愛媛で暮らす介護系Webライターさとうのブログ

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愛媛在住のWebライターとして活動しています。

これ、Xでポストしたんですが、思いのほか反応いただけました。

長いけど、もしよろしければ。

 

 

30代の後半に入ったあたりのころです。 すごーく印象に残ってることがあって。

 「子供産まないとだめだよ」って言われて、相手をめちゃくちゃ詰めたことがあるんです。

相手は今の私よりもちょっと年下で、男性で、上司。

 

 当時の私だったら上司に噛みつくなんてありえないんだけど、思えばあのときを境に、上に意見できるようになった気がします。 

私ね、ちょーっと複雑な育ちで、自分の根幹にまつわる事情もあって、自分の家庭は持たないって決めてたんです。10代のころから。 だから結婚や出産において「多くの他者と違う自分」ってのは自覚してました。

別に恥ずかしくもないしねニヤリ

 

これが一番楽な生き方だってのも知ってたんです。 友人や親類にも似たようなことは何度か言われたけど、適当にやり過ごしてました。 

ただ、上司から言われたのには我慢できず、激しく詰めたんです。 

理由は今考えるとこんな感じ。

 

 

  • シンプルにセクハラだったから
  • 私の事情を知りもせずに自分の価値観を押し付けてきたから
  • 「女性は妻となり母となるべき」って固定観念を強いてきたから

 

 

でも一番の理由ってこれですよ。

 

この手の会話に耐えうるだけの信頼関係がなかったから。

 

いや、もうほんとこれ。これなんですよ。

私、上司をまるっきり信頼してなかったの。もういつハラスメントを制裁すべきかをずっと考えてたの真顔

 

たとえばなんですが、私が上司に対して「この人は前からこんな人だもんな」って理解していたら、あそこまで激昂しませんでした。 

上司が私に対して「この人が独り身なのには何か事情があるのかな」って1ミリでも考えていたら、あんな発言はなかったのかもしれません。 

 

結果として、私はこの上司からセクハラにパワハラにモラハラを受けて退職するのですが、今考えたらいっくらでも対処のしようはあったなと思います。 悪人じゃなかったからね。配慮はなかったけど。

 

リアルでもネットでも、相手に伝わった時点でもう取り消しはできませんよね。 

だったら、文字や声にする前に一旦自分の中で考えてみるといいかもしれません。 

 

「今から言おうとしている言葉は、相手を貶めないだろうか」 

 

できるはずなんだ。相手を尊重してるのと、自分のメンタルが安定してるのが条件だけど。

 

自分には知り得ない事情や考えが、他人にはあります。 そこをきちんと自覚しているかどうかで、言葉のチョイスは変わってくる。すると相手も「私を尊重してくれてる」って感じるから受け取り方も変わる。それだけの話。 

 

そりゃね、表現の自由とか、強火な発信がウケるとか、立場が上だからとか相手よりも経験値が高いからとか、あると思います。

 

ただ、職場でも学校でもSNSでもサークルでも、他者に向ける言葉の危うさは常に感じていなければならない。

 

感情のままに発した、あるいは自身の経験則から飛び出したその言葉が、もし相手を傷つけるものだったら。

相手が懸命に保ってきたものをぶち壊すものだったとしたら。 

 

その点を踏まえてもなお、伝えなければならないケースってきっとあると思うんです。

だとすると、伝える側の優しさや覚悟が強く問われる。 

 

どうしたって相容れない人はいる。 

言葉を尽くしても受け入れられない考えがある。 

自分の意図とは別のところで相手を揺さぶる可能性がある。

 それでも、どうしても伝えなければならないし、知ってもらいたい。たとえ反発されても、嫌われても。

 

 自分以外の誰かに何かを伝えるって、本来こういう面倒臭いことを念頭に置いておく必要があると思うんですよね。 大人だったらなおさら。 

 

私が今書いているこの文章だって、どれだけの人に届くかわからないけど。 中には絶対「こいつなんか鬱陶しいな」「きれいごと言って」って意見をもつ方がいると思います。 

 

そりゃそうだ。

 

だって日本だけで人口何人よ。賛同者ばっかりだったら逆に不自然ですよね。 

まあ実際、しんどいですよ。 相手に何か言い返そうとしたとき、こんなこと考えないでしょ。

 

「いや、待てよ。ここでこう言ったらこの人はきっとつらく感じるかもしれないな。
そもそもさっきの発言の意図を私が取り違えてる可能性もある。今考えられる最良の返答は…」 

 

いや、もう会話の途中でこんなん考えないと思う。めちゃくちゃ話止まりますもん。

 

ただ、頭の片隅に「自分が相手を傷つける可能性がある」ってのを置いとくだけでも関わり方って変わると思うので…。

別にご立派な思想を掲げなくていい。 

保育園や幼稚園で習ったことです。 「人が嫌がることはしない」。 

 

ただ、何を嫌がるかは相手次第なんですよね。だから相手の解像度をできるだけ上げておくのって、コミュニケーションではすごーく大事なわけで。

思ったことをズバッと言っちゃったら疎遠になるかもしれないし、喧嘩しても雨降って地固まるってことになるかしれません。 人間同士って、関係性やそれぞれの状況・考え方で意思疎通のスムーズさが変わりますもんね。

 

 人と関わる以上、どんな仕事・立場であっても「自分の想いを相手にぶつける怖さ」は忘れちゃいけないなあって思います。