貝 貝。 貝殻。 拾っては、 耳をあてた。 小さな渦から、 反響した波の音。 大きな海から、 運ばれた潮の風。 それはまるで 故郷を想いては 頁をめくるような 懐かしい囁き。 それはきっと 笛吹き歩いた道に 戻りたくなるような 儚く響く演奏。 そっと、 耳へ。 そっと、 胸へ。 そっと、 此処へ。 あの頃、 手にあまる貝で 出逢った波たち。 目を閉じれば 甦る渦の運び。 大海原と、 そこに在る 優しい物語。 波打ち際で 拾われる語べ。 貝殻。