今、時が過ぎるのをとても速く感じている。


 20歳の時は30歳までの10年間を長く感じていたけれど、時間は駿足で私を20年後へ連れていってしまうんだろう。

 

 脳は変化を嫌うらしいの。

 自分の心地よい環境から中々抜け出せないのは、そのせい。

 緊急性が高くない事、自分の枠を超えようとする事には、脳には大きな負荷がかかる。

それは、人の本能。

 心理学に於ける恒常性は【快適な領域】を維持しようとする。だから、中々新しい世界へ飛び込む初めの一歩を踏み出す事が出来ない。



 葛藤が生まれたのは、未知なる自分が、未来の私自身を救う為に「進化の時だよ」と、きっと教えてくれているんだ。

 その為には、勇気を出さないといけない。

 弱いのは変えられなくても、強くは在ろうとしなくちゃいけない。

 それは自分の性格の問題ではなくて、それが人間の性質なんだって思って、立ち上がれたらいいな。

 将来の自分を守る為に、今の自分を克服しないといけない。

 口で言うほど簡単ではないけれど、自分の怖い事に挑戦していかないといけない。

 人間は頭が良いから色々な事を難しく考えてしまうけれど、失敗してもいいから、行動しなくちゃいけない。自信は備わっているものだけじゃない。自信を付ける為の行動も、自分を信じる事から始まる。

 だから、失敗しても挑戦出来た事で、(でもあの時勇気を出して飛び込めたじゃないか)って、反対に自分が生きやすくなるようにきっとなる。

 退歩していた自分に、さよならを言える。


 正式な学術用語ではないけれど、その対極に『トランジスタシス』という言葉がある。

 〈新世紀エヴァンゲリオン〉内で生まれた造語で、作品内で登場人物・赤城リツコは「今を維持しようとする力と変えようとする力、その矛盾するふたつの性質を一緒に共有しているのが生き物なのよ」と説いている。

 現状を打破して新たな展開を生もうとする行動の事だ。



 悩んでいるふりをしているだけではないのか?と、気付いたの。

 本当にしなければいけない事は何なのかを本当はちゃんと分かっていて、それはみんな、自分が「したくない事」の方のはずなんだ。

 出来ないんじゃない。本当はしたくなくて逃げているだけなんだ。

 でも、逃げ続ける事が実は自分を追い詰めている。

 だって、逃げているのは現実からじゃない。正面から向き合わなくちゃいけない自分自身なんだもの。

 自分が今いる安全な場所も、100%の安心じゃない。

 まだ迷いが在るのは、自分が取るべき正しい答えじゃないからなんだ。

 今頑張れなくても必要に迫られた時頑張るのも良いかもしれない、どんな決断を下しても私達の貴重な人生である事には何も変わらないから。

 何もしなくてもどう転がっていくのかは分からない。

 だけど、迷いが無くならないのは・・・それが、答えなんだ。

 ある人が、「人生は美しくは仕上がらない」と言っていた。

 未来は出生前から用意されている運命でもゆくりなく作られたものでもない。

 人生で起こる物事は全て点と点で繋がっているはず。

 どんな決断にも意味があるはず。

 でも、自分を乗り越えられるまで、人生は何回でも同じ試練を課してくる。


 今、目の前にある現実は、今まで私が何を考え、どう生きてきたかの結果だ。

 未来は、過去自分が下してきた選択によってきっと左右される。

 人と比べてしまって、どれだけ自分が未熟な人間かと自分が嫌になる事もたくさんあるけれど、それはもうどうしようもない事。

 でも、今からでも追いつけるように、時間を巻き戻す事は出来なくても、また一からやり直す事は出来るんだ。

 自分がそうなりたいと望むなら。


 私も、大人だ。

 仕事はボランティアじゃない。対価として、お金を頂いている。

 だから、頑張るのは当たり前なんだ。

 無理をして頑張らないといけない時も、無理をしないと頑張れない事も、社会ではたくさんある。

 みんな、そうやって頑張ってる。

 だから、私も歯を食い縛ってギリギリの所を頑張らないといけない。


 コロナ禍で、大切なものを失った方がたくさんいる。

 自ら、命を絶った方もいる。

 だけど、みんな、本当は生きたいはず。

 どんな過程でも、最後は辛い事もたくさんあったけど今は幸せだよって言える未来にしないといけない。

 こんな自分でも、この私自身として生きられるこの人生も、いつかお別れをする日が必ず来る、最初で最後の大切な命の時間。

 星になる前に、自分の人生を銀幕で観賞出来るなら、弱くても精一杯生きた自分を最期は(よく頑張ったね)と胸をいっぱいにしながら観たいと思う。