■あらすじ
3人の映画監督が受け取った1通のハガキ。その差出人は人里離れた小さな町に住む友人だった。カメラを携えた3人は興味本位で友人を訪ねるが、その町には大きな秘密が隠されていたのだった…(ジャケットより)
■ネタバレ
*3年間音沙汰のなかった友人ナサニエルからの葉書を受け取るアダム・スティルウェル。『スティリー、仲間と共に来て奇妙な現象を記録して欲しい。7月13日午後2時から4時の間にモンタナ州ウィネットのバーで会おう。来なければ永久にさよならだ』最後の1行だけは大きな文字で『助けを待つ/WE NEED YOUR Help』と書かれている。
*スティリーは映画制作者で、同業者のデイヴィッド・ブレア、アダム・ピットマン、音響担当のアダム・コットンと共に、カリフォルニア州ロサンゼルスから3000km旅をする。ナサニエルは若者ばかり40人程度で、マッセルシェル川沿いで自給自足の生活を送っている。カルト集団なのか単なる生活共同体なのか、ピットマンは訝っている。
*約束のバーでナサニエルと落ち合い、その後グループのリーダー格リゾも合流して集落へ。彼らは居住区域を[トライアングル]と呼んでいる。テント10張り程度を三角形に並べ、その中で生活しているからだ。彼らは野菜を栽培し羊を放牧、いずれは羊毛で自分達の服も作りたいと考えている。携帯電話は繋がらず、新聞すらない暮らし。しかし文明と完全に切り離されるのは難しいようで、ウィンドチャイム・珪化木・乾燥ソーセージ等を売って発電機を使って生活している。ウィンドチャイムは居住区を囲むように飾られてもいて、装飾の赤い布が風に泳いでいる。少し離れた洞窟付近には毒蛇が居るため、近付く事は禁止される。火災防止のため禁煙、トラブル防止のため飲酒も禁止だ。
*グループのメンバーにはリゾ・ナサニエルの他、料理係のマーサ・ジョンとシアラのカップル・ニック・タイラー・モンテ・ルースター等が居る。メンバーの何割かは、砂漠で開催されたフェスで知り合ったらしい。最近は体調不良を訴える者が多く何人も倒れているが、原因は暑さのせいだと言う。
*撮影については事前に充分な説明がなされていた訳ではないようで、一部には歓迎されていない空気もある。映像作品公表についての契約書には全員のサインが必要だが、それも快諾とはいかない状態だ。ナサニエル達はこの居住区でのトラブル解決を望んでスティリー達を招いたのだが、その詳細についても「勝手に話す事は出来ない」と言う。暫く一緒に過ごし、互いに信じ合えるようになれば教えてもらえるようだ。人里離れた閉鎖的な空間のため、スティリー達4人は緊張感を持って過ごす事になる。
*1日過ぎ1週間過ぎ、やがて3週間が経過する。彼らは互いを信頼しており、人前でも裸になり排泄行為も隠さない。落雷による火事も起こるが、人間同士の大きなトラブルはない。グループ内には[輪]が幾つかあって、参加は自由。ある夜4人は[儀式]に誘われる。皆で炎を囲み、得体の知れない液体を飲む。カルトのようで些か不安を感じるが、その集い自体は問題なく過ぎる。全員がサインした書類も渡される。
*居住区内は飲酒禁止だが車の中は例外で、グループ所有のバスで皆がハイになる。外で踊っているグループも居る。盛り上がっている隙に4人はリゾに連れられて、ナサニエルを含む一部メンバーと共に洞窟へ。掘られた穴の底には恐竜の頭蓋骨がある。そして奇妙な音が鳴っている。掘る度に音が大きくなり、体調不良を訴える者が増えたそうだ。ただそれが意味するものは分からず、4人を招いたのだと言う。他のメンバーはこの事を知らない。
*翌日の早朝、ジョンがシアラを探して4人のテントを訪ねて来る。昨夜から姿を消していて、まだ戻って来ないらしい。居住区が騒めく中、体調不良者が続出する。風邪のような症状を訴える者・嘔吐する者・耳から血を流す者…リゾやナサニエルも具合が悪そうだ。食中毒かもしれないが、体調が悪いのは頭蓋骨の件を知る者ばかりのようだ。助けを呼ぼうと車に乗り込むが、どの車も動かない。
*リゾ達は、全員に頭蓋骨の秘密を伝える。皆でここを離れる事を提案。ただしリゾはここに残って、ジョンと共にシアラを探す。「あの[夢]を知る者同士だ、結束しよう」と言うリゾ。夢とは何の話なのか。確認すると、15人が同じ夢を見たのだと言う。古い小屋に居ると生殖器も乳首もヘソもない若者が現れ、ピットブルや熊等に自在に姿を変える。一緒に旅をして何十億年も歩き続けた後で、旅のガイドであり友人そして助言者であるものは、自分の傍らで息絶えた。腐敗が始まり、熊ではなくT・レックスの骨が現れた。恐竜の頭蓋骨の歯には古代の絵が刻まれていた。今でも夢の意味は分からない。夢の最後で、自分は消える。夢の通りの骨を洞窟で発見したため葉書を出した。結果を見届ける誰かが必要だったから。
*体調に問題のないメンバーが65km程離れた町まで歩いて、救助を要請する事にする。助けが来るまではここでどうにか遣り過ごすしかない。4人は前夜の映像を見直してみる。洞窟の様子を捉えようと設置した定点カメラだ。シアラがやって来て服を脱ぎ捨て、洞窟へ入って行く。彼女が入った後、洞窟からは閃光が漏れる。シアラが出てくる姿は確認出来ない。ジョンに映像を見せると、彼は制止も聞かずに洞窟へ駆けて行く。4人も洞窟へ向かうと、以前より音が大きくなっている。頭蓋骨の歯の1本が光っていて、水晶のような物が伸びている。その時カメラには一瞬女性の姿が映るが、4人はそれに気付かない。
*スティリー達は洞窟に加え、居住区内の様子を記録出来るようにカメラを設置する。翌朝、居住区からは例の夢を見たメンバーが全員消えていた。洞窟の中には誰も居らず、恐竜の頭蓋骨が残されているが、もう光ってはいない。録画内容を確認すると、全裸のシアラが早朝のトライアングルを歩いている姿が映し出される。彼女がテントに触れると[夢]のメンバーが次々に外へ出て来る。立ち尽くし同じ方向を見て、やがて彼らは洞窟へ向かう。服を脱ぎ捨てて次々と洞窟の中へ。全員が穴の中へ消えてしまうと、一度だけ閃光が走った。
■雑感・メモ等
*映画『トライアングル(2016)』
*レンタルにて鑑賞
*POV形式によるサスペンス映画
*ネット上に殆ど情報がなく、内容が分からぬままレンタル。POVだと言うのも見始めるまで知らなかった。まあ概要からして如何にもPOVだけど。映画製作者が記録を請われて乗り込んでるから、撮影する事への説得力はある。
*IMDbによれば、出演者は全員役名がHimselかHerselfと言う状態。詳細不明だけど、映画関係者が仲間内で作った感じなのかな?それにしても4人組の内3人がアダムとはどう言う事なの。
*もしかしてこんな風に共同生活を送っている団体も実際に居るのかもしれないけど、土地の所有者は誰なんだろ。公用地なのか私有地なのか…結構広いエリアを占有していて気になる。
*事の発端から本筋に入るまでが簡潔に描かれていて、そこは好感が持てた。巧くないPOVだと20~30分程導入的なものを見せられたりするよね。
*映画製作者が複数居る状態で、それぞれが撮影していたりする。画面を分割して、複数の撮影者の映像を同時に流す部分もあってこれはなかなか面白かった。同じ場面でも撮影者によって随分印象が違う。現地に行くまでの風景に映ってた犬型の建物(ホテル)が可愛い。
*内容自体は別に面白くはないんだけどさ。カルトかそれとも…みたいな雰囲気は感じられる。
*全裸だけどサンダルは履いてるシアラがちょっと面白いなと思った。サボテン危険だもんね。
*エンドロールの最後でウィンドチャイムと赤い布が映って、次第に画面全体が赤くなる。最終的に中央に朱色で[TOKYO.]と表示されるんだけど、これ何なんだろう。