米、香港の特別な地位を剥奪 中国による「国家安全法」めぐり
香港の自治が危ない。
これは、昨年来私たちが目にしてきた光景である。
これに対し、米国が行動に出た。
よし、さすがは自由主義のリーダーたるアメリカ、
と賛辞を述べたくなるところである。
だが、これ、よく考えると逆効果ではないか。
そもそも中国政府が一国二制度に挑戦しているのは、
香港の経済力が欲しいからではなくて
(既に深圳の経済規模は香港を代替するに足るものである。
https://www.nikkei.com/article/DGXMZO41840100X20C19A2FF2000/)、
香港という異物を排除することで、国家統治の正当性を
確保したいのだとすれば、北京政府にとって香港経済がどうなろうが、
知ったことではなく、そうだとすれば民主制のバックボーンとなってきた
香港の金融経済都市としての機能が衰退して、かえって民主派に不利になってしまうのではないか。
ところで、そもそも金融都市というものは必要だろうか。
いうまでもなく、近代経済は資本主義とそれを支える
金融システムが中心となって発展してきた。
しかしながら、もはや世界は十分すぎるほどに発展してしまっており、
実体経済を大きく成長させることは難しいと言われているし、
そもそも経済を成長させる必要があるのかも大いに検討すべきである。
(近代資本主義の萌芽時点では、国なり社会なり世界の生産力が
少なかったので、その向上のための資本集積が行われたが、
もはや世界的に見て供給過剰が起きているのであり、
今すべきは経済成長ではなくて人々が安心して暮らせる社会に移行することだと
思われる。)
とするならば、欧米の植民地であったという歴史的経緯から生じた
現在の香港の金融経済都市としての経済力やプレゼンスを背景とした
一国2制度は(よく考えてみればこれはとても皮肉なものである)、
香港の人々が自らの運命を自らの議論の中から決める民主制
が、経済的背景とは関係なく維持されるか、という議論に収れんする可能性があると
思われる。
民主主義は条件付きなのか。
その答えは、私達の社会の基盤を揺り動かす可能性を秘めている。