結婚も出産もしなかった大叔母は今日、骨になりました。

見送ったのは、姪っ子である母と、私と、私の父だけ。

焼香に来たのは大叔母を預けていた老人施設の人だけで、

お経も上げない納棺でした。

来月には大叔母の実家、大叔母の妹に当たる人が住んでいる

寒い寒い北陸の海辺の町へ骨を持って行くことになってます。

もちろん車の運転手として私もその旅路は同行する予定ですが、

何故大叔母は体が動くうちに田舎に帰らなかったのだろう、と不思議に思います。

何故不思議に思うのかって、

亡くなったのは3日前、喪服で火葬場が空くのを待った昨日、

そして火葬場へ持って行くまでの間の今日、

大叔母のために焼香を上げに来てくれた他人は居ませんでしたから。

（いえ、終の住まいであった老人施設の方は来てくれましたが、

明らかに大叔母に不満感を抱えた言葉を耳にしましたから、

あれはいわゆる義理と営業だったんだろうなと思います。）

友人などの親しい人の居ない町で、

生まれ故郷も別にあの人を拒んでいなかったのに、

どうして私の母と叔父の関係を悪化させてまで

亡くなった私の祖母の家に住み着いていたのか。

ガンだとわかり、緩和ケア病棟に入ってもなおずっと

「帰りたい」と言い募っていた大叔母。

帰りたい先は3年暮らした最期の老人施設ではなく、

丸一日動かない体でも玄関から泣いて喚いて絶対に離れようとしなかった

祖母の家なんではないかと私たち家族は思ってます。

誰もいないあの家に、いったいなぜあれほど執着していたのでしょうか。

母が手配した老人施設はきれいだし、いつも人が居るし、

母自身も3日と空けず会いに来てくれていたのに、

いつもいつも不満ばかり、悪口ばかり。

誰一人として友人になろうともしてなかった大叔母の姿を思い出します。

去年の3月、私は私の祖母を見送りました。

あの時私はあんなに寂しくて寂しくて悲しかったのに、

今日見送った大叔母に関して言えば、

会いに行った回数だけで言えば祖母と同じぐらい会いに行った人なのに、

なんだかちっとも寂しいと思わない自分が薄情すぎてびっくりしてます。

火葬場に行くと、我が家以外にあと2組の団体をみました。

片方は焼き上がりを真っ赤な目で待つ核家族、

片方は両手より多い人数がマイクロバスから降りていく姿だけ。

ただ、そこにいる人々はとても亡くなった人の死を嘆いているように見えました。

去年の3月、祖母をなくした私たち家族と同じ姿がありました。

だけど今日、骨を抱えて家路を進む私たちとまるで違う姿にも思えました。

面倒を見ていた母さえも、大叔母の死に涙ぐむ姿が無かったです。

愛されてない、の結果は凄く如実に出るのだと感じました。

別に大叔母は悪人ではなかったはずですが、

私にとって別れを悲しめるほど近しい人と言う感覚が全く育たない相手でした。

不味いなあ、と思ってます。

私も結婚も出産もしていない独り身。

今日の大叔母の姿は、〇十年後の自分の姿かもしれない。

骨になったら別に自分の葬儀云々どうでもいいと言えばどうでもいいけれど、

晩年あんな風に、誰にも愛されない終わりは、とてもつらい。

大叔母には大変面倒見のいい姪という私の母が居たけれど、

私には姪も甥もいないわけで、

せめて感謝をちゃんと口にできる老人にならなくては、と痛切に感じました。

耄碌してても習慣の言葉はきっと出てくる。

大叔母みたいに悪口が口癖だったら絶対に孤独に陥ってしまう。

ありがとうとまっすぐ伝えられる老人にならなくちゃ、と今日は口の中でありがとうを転がしてます。

今日はとっても疲れたので

ガラスアートやってる本館の更新は諦めました。

気の暗い話にお付き合いいただきありがとうございます。

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それでは、また。ありがとうございました！