飼い主の大好きなミュージシャンの中に、amazarashiと言うバンドがあります。


あまざらしとは、


あまざらし【雨曝】

おおうものもなく、雨などに濡れるのにまかせておくこと。


amazarashiの紡(つむ)ぐ歌詞は、

この世の無情や悲しみ、それら闇の中でこそ見える一筋の光へと目を向けたもの、そんな風に私は感じます。


世の中に止まない無慈悲、不幸、混沌、やるせない様々な出来事を雨とたとえて、それらの雨(出来事)を浴び続ける人達の心にこそ響く歌。



ニーチェは言った、"今まで最高の価値と人々がみなし、目的としていたものが無価値となる事態のことをニヒリズムと呼ぶ"と。(受動的ニヒリズム)


amazarashiは、絶望の中から希望を見出す辛辣な詩世界を用いて「アンチニヒリズム」をその歌の中に込める、そんなバンドです。


先日、amazarashiの新曲「アンチノミー」のミュージックビデオの配信が始まりました。



大人気アクションRPG (ロールプレイングゲーム)"ニーアオートマタ"がアニメ化され、そのエンディング曲として「アンチノミー」が歌われています。


 

 


amazarashiのミュージックビデオは、豪華な短編映画の様な映像美で心に刺さります。この「アンチノミー」の人形劇ミュージックビデオもまた心打つ名作です。


amazarashiの歌う歌詞は、何も知らずにその歌詞だけ見ると、「何でそんな辛い事を言うの?」みたいな言葉で始まる事が多いのですが、その言葉の奥にはそうでは無い光の様な物があります。


冷たさの中にいるからこそ感じれる温かさの大切さ、また、その温かさの横にある冷たさや残酷性。


この「アンチノミー」は、ニーアオートマタと言うゲームの世界を歌った曲です。




マタ

(『ニーア オートマタ』(NieR:Automata)敵キャラ設定資料より)


仮説人形劇 アンチノミー


 僕たちは機械。

僕たちは敵をころす為の機械の兵隊。


僕たちを作ったのはお父さんとお母さん。


お父さんは言います。ああ可愛い子供たち、君たちは今から戦争に行くんだ。


お母さんはいいます。ああ可愛い子供たち、この戦争は崇高な戦いなの。あなた達は光栄に思っていいわ。


お父さんとお母さんが何を言っているのかよく分からなかったけれども、それでも僕たちは嬉しい気持ちで一杯になりました。


だから僕たちはころします。だってお父さんとお母さんの喜ぶ顔がみたいから。

たってお父さんとお母さんが大好きだから。


 ある戦場で僕たちは敵に囲まれました。

敵は僕たちの何倍も強く、仲間達はどんどんころされていきます。

その景色はとても酷い景色でした。

僕たちは怖くなり敵の前から逃げて帰ろうとしました。


お母さんが僕たちに優しく教えてくれます。良い事を教えましょう、あなた達は目が見えるから怖いのよ。怖い世界なんて見なくてもいいのよ。


僕たちは怖い世界を見なくても済む様に目を塞ぎました。

これで大丈夫。もう怖くありません。



 ある日、敵の新型爆弾が落ちてきました。爆弾は僕たちの基地や仲間を炎で焼きました。仲間は何日も何日も悲鳴をあげつづけ、その叫びは僕たちの戦う意志を奪います。


だからお父さんは力強く言います、みんなが悲しいのは悲鳴が聞こえるからじゃないかな?


だから僕たちは仲間の悲鳴を聞かなくてもいい様に耳を塞ぎました。

これで大丈夫、もう悲しくありません。


 僕たちの戦争は続きます。何度倒しても敵は生き返ります。僕たちは何度もころされ、そして戦争は続きます。


この戦争にどんな意味があるんだろう。僕たちは何のために生まれたんだろ。悲鳴を上げたりころされたりする為に生まれたんだろか。不思議に思ったぼくはお父さんとお母さんに質問してみました。


すると、お父さんは力強くこう言いました。ああ可愛いそうに、死を感じてしまったんだね。命が大事になったんだね。


お母さんは優しくこう言いました。不満を言う口さえ無ければそんな事考えなくていいんじゃないかしら。


本当にそうなのかな?

僕たちに口が無ければ不満は消えるのかな?


その質問をする前にお父さんとお母さんは僕たちが文句を言えない様に口を塞ぎました。


これで本当に不満が消えるのかな。



お父さんは優しくありませんでした。

お母さんは守ってくれませんでした。


この世界は僕たちの事が嫌いなんだと思います。


僕たちは弱くて頭が悪くて、何もできない存在なんです。

僕たちは心も体も壊れてしまいました。


その時、声がきこえました。

僕たちは耳が壊れていましたが、それでも声が聴こえました。


その声はこう言っていました。


生きろ


その言葉を聴くと強い気持ちになれました。

その言葉を聴くと足で立ち上がる事ができました。

その言葉を聴くと声をあげる事ができました。


空から降りてくる言葉が僕たちを自由にしました。



僕たちはお父さんとお母さんを追い詰めました。

僕たちはお父さんとお母さんを許しませんでした。

僕たちはお父さんとお母さんを絶滅させました。


ありがとう、みんな。これで幸せになれます。


ばんざい ばんざい ばんざい ばんざい


ヨコオタロウ企画制作「仮説人形劇 アンチノミー」より




心を持つとはどう言う事だろうか。

機械生命体に心は持ち得るのだろうか。


心とは何なのか。


心あるがゆえ、苦しくも、嬉しくも、悲しくも、楽しくもある。


心を持たなければ、苦しみも悲しみも感じる事は無くなるだろう。だが、辛い事が無くなる代わりに幸せも無くなるだろう。心が無いのだから。感じる事が無くなるのだから。


心とは? 心とはなんでしょうか?


不幸の為に心を捨て、同時に

幸せを感じる心をも失う。


15分の動画です。Wi-Fi環境で観てね。ニコ



これは兵器として生み出された機械生命体のお話ですか、色んな比喩が込められていると感じます。

過保護なモンスター親子、虐待に陥る親子、戦争を先導する指導者、己の利の為に周りを利用する利己主義者、etc. 

観て読み解く側の経験、感情、思考の数だけ色んな捉え方があると思います。


心とは何ですか? 何処からきますか?

 

あなたは心を言語化できますか?


心の闇、闇と光、苦悩、辛さ、幸せ、感情、感じる心。


綺麗な大花火の火薬と戦争用の爆弾の火薬、成分は似ていても使われ方は違う。

火薬自体の使われ方に心があるのか無いのか。


心がある、心が無いとは何ですか?


もし、機械に道徳・倫理を学習させ感じる機能を待たせたなら、その知性が感情を形作れたなら、その感情が心を宿せたなら、それは命としてふさわしい存在ですか?



たまには、飼い主のiPadでのお絵描き動画でもどうぞ。





お絵描きアプリ ibis Paint X で。



長文にお付き合い頂きありがとうございました。

「命にふさわしい」につづく


ルー:「ルーのお父さん お母さん、何処にいるんですか。

お父さん お母さん お父さん お母さん…」