ーstoryー
半年間同棲していた耕介と別れても、雛子は冷静でいられるはずだった。
だが、高校生のトオルと付き合っていても、耕介への思いはじわじわと膨らんでいく。雛子は、大学4年の夏、かけがえのない恋を葬った。
/新聞の死亡欄を見て、見知らぬ人の葬式に参加する風変わりな夫婦を描く佳編など、全9編、オリジナル短編集。
ーimpressive dialogue (心に残った言葉)ー
・もしも仕事だけが人生だとしたら、私は人生なんて野良猫にくれてやるわ
・人生は愉しむためだけにあるのだし、相手が男であれ女であれ、会いたいと思ったときに会えばいいし、その時にしか行けない場所、見られないもの、飲めない酒、起こらないことがある。
・嫉妬というのは相手を縛るものだと思っていた。とんだ勘違いだ。嫉妬に縛られてがんじがらめになっているのは私だ。
ーimpressions (感想)ー ※感想ふわふわしてます。
全体的にかわいらしくて、女性ならではの文章。サクッと読める。短編集なだけあって一編一編ほんとうに短い。でも読み応えすごい。
お気に入りの編は1,4,7。
1編。旦那さんかわいい。最後の1ページで「そういうことだったのか‥」となる。旦那さんかわいい。
4編。主人公の足がノミに(99か所)喰われている描写、本当にリアルで、まんま想像してしまった。ノミに喰われただけで最終的にはこんなに未来が変わってしまうとは‥バタフライエフェクトのような。不思議なおはなし。
7編。清水夫妻とにかく不思議。でもちゃんと品があって、そこがまた不思議。お葬式について熟知してるの笑いました。私もまったく知らない誰かの葬式に参列してみたくなるお話です。(笑)
ーnew wordsー
・静謐(せいひつ) 静かで穏やか
・任侠(にんきょう) 弱気を助け強きをくじ、義のために命を惜しまぬ気風
・暗澹(あんたん) 薄暗く凄みを感じる
・闊歩(かっぽ) 大股でゆっくり歩く
・喧騒(けんそう) 騒がしい。その音や声
・遊離(ゆうり) ほかのものと離れて存在する。
・焚き付け 巻きなどを燃やすとき、はじめに燃やすもの
・丁稚奉公(でっちぼうこう) 方向物として上のものに奉公すること。その様。
・蓮っ葉(はすは) 派手で浮ついている。下品な女。
・浮薄(ふはく) 人に信念がなく、ほかに動かされやすいこと。
・とっぽい キザで不良じみている
・敬虔(けいけん) 神仏を深く敬い慎むさま。
・訝る(いぶかる) 変、不審に思う。
・恰幅(かっぷく) 人から見た体のかっこう。
ぬるい眠り(新潮文庫)/江國香織 ¥605
こんなひとにおすすめ
・小説読む時間があまりないから、短編集で少しずつ読みたい
・読みやすい文章で、女性らしい文章が好み。
・恋愛小説が好きで、恋愛小説ならあらかた読んだ。