パニック・トレイン | m-memo

m-memo

ネタバレだらけの映画メモ。

忘れ易いので自分用にメモしてます。
ネタバレ部分は詳細を記載することもあれば、
二言三言のこともあります。

 

■あらすじ

医師でありシングルファーザーのルイスは、息子のマックスとロンドンから深夜の列車で家路に向かっていた。停車中に誰かがブレーキを操作していることに不審を覚えるも、列車は走り出す。いつのまにか眠っていたルイスは列車が止まらないことに気付き、車内のインターフォンで運転室と連絡を取るが、乗客の人数を聞かれるだけだった。車内にはルイスと息子のマックス、ルイスが好意を寄せている美人女性サラ、反社会的で信用できない男カーマイケル、初老の銀行家、心臓に病を抱えた老女の6名。ブレーキの利かなくなった列車は正体不明の男に操られ、踏切りにいた車を跳ね飛ばし、ノンストップで暴走していく。果たして暴走を続ける列車を止めることが出来るのか…(メーカーサイトより)

 

■ネタバレ

*深夜のロンドンを走るタンブリッジ・ウェルズ行きの電車。医師のルイス・シェーラーは、7歳の息子マックスとミュージカルを観た帰り道。マックスは恐竜の人形ハリーと、自分が描いた沢山の絵を抱えている。2人が降りるトンブリッジ駅までは47分。

*勤務先の病院との電話中、マックスがいたずらして女性の白いコートを汚してしまう。彼女はサラ・バーウェル、イベントの管理・運営が仕事。「コートの事は気にしないで」と笑顔で言う。ルイスは妻を亡くしており、サラは彼氏と別れたばかりで自分を『励ます会』をドタキャンしたと言う。2人は互いに好感を持つ。

*マックスが振り返ると、青年が手品をして見せる。ヤン・クリモウスキィと言うその男は、車内は禁煙なのに煙草を吸い「バーを開けろ」と騒いで車掌を困らせている。しかも切符を買っていないらしい。

*ロンドン・ブリッジ駅では多くの人々が降車する。眠っていたのか、黒いヘルメットを持った男が乗り遅れたらしい様子が目に入る。サラもこの駅で降りたのか、いつの間にか居なくなっている。その頃、車掌が何者かに拘束されるが誰も気付いていない。

*降りたと思っていたサラが戻って来る。コートを洗っていたようだ。「染みが落ちなかったから、新しいコートを買ってもらおうかな?」とおどけて言う。ルイスは病院に着いたら交通事故に遭った患者を診察する事になっているが、疲れて欠伸が出てしまう。サラに「着いたら起こしてあげるわ」と言われ、少し眠る事にする。

*街を離れるに連れて乗客は次第に減っていき、もう殆ど居なくなっている。違和感を覚えてルイスが目を覚ますとサラも眠ってしまっていて、電車が停まっている。駅ではなくセブンオークスとトンブリッジの間らしい。電車の傍に立つ人影と誰かが倒れているのを見るルイス。暫くして電車は再び走り出す。

*今見た事を確認しようと車掌を探すが見当たらない。運転席にも近付こうとするが、居合わせた眼鏡の年配男性ピーター・カーマイケルに咎められる。彼は座席でパソコンを広げて仕事中らしい。事情を説明しても「運転士に人工呼吸でもさせるのか?運転の邪魔をしないで電話でもしろ」と言われてしまう。確かに逆戻りが出来る訳でもない。接触事故だろうと考えて救急車を依頼する。

*それにしても何故車掌が居ないのか。再度探すがやはり見付からない。やがて自分が降りるトンブリッジが近付くが、サラにキスされている間に駅を通過してしまう。これでは事故患者はどうなるのか。病院に代診等の指示を出し、また運転席に向かう事にする。サラとマックスは一等席に居る老婦人エレイン・ミドルトンに「ここに残ったらどうかしら」と声を掛けられる。サラが「一等席の切符は持ってないわ」と言うと「私も持ってないわ。でも車掌も居ないでしょ?」と笑う。彼女は孫へのお土産だと言うカワウソとペンギンのぬいぐるみを持っている。

*結局ルイスだけで先頭の運転席へ行き、マイクに呼び掛けてみる。雑音混じりで漸く聞き取れたのは「残りは何人だ?」との言葉だけ。「6人」と答えるとそれきり通話は途切れてしまう。近くの座席の窓が開いていて、車掌の発券機が転がっている事に気付くルイス。線路の脇に倒れていたのは車掌なのか?

*緊急用の非常ブレーキを試してみるが動作しない。ピーターは外部から対応するだろうと言うが、ディーゼル運転のため電気を止めても電車は止まらない。内部から何とかするしかないのだ。この電車は折り返し運転をするため、先頭の運転席と最後尾の車掌室は同じ構造の筈だ。車掌室でハンドブレーキらしきものを発見し、使ってみると狙い通り減速する。皆で喜ぶが、どうやら運転席側で抵抗しているようで、次第にスピードが上がってしまう。

*パトカーが並走を始めるが為す術がない。遮断機が下りない踏切を通過して、接触した車が大破する。継続的なストレスのせいか体調を崩すエレイン。「カワウソはジェイク、ペンギンはリアに」と言い残して心停止状態になる。彼女の鞄をひっくり返すが心臓の薬等はないようだ。ルイスが心肺蘇生法を試みるがAEDもなく、そのまま10分以上が経過。最後の駅までもう30分となり、電車を停める対処も必要で諦めるしかない。

*ヤンは運転席に乗り込もうと言う。閉ざされたドアのガラスを消火器で破って中に入ると、そこには車掌の死体がある。運転席に入るにはもう1枚扉があり、これは消火器を使っても鉄製のポールを使ってもどうにもならない。運転席の男の顔は分からないが、黒いヘルメットが見える。呼び掛けても警笛を鳴らしてくるだけで、話をする気はないようだ。

*警察と通話していたポールは、ルイスが通報した通りの場所で運転士の死体が発見されたと話す。ルイスはロンドン・ブリッジ駅で見掛けた男が犯人だろうと推測する。車掌を殺して、非常ブレーキの空気を抜いてから運転席に乗り込んだ。次に運転士を殺して投げ捨てたのだ。ピーターは「ムーアゲートを思い出す」と言う。約30年前、地下鉄ノーザン線で起きた衝突事故。駅に入ると電車が加速して、緩衝器に突っ込んだ。運転士と乗客40名が死亡。恐らく故意に引き起こされた事故で、運転士の自殺だと噂されている。最後の駅まで残り20分。

*マニュアルを見付けて読んでいると、ヤンが今度は「運転席を燃やして燻り出そう」と提案する。しかし、マニュアルによれば重油タンクがあり危険過ぎる。連結器についての説明もある。カプラーのナックルを外せば連結が解除出来る。振動が必要だが、この速度で走っていれば振動は充分だろう。ピーターは懐疑的だが、グダニクスの工業大学卒だと言うヤンが請け合う。

*車内からは外せそうもなく、ヤンは「外側から外す」と主張。危険過ぎるが「線路が老朽化しているからクローハーストを過ぎると速度を落とす筈だ」とピーターは言う。その時が連結を外すチャンスだと。運転席の男が律義に速度を落とすかどうかは分からないが、そうしなければ脱線してしまう。過去の事件のように派手な自殺が目的なら、駅には到達する必要がある。そして、この事件は国中で新聞のトップを飾るだろう。

*クローハーストまで約5分。短い時間だが、バーを開けて酒を飲む事にする。記者はこの事件をどんな風に書くだろう。「新聞に載った事は?」と聞かれ、ルイスは「地元紙なら」と答える。彼は大学生の頃は陸上選手だったが、膝を痛めて引退して今はもう走れない。ピーターは息子の愚痴を零す。ヤンは大学卒業後、故郷では手品師をしていた。両親は今も息子は手品師だと思っている。しかし実際には地下鉄の清掃員。両親が明日、ロンドンに来る予定だと言う。真実を知らせるのは辛いが、もう会えないよりは良いだろう。ヤンが手品を披露して、皆が笑顔になる。

*やがてスピードが落ちて、ヤンが連結器を外そうとするが失敗。トンネルの壁面との衝突寸前にどうにかルイスが車内に引き戻すが、腕を骨折している。作戦は失敗したが、電車はトンネル内で停車する。警察がトンネルの入口に設置していたらしいセメントが功を奏したのかもしれない。電車とトンネルの間は殆ど余裕がないが、僅かにドアが開けられる。大人は無理だがマックスなら通れそうだ。無理矢理降ろそうとしてルイスが暴走するが、マックスは1人になるのを嫌がり、泣いて言う事を聞かない。サラは懸命にルイスを宥める。やがて電車が動き出して、結局ルイスは断念する。

*セント・レオナルズを通過、残り時間は10分。最後の手段として、アルコールで燃やして消火器を爆発させてみる事にする。連結器を吹き飛ばすのだ。「成功すれば明日の一面はあんただ」と言うヤンに、ルイスは「生きてても死んでてもな」と答える。「絶対助かる」とヤンが請け負うが、消火器は破裂したものの連結を解除するには到らない。失望するルイス。しかし、良く見ればカプラーが剥き出しになっている。これで内部から連結が外せるだろう。

*炎に包まれる車両。ルイスとピーターでカプラーを外したが、バランスを崩してピーターが転落してしまう。ルイスは1人だけ運転席のある方の車両に残っている状態だ。離れつつあるサラとヤンに、ハンドブレーキを操作するように伝える。これで彼らの居る車両は無事に停止出来るだろう。重油が漏れている車両を炎が舐めるように走る。「位置に付いて…」と呟き、久々の全力疾走で車外へ飛び出すルイス。

*線路に転がるルイスの傍に、マックスとサラ、ヤンがやって来る。遠くで燃えているのは運転席の男だけだ。「切符を買ってたら払い戻しさせたのに」と軽口を叩くヤン。怪我をしているルイスを抱えて「これでやっと病院に行けるわね」とサラが言い、4人で笑い合う。

 

■雑感・メモ等

*映画『パニック・トレイン』

*動画配信サービスにて鑑賞

*イギリス製の大型密室系サスペンス

*メーカーサイトより:500ポンドという超低予算でトレーラーをつくり、インターネット上などにアップして投資を募るというアイデアで、最終的に約250万ドルの予算で製作された本作。爆破・スピード感など、映像クオリティは高く維持しつつ、撮影レンズ・撮影手法等(外観が広く使えないため、役者にギリギリまで近付いて撮影)で低予算であることをカバーし、海外の批評家からは「まるでヒッチコック映画のようだ」と賞賛され、2013年の英国インディペンデント映画賞でダグラスヒコックス賞(新人監督賞)にノミネートされた。

*2013年の作品である事に驚き。もう少し年代が古いと思ってた。何となくクラシックな雰囲気。タイトル通りにパニック・アクションかと思って見てみたけど、派手な場面は殆どなくて人物描写に時間が割かれたサスペンス。

*とは言っても乗客の誰かに裏があったりする訳でもなく、居合わせているのは一般人のみなのでお話は起伏に乏しい。(ヒロインが良いタイミングで姿を消すから、何かあるのかと思ってしまった。)犯人についても正体不明。主人公が犯人らしき男を目撃していて、別の人物が過去の事件から動機を推測するけど、実際のところどうなのかは分からない。駅で乗り過ごした様子の男が突然電車を乗っ取り、何の要求もせず自殺を目論む…と言うのは違和感があるけど。

*数少ない見せ場でのションボリな転落死には悪い意味で驚いてしまった。主人公も全力で飛び降りるより、もっと早い段階で安全な方の車両に移れなかったのかな?妻を亡くしているせいか、主人公は息子を助けようと躍起になり過ぎて何度か暴走。ヒロインはなかなか可愛いし、手品師のキャラクターは良かった。