
今日も蒸し暑いけど、
キモチいい青空だなぁ。
こんな日も、
撮影でハワイにいた日を思い出して、
エピソードを。
ホノルルからH1を、
車で30分くらいの海沿いの小さな街に、
グレッグって男が経営してる、
オールドギターのショップがあってさ。
なんか、
ジャックジョンソンみたいな、
アコースティックな雰囲気の
気さくなヤツ。
コーディネーターのケンに教えてもらって、
初めて行った時だったかな。
ちょっと気になったギターがあって。
ギブソンレスポールゴールドトップの、
P90ってピックアップが着いているヤツ。
ブルースが似合うような、
20年くらい前のオールドギターね。
「ちょっとトライしていいかい?これ」
「もちろん!」とグレッグ。
手にしてネックを握った瞬間、
あっ、いいギターだなって。
ギターってさ、もう抱いた瞬間に分かる。
この娘はなんかイカしてるなぁって。
まさしく女の子と同じかもねw
材質の木も完全に乾いてて、
アンプに通さなくてもさ、生音がキモチ良くてね。
もしかしたら、
もとはプロが使ってたのかも知れないなぁ。
それでもヴィンテージって程じゃないから、
まぁ2000ドル(18万円)くらいかなぁ
なんて思っててさ。
発売当時は5000ドルぐらいだったハズかな。
「いいギターだなぁ、これいくらなんだい?」
「うーん、800ドルでどうだい?」
「えーっ、そんなに安いの!?」と僕。
グレッグは軽く苦笑いさ。
「それには理由があるのさ。裏を見てごらんよ」
ロカオが不思議そうによぉ、
そのレスポールの裏を見るとさ、
あーあ、こりゃひどいわ。
なんか彫られてある。
乱暴にガリガリとやったカンジで、結構深くね。
これじゃあ、ちょっと修復も難しいなぁ。
よく昔さ、学校の机をガリガリやって、
彼女の名前とか彫った
あんなカンジ。
ギターの裏いっぱいにさ、
斜めにがーっと。
3行くらい文章が書いてあって、
もちろん英語で。
なんだか分かんないんだけど、
最後にはでかく
Keoki&Lana Forever,1978
ケオキとラナっていうのかな。
どうやら恋人同士のよう。
このギターで永遠を誓ったのかな。
まぁ高価なものだから、
本人達も相当お熱を上げてたようね。
それが今楽器屋にあるってことはさ、
うまくいかなかったのかな?
切なく、
はかない恋だったのかも。
「ある日中年男が、
安くてもいいから引き取ってくれと,店にきたんだ。」
苦笑しながら、グレッグ。
「思った通り、売れやしないよ。」
甘く苦い、不起用な恋だったのかな。
若いというだけでさ、うまくいかなかった二人。
きっと持ち主はさ、
今もこのギター手元においておくのは、
辛すぎたんだろうね。
うーん、
ちょっと悩んでスタンドに戻す僕。
こんな切ないギターは、
やっぱり買えないよ。
店を出ると、
夕方のハワイのカラッとした風ね。
振り向くと、ショーウィンドーの奥に、
さっきのレスポールが見えるよ。
サンセットで、
もっとゴールドに輝いてるな。
僕は思った。
ああ、あの二人には、
人生の中で、
誰にも負けないゴールドの輝きが、
一瞬でもあったんだろうなぁ!
あのギターの色のように。
そして
その中年男はさ、
今もきっと店の前を通るたびに、
あのギターをちらっと眺めては、
ホッとしているんだろうなぁ。
まだあるよぉ!なんてね。
一緒にはいたくないけれど、
遠くにいって欲しくない、
そんなカンジ。
なんか分かるかも。
帰りのハイウェイで
いつものアメ車のコンバーティブル。
KRTRにチューニングしたカーレディオからは、
イーグルスの「言い出せなくて」。
ちょうどさっきのギターが活躍してた、
時代の曲だな。
♪'Cause I love you
Nothing's wrong as far as I can see
We make it harder than it has to be
and I can't tell you why
no, baby, I can't tell you why
(愛しているんだ
僕が見る限り何も悪くない
ただ無理に難しくしてしまっただけさ
理由はわからないけれど
どうしてなのか上手く言えない)
それが分からないのが、
オトコとオンナさ。
その後グレッグから電話があって、
480ドルで良いから買わないかって。
修理というか
削って使おうかなぁって気になって。
結局、
僕の手元にある。
けどね、なんか消すのが勿体なくなって。
そのままさ。
眺めるたびに
潮風が頬を撫でていた
ハワイを思い出せてね。
あー週末は、
ひさびさに出して
ベランダで弾いてみよう。
晴れると良いな。