月日が経つのも夢のうち。。。
アップしなければと思いつつ1ヶ月が経過してしまいました。


まあ、過敏になるのも良くはないと思いますが、「CTで子どものがん危険増」という記事があるので意識してみてみましょう。最近、外来に来られた患者さんがこの記事を気にされていました。読んだ方も多いかと。


CTで子どものがん危険増 国際チームが疫学調査

2012年6月8日 共同通信社 カテゴリ: 一般内科疾患・小児科疾患・検査に関わる問題

【ワシントン共同】子どものころにコンピューター断層撮影(CT)検査を2~3回受けると、脳腫瘍になるリスクが3倍になるとの疫学調査結果を英ニューカッスル大などの国際チームがまとめ、7日付の英医学誌ランセットに発表した。5~10回のCTで白血病になるリスクも3倍になるという。

チームは「CTは迅速で正確な診断に優れ、短期的な利益が長期的な危険性を上回る場合が多い。しかし、1回の被ばく線量はできるだけ低くし、別の診断法がある場合はそちらを選ぶべきだ」と訴えている。

チームは、1985~2002年の間に英国でCT検査を受けた22歳未満の約18万人を調査。85~08年にかけて、135人が脳腫瘍と、74人が白血病と診断されたことが判明した。

CTによって受けた被ばく線量を推定して、がんになるリスクを検討した結果、頭部への照射2~3回で脳腫瘍になるリスクが3倍になり、5~10回で白血病のリスクが3倍になることが分かった。いずれのがんも、もともとの発症率が低いため、過剰な心配はいらないとしている。

CT検査は通常のエックス線検査に比べて浴びる放射線の量が多いが、診断機器としての価値は高く、使用回数は世界各国で増えているという。




5年ほど前にも「癌の原因の2%はCT」という新聞記事はありましたが、被曝検査ですから、可能性は? と言えば、そりゃあ あります。通常の頭部CTを1回行うと50mSv前後と思っていいです。

新聞記事の被曝量の参考値にはCTスキャン:6.9mSvとありますが胸部CTスキャンの事であり、肺のCTでは臓器中の空気の割合が多いので被曝する線量は少ないです。しかも、最新鋭の機械で最低限の線量であると思われます。日常の診療では肺のCTでも20-30mSvは出ます。これは施設の放射線技師によって決定され、千差万別です。頭部は骨で囲まれているので線量を増やさないとX線が透過しないので高めになります。だいたい、頭部CT=全身CTという感じです。放射線技師に直接伺いましたのでそうなのだと思っています。高線量で得られる画像を良しとする技師の場合は被曝線量も増えるということです。

敢えて被曝する検査を受けるのであれば、意味のある検査にすべきです。心配だからCTスキャンの検査を受けるという安易な気持ちはよろしくありません。本当に必要な検査のみ実施して下さい。

逆に、被曝したから白血病や癌になる という短絡的思考も良くありません。単なる比較論です。喫煙したから癌になる 訳では 無い。まあ、危険因子は少ないに越した事は無いという発想でいいでしょう。

あと、検査被曝は多めに見えますが、その時1回のみです。例え被害を被ったとしても、被曝後はひたすら修理修復に専念する時間があります。低線量内部被曝の場合はダラダラと被曝し続け、線量によっては修理し続ける事態に陥る点が検査被曝との違いと認識しています。新陳代謝が激しくて重要な臓器と言えば骨髄の造血機能です。小児体重1キロあたり、20Bqの内部被曝を越えると免疫力が低下しはじめることがベラルーシの調査では分かっています。


検査で被曝して癌になる事を恐れるよりも、免疫力、新陳代謝力などを発揮していれば癌にはならない と考えた方がいいです。