鬼束ちひろを聴いていたら、
なぜか彼を思い出すのに、
なぜかすこし寂しくなって、
そしてなぜか恋しくなる。
そんなことに彼はまったく興味がないから、
きっと「そうですか」と一言だけ言って、
話はそこで終わり、話題は変わるだろう。
彼のすばらしいところは、この類稀なドライさではなく、
こんな返事をしておきながらわたしの気持ちを覚えていて、
いつかわたしすら忘れてしまった頃に淡々と温かく、
「はいはい、そんなに会いたかったなんて、
また鬼束ちひろでも聴いてたの?」と笑うことだ。
彼の温かなドライさは、わたしの幸せの条件。
“乾いていて温かい”が欠けると人生は惨めだ。
