったが、どうにか助け出して手当をする。
*飛行時間や方向等から、飛行機はナラ保護区に墜落したと判断される。ヒョウやハイエナ、ライオンといった[大物]が生息するエリアだ。夜になれば奴等の狩りが始まるため、日中に移動する必要がある。「東に村がある」と言うグラン。しかしスーは足の怪我が酷く、歩ける状態ではない。彼女は落ち着いた様子で「信仰があるから私は大丈夫」と言う。ターボがアンドリューと共に彼女を背負うことを申し出てくれるが、結局夫婦はその場に残り、助けを呼んでくれるように頼む。
*4人はパイロットの先導で歩き始める。マックスは「何かがおかしい、方向が違う」と主張するが、グランは「幻覚だ」と取り合わない。ひたすら歩き続け、やがて「あの砂丘の向こうに村がある」と言うグラン。しかし砂丘を越えると、見渡す限りの荒野が広がっている。取り乱して、グランが持っている拳銃を奪い取るマックス。マックスは1人で歩き始め、3人は来た道を戻ろうとする。
*3人は飛行機へ到着。機体の残骸には爪痕や新しい血痕が残っている。横たわっていたスーの姿は消えており、アンドリューが「人殺し」と叫んでグランに掴み掛かる。スーはライオンに襲われ命を落としていた。しかも積荷から、グランはサイの角を密輸していたと分かる。そのせいで医療機器が届かず、6歳の子供が犠牲になった。墜落の原因も重量超過だろう。揉み合いになるアンドリューとグランを引き離そうと、唯一の発煙筒が放たれる。
*「ライオンは戻って来る」と主張するグラン。原型を留めている操縦席ならロック出来る。2人用だが、どうにか押し込めば3人は入れるだろう。残っているのは4人。コイントスで、入れないのはタイラーに決定。彼はターボに「俺の父親が雇い主だぞ、お前が外に居ろ」「100万払うから」と言い募るが、嗤われ「お前等は皆同じだな」と一蹴される。
*やがて夜になり、3人は窮屈な操縦席へ。外ではタイラーの傍で焚火を起こしておく。遠くからマックスの撃つ銃声が聞こえ、グランは「命中を祈る」と言う。夜が更けるとタイラーが襲われ、操縦席にも悲鳴が届く。アンドリューは咄嗟に助けようとするが、グランが制止。獣が操縦席にも迫る中、コクピット内部に毒蛇が居ることが判明。グランがトイレに出た際に潜り込んだのだ。ターボが足を噛まれるが、アンドリューが迅速に処置をする。攻撃されながらも操縦席は開かず、結局ライオンは諦めて姿を消す。
*朝を迎えて操縦席から出る3人。機体の残骸にはライオンによる傷と、新しい血痕が増えている。タイラーの姿はない。虚しく座り込むアンドリュー。一方でグランはターボに肩を貸し、木の枝で松葉杖も作ってやる。グランが出発を促しても、アンドリューは無気力な様子のままだ。「ここに居る、神に全て委ねる」と言うアンドリューを諦め、歩き出すグランとターボ。すると遠くから、車が接近するのが見える。喜び、アンドリューに向かって「神が奇跡を起こしたぞ」と叫ぶグラン。アンドリューも笑顔になる。
*しかし車が3人の居る場所に到着すると、それは救助等の好意的な存在ではないと分かる。武装した密猟者の男3人組だ。理不尽に殴られるアンドリュー。ターボは「危害を加えるな、飛行機が墜落したんだ」と状況説明するが、相手は「お前は白人と何をしてるんだ」と詰問する。「僕は彼等の手助けを」「つまり家来なのか?」結局ターボも殴られ、グランが銃口を向けられながら話すことに。「ヨハネスバーグへ向かってた」と説明していると、積荷だったサイの角を見付けられる。木箱に入った角が何箱もある。
*「俺達から盗みに来たのか。誰に売ってる?」と、質問と銃口を向けられるのはアンドリューだ。彼は抵抗も返事もしない。アンドリューが撃たれそうになり、慌てて「密輸してたのは俺だ」と白状するグラン。「それならお前を殺す」とグランに銃口が向くと、今度はターボが口を挟む。「何故殺すんだ?テロリストでもないのに。確かに君達の国で君達の角だ、しかし…」男達には話をする気はなく、ターボは言葉の途中で頭を撃ち抜かれる。
*男達の1人はサイの角を運ぶトラックを手配するため、その場を離れる。2人はその場に残り、アンドリューとグランを見張る。アンドリュー達は膝を着いた体勢で腕を頭の後ろで組まされ、水も与えられない。なかなかトラックは到着せず、やがて見張りは居眠りを始め、アンドリューは意識を失い倒れ込む。それでも見張りが目を覚まさないので、グランは慎重に動いて銃を奪おうとする。察知されて発泡されるが、弾詰まりで難を逃れるグラン。揉み合っていると、もう1人の見張りとアンドリューが加勢。2人目の見張りが銃を乱射、アンドリューが懸命にその銃を掴み、1人目の見張りは流れ弾に当たる。それでもなお連射を続ける銃口を、アンドリューが相手の方へと押し遣る。
*銃弾に倒れた男の救命処置をしようとするが、致命傷だ。人を救う仕事をしているのに人を殺したことを、悔いるアンドリュー。彼はまた気落ちした様子になるが、グランが励ます。「助けたい。全部俺が悪い、あんたの奥さんや他の奴等が死んだのも…だから、あんただけは守らないと」「何故だ?」「正しいことをしたい。チャンスをくれ」
*歩き始める2人。足を怪我しているアンドリューに、グランが肩を貸す。アンドリューは痛む足を引き摺りながら「僕を置いていけ、1人で行くんだ」と促すが、グランは「駄目だ、死なせない。必ず生き延びる」と譲らない。倒れ込んだアンドリューを抱え起こして、再び歩き始めるグラン。やがて2人は大きな岩山へ辿り着く。
*グランはアンドリューを手助けしながら徐々に岩山を這い上がるが、疲弊しているアンドリューは途中で落下してしまう。そこへ複数のライオンが接近。グランはアンドリューを担ぎ上げながら「実を言うと、あんたみたいな善人に憧れてた。見返りを求めず、与える側の人間に…でも俺は貰うばかりの人間だ。そんな俺にいよいよやってきた、ツケを払う時が」と話す。
*2人は岩山の頂に、ライオンも岩山の裾野に到着。ここから東の方向に村がある。2人が息を潜めていると、ライオンは気配を見失って立ち去ろうとする。しかし風向きが変わり、更に出現したサソリを払い除けた拍子に小石が落下し、ライオンに気付かれてしまう。このままでは2人共襲われてしまうだろう。グランは自分が囮になる決意をする。「あんたをここまで連れて来られて、久し振りに良い気分だ。ずっと罰から逃げようとしてきたが、償わないと。今が罰を受ける時だ」
*「ライオンが居る。俺が気を逸らしている隙に逃げろ」と告げるグラン。衰弱し意識朦朧としているアンドリューは、彼を制止出来ない。「あんたは諦めるな、戦い続けろ」と言い残すと、雄叫びを上げて地上へ駆け下りるグラン。瞬く間にライオンが襲い掛かる。アンドリューは堪らず目を背ける。
*1人になったアンドリューは、岩山の反対側に下りて歩き始める。炎天下で水もなく、怪我をしている状態で何処まで行けるのか。転倒すると、目前にハイエナが迫る。空を仰いで「神よ、これで終わりですか」と呟くアンドリュー。しかし諦めず、逃げずに戦うことを決め、傍に転がる枝を掴み上げる。「やる気か?いいだろう、始めよう」と枝を振り上げたその時、アンドリューとハイエナの間に突如雷が落ちる。ハイエナが驚き逃げ出すと、スコールが降り注ぐ。
*ひとまず危険が去り、雨を浴びて横たわるアンドリュー。どれ程の時間が経ったのか、目を開くとスーの姿が見える。安堵するが、自分も命を落としたということなのか。しかしその時「見付けた」と声を発したのは、スーではなくワンダだった。彼が仲間と共に探してくれていたようだ。ワンダとその仲間に肩を借りて、アンドリューはまた歩き始める。
■雑感・メモ等
*映画『飛行機に乗っていたら墜落して、凶暴な人食いライオンのいる原野に放り出された件』
*レンタルにて鑑賞
*ライアン・フィリップ主演のアニマルパニック系アクション
*何も知らずに見始めたので「主人公がライアン・フィリップに似てるな、年取ったらこんな感じかな」とか思っていたら本人だった。エミール・ハーシュやミーナ・スヴァーリも出演しているけど、格安B級作品。
*死亡者リスト:1.クリッシー(墜落死)2.スー(獣)3.マックス(獣)4.タイラー(獣)5.ターボ(射殺)6.グラン(獣)
*アニマルパニックと言っても、2~4人目が襲われる部分ではライオン映像は殆ど流れないので物足りない。他には蛇やサソリ、ハイエナが登場。
*終盤パイロットが割と大幅に態度を改めるので、何らかをエピソードを見逃したのかと思った。(この人、作中では名前を呼ばれていなかったような。)