牛乳には賛否両論がある不思議な食材です。

問題視されている点を上げてみますと、
・カゼイン(異種蛋白、アレルゲン)
・カルシウム源としては不向き
・乳糖が豊富
・雌牛のホルモン入り
・元は牛の血




牛乳に酢を入れると下に脂肪分の塊が、上澄みの液体が蛋白に分離され、この上澄みが通称で「ホエイ」と呼ばれているようだが、牛乳に含まれるタンパク質はホエイとカゼインがあり、2:8の割合でカゼインが多いようだ。

人にとってカゼインはカルシウムを抱えているタンパク質で、消化吸収をするにはかなりの時間がかかってしまう代物のようである。故に、その中に含まれているカルシウムを吸収する前に大便となって出て行ってしまうという構図があるようだ。カルシウムを摂取することを主目的とするのであれば、適当ではないと言える。タンパク源としても消化に時間がかかるので好ましいとは言えない気がする。スポーツ選手やボディービルダーがマッチョになる為セッセと摂取している「プロテイン」は消化しやすいホエイタンパクを主な原料にしてようです。

しかし蛋白源としては、アミノ酸スコアが100点満点の食材である。必須アミノ酸が必要十分な量を備えているということで、卵白と並んで蛋白源としては優れているのですが、消化することが困難な食材となると、カルシウム源としても、タンパク源としても、ちょっと残念な感じです。



異種タンパクでアレルギーの原因となるというお話しも聞きますが、我々は異種タンパクを食べて生きている生き物です。同種である人の肉を食べてはいません。アレルゲンとなるのは、一つは鮮度、一つは免疫反応の絡みだと思います。鮮度の落ちた物や質の悪いタンパク質が、免疫機能のトラブルを起こしている弱った身体に入った時にアレルギー反応を起こしやすいと考えるのが自然です。

そう思う理由は、私の大学の同級生に獲れたてのタコ、イカ、エビは食べられるが、鮮度が落ちると喉が腫れて窒息する者が居るからです。ここでの違いは「鮮度」のみとなります。鮮度が落ちてタンパク質が変性たんぱく質となる為だろうと言えます。変性したタンパク質はキレイにアミノ酸に分解しきれず、ちょっと形の変わったアミノ酸として吸収されアレルゲンとなると考えるとしっくりいきます。もう1つの人の免疫機能のトラブルは食生活の問題かと。悪い食材を摂り続ければ悪い身体になるのは当然だからです。鮮度の落ちた食材を食べても何ともない人が多いと言うことは、身体の劣化(免疫能の機能異常)が大きなアレルギーの原因なのだろうと思います。



乳糖不耐症で牛乳を飲むと下痢をする。確かにその様な方はおられます。下痢をする人は乳糖不耐症なので飲んでも出て行ってしまうので、無理に飲む必要はないでしょう。

が、 人の母乳も乳糖が豊富なのですよね。

人の赤ちゃんは乳糖を摂取して分解しているのですが、乳糖分解酵素を持っているからです。なぜ乳糖不耐症になるのかを考えてみますと、離乳が原因だと思われます。離乳食の中に乳糖がなければ赤ちゃんの身体は「乳糖分解酵素は不要」ということで退化するのでしょう。母乳を飲んでいる時だけ分解できれば良いのだから、その退化システムを備えていても不思議ではありません。逆に、乳糖分解酵素を持ち続けるには、離乳食に入っても乳糖を入れ続ければ身体は「乳糖分解酵素は必要」と判断し、退化しないのでしょう。要するに、離乳食後も牛乳を飲んでいたという状況があればそうなる可能性はあるだろうと。



雌牛のホルモンを飲んだらいけないというお話しも聞きますが、ホルモンはアミノ酸が繋がったタンパク質です。かなり大きいタンパク質で、こんな大きなもの、そのままの形で消化管を通過することはありません。ちゃんとアミノ酸に分解されて吸収されることでしょう。従いまして、雌牛のホルモンの影響は人体に及ぶ事は無いでしょう。
*訂正:ちゃんと調べず、思い込みによる記載をしたことをお詫び申し上げます。経口避妊薬は女性ホルモンであり、経口で吸収される事実をちゃんと認識していませんでした。アミノ酸が連なったホルモンでは無く、脂質系(コレステロール系)のホルモンでありました。ただ、授乳中には女性ホルモンは少ないため、牛乳中のホルモンも少ないと考えられます。人間と牛の女性ホルモンが同一とは言えませんが、同じ働きをするという一説はあります。が、、、

*補足:天然のホルモンが経口摂取で吸収されたとしても、肝臓で速やかに代謝されるので、牛乳中のホルモンは代謝されて無害化されると考えて良いでしょう。ヒトに使う経口避妊薬は分解されにくい合成ホルモンが使用されています。特に、ニューハーフさんらがお使いになる女性ホルモンの注射剤は長期安定化するよう工夫されているので、効率の悪い内服ホルモン剤では量と回数を要するため副作用問題が出やすい問題があるとのこと。ニューハーフさんらの場合は、注射を使いつつ内服で補助する使い方が一般的のようです。<薬剤師情報>

牛乳は牛の血液から作られます。牛の血を飲むのか? 信じられない あり得ない と言う方がおられますが、人間の赤ちゃんも母親の血液を飲んでいます。まあ、人体の「体液」も血液から作られています。涙も、鼻水も、よだれも、汗も、オシッコも、母乳も ですね。母子では母が噛み砕いて子に食事を与えたりもしますし、好き合う男女がキスをすれば、お互いの血液の濾過液(唾液)が口の中で混ざります。 あり得ませんかね。 人と人ならいいですかね。 犬のお母さんが子猫にお乳をあげることもありますし、種を越えて母乳を与える事は珍しくはありません。まあ、改めて「牛の血液の濾過液を飲む」と言われると気持ち悪い感じはします。豚の血のソーセージもありますが、確かに積極的に食べたいとは思えない・・・イメージ先行ですね。

医療系では得に血液は汚れ物という扱いをします。それは、病原体に汚染されているかも知れないという事で、綺麗な血液も、汚染された血液も、全て汚染されているという前提で処理されます。牛に病原体がいるかどうか? 分かりません。日本に牛乳文化が入ってきて、特別の感染症が増えたという話しは聞きませんので大丈夫なのだろうとは思います。ただ、BSE問題のような未知の病原体もありましたし、未知なことは分かりません。


あとは少ない量で子牛を早く大きく育てるために高カロリーです。動物性脂肪は飽和脂肪酸が多いです。個人的見解では「カロリー」を気にすれば良いと思います。飽和脂肪酸が動脈硬化を進めるという話しもありますが、いろいろ調べて見ましても賛否両論です。特別に悪いという感じでは有りません。



喫煙は健康を害すという報告は世界的に共通しており、「否」しか無いと言っても過言ではありません。牛乳に於いては賛否両論がある訳ですが、 賛 と 否 が入り交じると言う事は、どちらでもあると言う事であり、どちらでも無いと言う事です。あちら立てればこちら立たずだから賛否両論になるのです。個人の趣味で摂取する、しないを決めれば良いのでは無いかなと思います。

個人的見解からすれば、積極的に摂取する食品ではありません。カフェラテで少し使用する嗜好品程度ならば良しとする。そんな感じです。