はじめましての方へ!
このシリーズは、「オカピの♪嵐の歌割り研究ブログ」のオカピと、私・Eminaが嵐の曲をアカペラでカバーしてマニアックに研究しちゃおうという、マニア同士のハイカロリーなコーナーです!笑
こんばんはー!!GWいかがお過ごしですかー!!
昨年(2020年)12月に「Whenever You Call」をカバーして以来の更新!
【Emina×オカピの自由研究】
大変おまたせしておりました。
今回は…
「夜の影」
です!!!
言っていいですか。あのね。
超楽しかったの…!!
今回、コーラスの4th(一番低い音)をオカピがやっているんだけど、声楽やってたオカピだからさすがよね…
高音もあれだけ出て、低音もちゃんと出るなんてうらやましーーー!!!うれしーーー!!
(日本の女性ボーカルは低音域が出せない方が多いのです…もっと増えて売れてほしい)
さて、歌って満足ではないこの企画。
私の今回の勝手な研究テーマは、
「引き算の美学」をマナブ
この曲が人を惹きつける凄いところは、音やリズムを担う部分を極限まで削ぎ落としているところだと私は思うんです。
例えて言うなら、クリスマスツリーは色々と装飾したほうがきらびやかで雰囲気もでるけど、
元々の「もみの木」って、深緑でシュッとしてるじゃないですか。なんなら線対称だし。
あれって、出荷までの過程である程度剪定をしているわけで整えることはするんだけど、それ以上のことはしない。でも形として乱れや偏り、無駄がなく、洗練されている。
そういうのをこの曲に感じる!っていうお話です。
1.リズムを誤魔化せない
いやそんなん、普段からそうあるべきって言われたらそれまでなんだけど…笑
この曲、ちょっとしたズレで、一気に大人の余裕がなくなるんです
0.05秒早いだけで、相手が見えずに自分の欲望だけに走ってるように聴こえたり。
0.05秒遅いだけで、だらしなさというか、相手への誠意がなく聴こえたり。
(えらい世界に足を突っ込んでしまった…)
なのでいきなり白状しますが、普段は多少のズレも逆に「アカペラらしさ」としてあえて残してきた部分だったのですが、今回はかなりの部分を0.01秒単位()の世界で微妙な修正をしたりしました。
縦のリズムが「ある程度」じゃなく「きっちり」揃わないと、他の音にも影響するんです。
詳しくは次のセクションで。
2.音のトス&アタックを繰り返してリズムを構築する
縦のリズムが「ある程度」じゃなく「きっちり」揃わないと、他の音にも影響するのはなぜか。
この曲は「音のトス&アタック」がいたるところで行われています。
例えば歌い始め。
「グライーンドゥ(パン!)揺らぐ(ダーン…)ィィよかんーみちーびく…」
ボーカルの間にスネアドラムが入ってきたり、ベースが入ってくることで、リズムの役割をパスしあってつないでいるのわかるかなー。
重要な時はバシッと良いタイミングでスパイク決めてきたりね。
にのみの歌い出しの「ィィよかんー」の「ィィ」でさえもリズムに入ってる。(ないと淡白)
もしドラムがずっとドンツクタンとリズムを刻んでいたら、愛のない淡々とした夜の行為になってしま……(言い方!)
なので、Aメロは特に、リズムを極限まで削ぎ落として、一筋縄ではいかない構成にしているのが、あの雰囲気を作っている。だから、いろんなものを掻き立てるんだなと。
普段だったら、ベースやドラムスのリズム隊にまかせているものが、この曲ではどのパートもいつもとは比べ物にならないくらい重要なリズムのパートを担っているっていうのが、この曲の作りの最も特徴的だと思う部分でした。
そしてオカピのリズム感はさすがすごいぜ…!!
3.アレンジは逆に難しい
もうひとつ白状すると、
「こーんだけ隙間だらけの曲なんだから、アレンジの入れ様いくらでもあるだろう!!」
と思ってました。
アカペラ人、こういうこと思いがちです。
ええ、思ってました。
・・・いくらもなかったです(断言)
ヒェェーアレンジャー泣かせ!!
最低限の音数でがっちり肩組まれてるので、安易になにか足すとリズムのトスが簡単にぶっ壊れるし、曲と歌詞の織りなす雰囲気が変わる。アレンジ加えるなら、かなり合わせていかないと、すぐ違和感が目立つ。
絵画で言うところの、空間を描く日本画と、空間を埋める西洋画、みたいな。
この曲は空間を描いてる感じ。
なので、そのパートの軸になっているリズムや歌詞、音の意味を感じ取りながら、
こういう表現をしたい、というのを明確にした上で乗せないと、ほんと厳しかったです。
ボツになったもの多数…
(いいアレンジャーってこういう繊細なところをぱぱぱっと感じ取れちゃうんだろうなぁ…)
4.その中でも肝入り(?)のアレンジ
2番初めの「あさきゆめみし」は、あの「いろはうた」のオマージュも多少。
最初は夢うつつなはかない感じを出したくて、ぱっと浮かんだのが正直なところなんだけど、
「あさきゆめみし」が出てくる「いろはうた」を調べてみたら(といってもWikipedia)
色は匂えど 散りぬるを
我が世誰ぞ 常ならむ
有為の奥山 今日越えて
浅き夢見じ 酔いもせず
これが、仏教で言うところの「諸行無常」を歌ったものだと。
欲や煩悩を削ぎ落とし、常に変わりゆく現世を越えて、初めて真の安楽を得ると。
おいおい。
この曲の作りも極限まで削ぎ落として新境地開いてる側面ないか…?
っていうことで、この曲に対する私の衝撃もこっそり込められています!(無理やり笑)
(…いや、中身は欲望ど真ん中か?w)
2番のBメロ前のコーラスは「awake」という言葉を入れました。オカピとここにドンと締める何かが欲しいっていう感じの話になって。
「Sleep」と歌いはじめるのだから、対比として「Awake」と入れれば、ビシッとも決まるし、夢じゃなくてこれは現実なんだという、起きている状態をより濃く出せるかなと。
なーんていう相談をしながら作ってるんですよ我々…
この議論がめっちゃマニアックで楽しくて仕方ない…!!!笑
5.歌うときはこうしたらいいかも!
わたしも正直決して上手いとは思わないんだけど、この曲を納得の行く形で歌おうと思ったら、
ボーカルのメロディーだけを覚えるのではなくて、他で鳴ってる音と自分のメロディがどう重なってるか、絡み合ってるかを意識する
のが良いと思う。それだけでもグルーヴに声が乗るし、雰囲気は出る!
6.人間の聴覚の特徴をうまく利用している
ここまで意識しているかどうかはわからないけど、人間の耳ってよくできていて、無音の場所に行っても音を拾おうとするみたいです。自分が本当に危険に晒されてないか確認するためなのかなあ。
これだけ音の数を絞っていくと、耳は鳴っている音により集中し、頼りにする。
こういう無意識の感覚の部分に表現豊かな声が入って際立つので、聴く人は惹きつけられるんじゃないかと思いました。
っていうことで、研究結果です!
Q.この曲はなぜ人を惹きつけるのか?
・音やリズムを担う部分を極限まで削ぎ落としている
・緻密な「音のトス&アタック」がいたるところで行われている
どのパートもいつもとは比べ物にならないくらい重要なリズムパートを担っている
・ゆえに、音のない空間までも描いている
・聴覚の特徴をうまく利用しているところに表現豊かな声が入っていく
ということで、アレンジ担当目線の解説でした
ライブ映像、結局期間限定じゃなくなったからありがたいね!
パフォーマンスは30分過ぎから。
(そういえば、大野さんの振り付けも空間を描くみたいなところありますな)
ちょっとウラバナシ
実はこの曲…去年の1月くらいにもう話は出てて、2020年の2月に私が大阪に遊びに行った時に実は直接会って楽譜の打ち合わせもして。
で、なんやかんやでその年の9月くらいに形ができてきたと思ったら、
急に「Whenever You Call」がドッカーン投下されて!!!
E m i n a@em1nalize
楽譜作るね>私信
2020年9月18日 00:49
衝動でこんなこと言ったもんで、ここから「夜の影」いったん保留して勢いでWhenever You Callを。笑
ほんでー、「Whenever You Call」やったら、英語詞のリズムのとり方とかがすんごく勉強になって。
「 #WheneverYouCall 」をふたりでハモってみた♪【Emina×オカピの自由研究】
「さあ夜の影の詰めの作業やろうかー」、と思って久々聴いたら
「リ…リズムの詰めが甘すぎる!!」
となり、あれよあれよと怒涛の2020年末を迎えwww
1年4ヶ月ほどかかってようやく公開でした
公開できてよかったー!!