毛先
たった一日おいただけで
こんなにもあなたを
意図惜しく思えるなんて
考えても見なかった
昨日のあなたは
驚くくらい哀らしかった
短くなった毛先がまるで
無垢な少年のようで
つい見とれて仕舞う
いつもなら疎ましそうに
何?って訊くあなたが
穏やかな眼をしていた
一緒に北海道に来て欲しい
そんなこと云ってくれるわけ無い
解ってる、
解ってる、
だけど
そう想ってくれてる気がして
あたしも一緒に行きたいって
零しちゃいそうになった
喜ばしい記念日が迫ってる
来月、
彼は一つ年を取って
其の次の日、
ふたりの契約日から
半年が経つ
今までふたりで
お祝いしたこと無かったね
口に出しちゃいけない気がしてたの
あなたはきっとあたしの事
必要としていないから
あなたはきっとあたしを
置いて行くつもりだから
でもね、
あなたの産まれた日は
あたしにとっても
至極喜ばしい事だから
盛大に祝わせてね
明日から少し忙しくなるから
今日は表参道に行こうかな