かつて、タンパク質の取りすぎは骨粗鬆症を招くのではという議論がされていました。
その元になった仮説が
「高タンパク食を取ることで出てくる酸を中和するために、カルシウムが溶け出し、尿中のカルシウムも多くなる」
身体は常にpH7.4±0.05の弱アルカリ性に保たれています。
これがより酸性に近づけばアシドーシス、アルカリ性に近づけばアルカローシスという状態になり、様々な症状を引き起こします。
その状態を防ぐのが酸塩基平衡という働きで、常に身体のpHバランスを取り、先ほどの7.4±0.05という非常に狭い範囲で調節してくれています。
先程の仮説は、
「タンパク質を分解する事で発生する酸性のイオンによって、アルカリ性であるカルシウムイオンが溶け出てしまい、結果として骨粗鬆症を招いてしまうのでは」
という物でした。
この仮説は証明がされたわけでもなく、それであるのに骨粗鬆症の原因とも捉えられるような物でした。
2002年に発表された研究論文で、この説についての結果が下されました。
「55歳~92歳の、572人の女性と388人の男性を4年間観察した結果、動物性タンパク質を摂ると骨粗鬆症の予防が出来る可能性が高まる」
「植物性タンパク質は、予防できるかは不明だが、少なくとも悪化はなかった」
この研究結果を見る限りでは、食事による原因は少なく、それ以外、例えば運動不足などにも原因はあるのではと考えられます。
廃用性萎縮という言葉に表されるように、使わなければ弱くなっていくのが人の身体です。
骨も運動刺激によって使わなければ、どんどん弱くなっていきます。
適切な運動と、食事が将来も活動性のある身体を作っていくのです。