$つぶやく広告屋-f


暑くなってきたなぁ。

こんなふうに夏を感じると
去年CMのロケで2週間ホノルルにいた、
あの日々のことを思い出すよ。
今年も行けるかな...。


一生懸命に笑顔で生きている、ロコガール。
そんな少女に会ったのも、
今日みたいな
南風が頬をなでた日だったのさ。

ちょっと切なくてステキな
スライス・オブ・ライフだよ。



数日のロケがうまくいった
オフの日の朝6時、

19階ラナイからの
偏西風が気持ち良くてさ、
ついドライブしたくなっちゃった僕。


コンドミニアムのパーキングに停めてある、
ダラーから長期で借りてる、
クライスラーのコンバーティブルさ。

幌は
もちろんフルオープンで。





アラモアナ通りに滑り込むと、
あーやっちゃった。
朝の渋滞にハマっちゃったんだな。
KRTRにチューニングしたカーレディオからの、
スラッキーギターが気持ち良くて、
まぁ余裕で。





信号につかまった
僕のコンバーティブルに、
ななめ前から日系らしいティーンの女の子が
走ってきたのさ。
真っ黒に日焼けした、まさしくロコガールだよ。




顔が汗びっしょりになってね、
何やらどっさりと左腕に抱えてるんだな。
安物のビーチサンダルで、
ペタペタと音をさせて近づいてくる。
車の間をスルスルと抜けてさ。





「ニュースペーパー!
  ニュースペーパー!」




どうやら朝刊を、
渋滞にハマったドライバーに、
売っているらしい。


なんとなく手を挙げて、
彼女を呼んでみた。


「いくらなんだい?」
「1ドル75セントよ」
3ドル渡すロカオ。
お釣りはいらないって顔するとさ、
とびっきりの笑顔で
「mahalo!」と彼女。



ふと横の芝生を見るとさ、
山のように積んである新聞を、
小学生くらいの男の子が
一生懸命仕分けしてる。


きっと弟だろうな。
キミたち、がんばれよー。



彼女達がどんな境遇かなんて、
僕はは知る余地もないけど。
なぜか、
ちょっとだけせつなくなって...。



けどね、
ニコニコ笑顔で、
卑屈な雰囲気なんて
これっぽっちも持ち合わせてなくて。
陽気なカンジに救われたよ。
あーこれが
ハワイなんだよなぁ



部屋に戻って、
あの娘から買ったホノルルアドバタイザーを開いてさ、
あんまり読めないけど、なんか面白いんだな。
折込みチラシも楽しくて。


コンドミニアムの
プール掃除の黒人に聞いた話だと、
あの新聞って完全に買取制らしくてさ、
売れ残るとヤバイんだって。



そんなハナシを聞いちゃったら、
応援したくなっちゃうよ。
3ドルくれるへんな日本人が
最近いるのよねぇなんて、
噂してくれたら嬉しいなんて。



それからはできるだけ
毎朝クルマを出して。



なんか向こうも
クルマを見つけると走ってきてくれるんだな。
いつもの笑顔で。


オープンカーで見上げた空に、
ヤシの葉が揺れてたな。



ある朝も
いつものように
ホロをあげて、
買った新聞を助手席にポーンと置いて走ってたら、
いつのまにか新聞の間に
プルメリアの花が
そっと一輪挟まっていたのさ。



あの娘がはさんでくれたのかな。



そのとき僕は、
この花があの笑いながらがんばってる兄弟の、
ハートのように思えてきちゃって。

この写真がそうさ。


あー僕は
ぎすぎすした都会で、
いつのまにか大切なモノを失ってたよ。

あの兄弟を見てたらさ

トランクにあふれるほど
詰め込んだプライドなんて、
いらないな。

手に入れるものなんて、
たかがしれてるのかも...
なんてね。


そうそう陽気に夢を追いかけてたのは、
オマエだったよなぁ。
すっかり忘れちまったのかな。
自分に問いかけた僕。

なんか勇気をもらっちゃったな。


そんな時、
ラナイからの
カラッとしたハワイの風。
ふわっとアロハの裾を揺らしたその風が、
僕を
後押ししてくれてる気がしたのさ。


今でも僕を支えている、
大切なエピソードだよ。